goo blog サービス終了のお知らせ 

うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#392 【慶徳のオールコート】

2010-11-30 | #12 大学 新人戦編
白金 73
慶徳 73




第4Q開始。


慶徳は、得点を奪うや否や、オールコートプレスを繰り出した。

エンドラインの荻野がパスの供給先を探す。



『キュキュッ!!』


『キュ!!』



(いれられない!)




「パスがいれられない!!」

「プレスが効いているぞ!!!」

「足が止まらない!!」




慶徳ベンチ。

「・・・2!1!」




白金ベンチ。

「パス!パス!」

「前に投げろーーー!!!」




「0!!」




『ピィーーー!!』




「オーバータイムだーーーー!!」

「慶徳が抑えたーーー!!」

「すっ凄いプレスだーーーー!!!」

「足動いているぞ!!!」




「よっしゃ!」

諸星がガッツポーズをする。




「あの白金を抑えるか。」

「このオールコートは本物だぞ。」

大和と品川。




「すっすごい!いきなり、抑えちゃった。」

「慶徳にこんな隠し玉があったなんて・・・。」

記者席の2人。




会場が騒然とするほどの破壊力を披露した慶徳のオールコートプレス。



(ちっ。慶徳のプレスにここまでの完成度があったとは・・・。藤真のやつ。)

「切り替えるぞ!ディフェンス、やり返すぞ!!」

「おう!!」






慶徳のオフェンス。


藤真から真下、真下から赤木へと回ったボール。




「また赤木だーーー!!!」

「ノッてるぞ!!」

「来るぞ!ゴリラアタックーーー!!!」




『ダム!』


ワンドリからポストプレー。



『シュ!』


シュートフェイク。


C村松があっさりとひっかかる。


そこに諸星が土屋を振り切り、突っ込んでくる。



『サッ。』


赤木のハンドオフパス。



「!!!」


「!!」



『シュパ!』



諸星がドライブを決めた。




「慶徳!逆転だーー!!!」

「来たぞ!来たぞ!!」

「けーーいとく!けーーいとく!」




白金 73
慶徳 75




「もう1本いくぞ!!!」

「おう!」



『キュッキュ!!』


疲れを微塵も感じさせない。

慶徳は再び粘り強いディフェンスを見せる。



(一気にケリをつけてやる!!)


(この時間帯の神には要注意だ。)


「土屋がいったぞ!気をつけろ!」


「死守ーーーー!!!」



藤真の執念が仲間に波及する。


「ここが勝負どころだーー!!!」



エンドラインの荻野。

(まただ。パスが出せない!)



慶徳ベンチが再び盛り上がる。




「・・・3!2!1!」




そのとき。


「こっちだ!!」

牧であった。


藤真のマークは外れていない。



「投げろ!」



『ビィ!』



荻野の苦し紛れのパス。



牧へは。



『パシ!』



届かない。



「諸星!!」

「なぜそこにいる!!」




「また獲った!!」

「慶徳のオールが凄い!!」




「マンツーじゃない。」

観客席の仙道。


「ゾーンプレスだ。」

眺めのいい観客席からはよく見える。




2本目のオールコートは、マンツーマンではなくゾーンであった。

そのため、いるはずもない場所に、諸星がいたのであった。



『キュッ!』



『ダム!!』



「しゃーーー!!!」



『シュパ!』


荻野を交わし、2本連続のシュートを決めた諸星。




「うわぁぁーー!!」

「慶徳がノッてきたーー!!!」

「いけーーーーー!!!」




白金 73
慶徳 77




『ピィーーーー!!』


第4Q開始わずか、白金はたまらずタイムアウトを取った。




『パチ!』


ハイタッチを交わす慶徳ベンチ。

最高の雰囲気を作り出している。




かたや、白金。

思いがけない連続失点に、意気消沈。


「なんてプレスしてくるんだ・・・。しかも、マンツーとゾーン・・・。」

「2年間でここまで完成させてくるなんて。」

「さすが慶徳やな。個々の能力が高い分、プレスの完成度も高い。」


「飽きさせないやつらだな。」


しばしの沈黙。


こういう場面では決まって、この男が口を開く。


「まずはボールを入れないと何も始まりませんね。パサーは俺がやります。
藤真さんと諸星さんを相手では、牧さんも簡単に運べるわけじゃないですから、
ここは牧さんを囮にして・・・。」


