苦楽の彼岸 山あるき 森あるき

こんにちは!umebocです。
主に近畿の山々をうめ子と2人で歩いています。

【22】そのときは彼によろしく (小学館文庫 い 6-1)

2008-12-14 | 
クラスの中で、出来の善し悪しに関係なく、そういった評価の、ちょっと外にいるような、いわば変わり者。そんな少年だった主人公・智史。
ゴミの山で出会った佑司と、花梨。3人はたった1年だったけれど、最高の友達として、最高の時間を過ごす。犬のトラッシュとともに。
大人になり、智史はアクアプラント・ショップを営む。
そこから始まる出会い。そして別れ。それと恋愛。



読了。
ラブストーリーであり、青春小説であり、少し不思議な物語であり、大人の回想でもある。
優しさのある本。最後読み終える時には、ほっとして、そして笑みがこぼれそうになる。
とにかく出てくる人間が皆、紳士淑女。
優しく、強く、つつましい。
(とくに主人公の智史は、悟りの境地に近い。あ、佑司は既に悟っている)
智史の父が言っていたシンプルな教え。
いいものを食べられるようになんかならなくていい。金のかかった身なりなど必要ない。いつも清潔にしていればいい。ひとを喜ばせるような仕事をしなさい。いつも優しくありなさい。
素晴らしく思う。
ただ、父本人も語っている。
こんな我欲に満ちた世界で生きていくには、それは間違った言葉だったのではないか?と。
でも、それでもいい。そういう穏やかさが持てる人間になりたい。
おこがましいけれど、智史は少しボクに似ている。生きにくい。

そのときは彼によろしく (小学館文庫)/市川拓司 umeboc好み度★★★★☆