『チラ。』


牧、土屋が振り返る。



「粕谷、準備はいいか?」



「トゥース!」



準々決勝、横浜学芸大戦。

全く活躍する場のなかった粕谷が、再びコートに足を踏み入れる時を迎える。








続く。

#391 【執念】

2010-11-27 | #12 大学 新人戦編
白金 71
慶徳 70




一般受験、一般入部を経て、新人戦のスタメンを勝ち取った藤真と赤木に、
世代最強クラスのSG諸星と山王工業のPF野辺が加わり、大学制覇を狙えるチームに仕上がった慶徳義塾。


かたや、白金学院。

深体大の推薦入学を断り、世代トップクラスの土屋、荻野とともに、全国制覇を誓い、
神という最強パートナーを再び得た牧は、深体大の首を虎視眈々と狙う体勢を整えた。


決勝戦並みに白熱してきたこの両校の試合も10分で雌雄が決する。




『ピィーーーー!!』




「オッ!オッ!オフェンス!!オッ!オッ!オフェンス!!」

「ディ!ディ!ディーーーフェンス!!ディ!ディ!ディーーーフェンス!!」

「オッ!オッ!オフェンス!!オッ!オッ!オフェンス!!」

「ディ!ディ!ディーーーフェンス!!ディ!ディ!ディーーーフェンス!!」

会場を飲み込む大声援。




神のスローインから、第4Qが開始された。


「牧さん。」

「いくぞ。」


迎え撃つ慶徳は、ハーフで構える。



『キュッ!』



『キュッキュ!!』




「慶徳は、マンツーマンに変更してきましたね。」

「悪いゾーンじゃなかったけど、白金を抑えるまでには至らなかったからね。」

と弥生。




「最後の勝負は、マンツーマンを選んできたか。」

「そのほうが選手も観客も・・・、俺たちも燃える。」

「それに、ダンナがノッている今、そう簡単にゴールを奪えねぇ。ねぇ、三井サン。」

「あぁ。終盤の赤木は、俺の次に頼りになるからな。」

「えっ。あっ、そうすね。」




赤木は村松、野辺は荻野、真下は神、諸星は土屋、そして、牧には藤真。


両校、メンバーチェンジはない。


正真正銘の真っ向勝負を挑む。



『ダム!』


牧がいきなりペネトレイトを発動した。




「うぉぉーーー!!いきなり!!」

「第4Qも牧全開だーーー!!!」

「全く失速してねぇーーー!!」

「いや、むしろさらに鋭いぞーーーー!!!」




藤真も負けていない。



『キュッ!!』


コースを塞ぎ、諸星のほうへと牧を誘い込む。




「巧い!!!」

「誘い込んだ!!!」




『バッ!!』


(心でぶつかってやるぜ!!牧!!)


諸星が一瞬にして、牧のコースへと入った。



と同時に。



『ビュン!!』



「あっ!!」


藤真と諸星の間を裂く、ハイスピードなバウンドパス。



(逃げやがったな!!)



『バス!!』


ミドルポストでボールを受け取ったのは、諸星のマークが外れた土屋であった。



だが、慶徳もそれくらいのことは、承知の上。


すぐに土屋に襲い掛かる赤木。



「来い!!」


両足を広げ、どっしりと構える。



(赤木か。)



『ダム!』


ワンドリをつく土屋。


そして、赤木の体を抑えるように、フック気味にシュートを放つ。



「!!!」


「!」にっ。



『スト。』


赤木のディフェンスを物ともしない鮮やかで軽やかなフックシュート。




「入ったーーーー!!!」

「巧いぞーーーー!!!」

「さすが土屋だーーー!!」




「・・・。」

(あの体勢から・・・。やはり、仙道に近いものを感じる・・・。)



「おい!牧!!俺の心を踏みにじったな!」

「何のことだ?」


(ちきしょう、牧め。俺との真剣勝負を避けやがって・・・。)


諸星もまた、藤真や赤木とは違った意味で牧に執着するのであった。




白金 73
慶徳 70




「ドンマイ!諸星も赤木もナイスカバーだ。」にこ。

藤真が声をかける。




「インサイドを自由にやられるとなると慶徳は厳しいぞ。」

「土屋も巧いが、牧のパスも凄い。」

「やはり、藤真では牧を抑えられないか。」

「そんなことはない!藤真は、牧を超える。」

花形が力強くいう。


しばしの沈黙。


仙道が口を開いた。



「勝てる要素も十分にあります。例えば・・・。」




『ザシュ!!』




「!!!」

「!!」

「!!!」


「外角とか。」

と仙道。




「藤真の3Pーーーー!!!」

「あっさり同点!!!」

「すげーーぞ!藤真!!!」




「やるな。」にや。


「まだまだ。」にこ。


牧と藤真はこの緊迫した状況を楽しんでいるかのように微笑んだ。




「牧さんにはないモノを藤真さんは持っている。」


「それが外角か。」

「まだありますよ。」にこ。

「ん!?」

「!?」




白金 73
慶徳 73



(勝負をかけるぞ!)

「いくぞ!オールコートだ!!」




「オールコート!!」

「第4Qも始まったばかりだぞ!!!」

「慶徳が勝負に出たーーーー!!」




「OK!作戦通りといこうか。」

と諸星。 

「抜かれてもかまわん!ゴールは俺が死守する!!思いっきりいってこい!!」

と赤木。



『キュッ!!』


『キュッキュ!!』



マークマンに張り付く慶徳選手。


そして。



「ボールは入れさせない。」

と睨む藤真。


「望むところだ。」

睨み返す牧。



『キュキュ!』


『キュッキュッキュ!!』




「凄いオールコートだ!!」

「慶徳が走りこんでいるぞ!!!!」

「足が止まらない!!!」

「これはいけるかもしれない!!!」




「仙道、牧になくて藤真にあるモノって体力か?」

尋ねる新庄。


『チラ。』

仙道は、軽く三井を見る。


「いや、執念だな。」

三井が代わりに答えた。


「俺にもよくわかりまっせ。ライバルにはぜってー勝ちたいもんすからね。
特に負けっぱなしはな。」

と宮城も答える。


「執念?」


「ただの執念じゃねぇ。牧への執念だ。」

新庄に答える三井。

「牧への?」

「確かに牧さんへの執念は、牧さんにはありませんね。」

と織田。

「牧に勝つことを夢見て、励んできた藤真は、赤木や諸星といった強力な仲間を得て、
今牧を倒す最高のチャンスを得た。
このチャンスを簡単に失う藤真じゃない。」



「波乱はきっとある。」

最後、仙道が締めた。




試合終了まで残り10分。



藤真の牧への執念が勝つか?


牧の勝利への飢えが勝つか?


5年目の対決を迎えた2人の対決はいかに・・・。




白金 73
慶徳 73







続く。

#390 【差】

2010-11-25 | #12 大学 新人戦編
白金 69
慶徳 68




第3Q、残り30秒を残すあまり。


白金のオフェンス。

牧はペネトレイトから、藤真の4つめのファウルを狙った。


土屋は赤木と激しいポジション争い。

藤真へのフォローに行かせない。


神は動き回り、荻野も再び3Pライン外で構えた。


白金の全ての選手が、牧の援護に回る。




『ダム!』


『ザッ!』



牧はやや強引にインサイドを狙う。


藤真も壁となり、簡単には突破を許さない。



(点もファウルもやるつもりはない!!)


(そう簡単には奪えんか。)




「止めたーーーー!!!」

「いいぞ!藤真ーーー!!!」

「藤真さーーーん!!!」




(負けてたまるか!)


藤真はここ一番の集中力を見せ、牧の猛攻に耐えた。



(やるな。)


『チラ。』


土屋にアイコンタクトを送る牧。



(人遣いの荒いやっちゃな。)


牧に応えるように、土屋が動いた。



『ガッ!!』



「!!」


「!!!」



ハイポから藤真の死角へスクリーンプレー。



「!!!」



『ダム!』



(ナイススクリーンだ。)


牧のスピードが上がる。



『キュ!』 


藤真を抜き去る。




「巧い!!!」

「土屋のスクリーンプレー!!」

「ナイスコンビプレーーーー!!」




(土屋!何度邪魔するか。)

と藤真。


土屋の完璧なスクリーンは藤真の動きをシャットアウトした。


(任せたで。)



再び対峙する牧と赤木。


「・・・。」にっ。


かすかに牧が笑った。



『ピク。』


それを見て、赤木も反応。



そして。



赤木の脳裏に浮かぶ光景。


牧の誘導に乗って、藤真が与えたバスケットカウント。


鮮明に映し出される。



「勝負だ!赤木!!」

牧は誘った。



「・・・。」

(受けて立つ!)



藤真の脳裏にも赤木の言葉がよぎる。


(「俺もブロックに跳んだかもしれん。例え、ファウルになるとわかっていてもだ。」)



「赤木!!!」



(わかっておる!だからこそ、止める!!)



「うぉぉーーー!!」



『サッ!』



牧は簡単なパスフェイクをひとついれ、ゴールに向かって跳んだ。



『ダン!!』


『ダンッ!』



(叩き落す!!)


赤木も跳んだ。



(もらったぞ!!)



だが。



牧のコースに赤木の体はない。



「!!!」



(ちっ。交わしてきたか!)



赤木は牧との接触を避け、最高のタイミング、コースで牧のブロックに跳んでいた。



(だが、2点はもらう!!)



『シュ!』



牧は、赤木の腕を交わし、シュートを放った。



とその瞬間。



『バッチィーーーン!!!』



「なに!!」



牧のシュートは豪快に弾き飛ばされた。


それは、センターラインに届きそうなほどの威力であった。



「!!!!」


「!!!」



「リングは通さんぞ!!」



『ピィーーーー!!』



「ハッキング!!ツースロー!!」 


審判が、赤木のファウルを告げ、2本のフリースローを与えた。



ざわつく会場。




「今のがファウル!?」

「審判厳しいーーーー!!!」

「ノーファウルだろ!!!」




会場は、赤木のブロックに沸き立つ。




「でも、赤木すげーーーー!!」

「うぉぉーーーー!!!」

「すげーーーブロックーー!!!」

「赤木が叩き落したーー!!」

「すごいぞ!赤木ーーーー!!」

「なんてブロックなんだーーー!!」




「はぁはぁ。」

(ファウルか・・・。)

赤木の呼吸は激しい。


(・・・。)

赤木を見つめる牧。



「赤木!ナイスファウルだ!」にっ。

藤真は微笑んだ。

「ん。」


「ナイスファウルだ。惜しかったな。」にこ。

藤真は繰り返した。


「すまん。俺も・・・。」

「お前も牧には負けてない。俺が保証する。」

「藤真・・・。」


「さぁ、フリースローだ。」


高校時代から打倒牧を掲げた両雄は、心が通じ合っている。

お互いの実力を信じ、認めている。



「昔のようにはいきませんでしたね。」

と冷静な口調の神。

「あぁ、少し侮りすぎたかもしれん。差が詰められたかもな。」

「そんなことはないですよ。赤木さんに体で張り合える選手はそうはいない。
しかも、PGで張り合えるなんて、牧さんくらいしかいませんよ。」にこ。

「ふっ。ありがとな。」



(だが、藤真も抜けなかった。赤木にもブロックされた。本当に差は縮んでいるかもしれんな。)



「ったく。藤真も赤木もどうかしてるぜ。牧に対して、執着しすぎなんだよ!」

と諸星。

「うらやましがるな。」

「なっなんだよ、野辺っち!」

「お前も牧に相手にしてほしいなら、心でぶつかることだ。」

「いつから、俺に物いえるようになっ・・・!おっ、おい!」


「さぁフリースローだ。」



このあと、牧は2本のフリースローを沈めた。



第3Q残り18秒。



慶徳オフェンス。

藤真は、きっちりと時間を計り、最高のパスを供給した。



『バス!!』



「うぉぉーー!!!」




応えたのは、もちろん赤木。

先ほどのお返しとばかりに、白金のゴール下でねじ込んだ。



『ピィーーーー!!』



第3Q終了。 


勝負の行方は、第4Qに託された。




白金 71
慶徳 70







続く。

#389 【牧の狙い】

2010-11-22 | #12 大学 新人戦編
白金 66
慶徳 66




第3Qも残り1分を切り、同点。


ボールは、牧がキープ。

そして、意表をつかれたパスアウト。

3Pライン外。


ボールを受け取ったのは、PF荻野であった。



『シュ!』


3Pを放つ。


神もうなずくそのシュートは、力強く回転し、藤真、赤木、牧の頭上を越え、ネットを激しく揺らした。



『ザッシュ!!』




「きっ決まったーーーー!!」

「入ったーーー!!!」

「荻野の3Pーーー!!!」

「すげーーーー!!!」




「よぉし!」

荻野は軽く拳を握る。


「ナイッシュ!!」

「いいぞ!!」

「おう!!」

仲間の声に答える荻野。


牧の想いがパスを通して伝わり、土屋や神らに応えた荻野のその表情は、
本日一番の笑顔となっていた。



「練習していたのか?」

諸星が尋ねた。

「まぁな。いい手本が身近にいたんでな。嫌でもいいイメージがインプットされたんだ。」

「神か・・・。」


2ヶ月とはいえ、大学バスケ界をリードするであろうシューターが身近にいたために、
荻野は手本とすることができ、3Pに対し、苦手意識を持つことはなかった。

自分も神のように打てば入るのでは。

その妄想にも似たイメージが、荻野に強気なシュートを打たせたのであった。



(ちぃ。俺としたことが、焦っちまったか。赤木一人に牧を任せておいても、そう簡単に点を奪われるわけじゃねぇ。
俺たちが焦ってボールを奪いにいったことで、結果的にフリーマンを作り、点を奪われた・・・。
荻野の3Pを警戒できなかったのは、俺の責任だぜ・・・。)

悔しい表情を浮かべる諸星。



試合も終盤に差し掛かろうとするころ、慶徳はついに白金学院にリードを許した。



「勝負は、お預けだ。」

と自軍コートへ戻る牧。


「フン!次は逃げるなよ。」



『パン!パン!』


「!!」

「!!!」


「切り替えてくぞ!!1本取り返すぞ!!」

再び赤木の咆哮。


(へっ。そうだな。考えていても仕方がねぇ。)

「藤真!頼むぜ!!」

「ああ。」




白金 69
慶徳 66




赤木の力強い言葉は、チームを活気づけた。


藤真から真下、真下から野辺、そして赤木へ。



『ダム!!』


ローポストから、赤木がアタック。

荻野、神のダブルチームも物ともせずに、激しく攻める。



「うぉぉぉーーー!!」



『バス!!』



赤木は決めた。

ここに来て、攻守で慶徳を支える活躍をみせるインサイドの大黒柱。



「ウホッホッホ!!!」




「ゴリラ丸出しだな。」

「へっ。ダンナらしくなってきたぜ。」

薄っすらと笑う三井と宮城。




白金 69
慶徳 68




第3Q、残り39秒。

1点差。


白金オフェンス。

慶徳は、1-3-1。


トップの牧が睨みを効かせる。

目の前には、藤真。

そして、赤木の姿が目に映る。


(来い!牧!)


(次は止めるぞ!!)



『チラ。』



(35秒。)

「・・・。」


牧は考えた。

この35秒をどう有効に使おうかを。


点を決める。


流れを引き込む。


最終Qに繋げる。



『グワ。』

牧にオーラが放たれた。



「!!!!」

(来る!!!)



「土屋!!」

「OKやで!」


牧が声をあげ、土屋にハイポを指示した。

それに伴い、赤木が土屋を抑えにいく。



(これで、赤木は動けん。)にっ。


「・・・。」


(いくぞ。藤真!)



『キュ!!』


『ダム!』



藤真目掛けて、突っ込む牧。



「!!!」


(止める!!)



『キュッ!!』


『ダムッ!』



牧と藤真の1on1が開始される。

両翼の諸星、真下は、フォローに行く構えを見せるが、神が積極的に動くことにより、思うように動けずにいた。

そして、荻野も3Pを意識させるような動きを見せる。


(ちっ。神を放したら、パスアウトってか。荻野も打ってくるかもしれねぇ。
ここで3Pを許すわけにはいかねぇ。)


(牧さん、任せましたよ。)


神は、牧の作戦を理解していた。

そして、藤真もまた見抜いていたのであった。



(狙いは得点じゃない。)



『ダム!』


『ドン!』



激しいボディコンタクト。

審判も苦渋の表情を浮かべている。



『キュッ!』



(狙いは俺の4つめのファウル!!)



『ダム!』



(もう牧の思い通りにはさせない!!)  




白金 69
慶徳 68







続く。

#388 【PF荻野】

2010-11-20 | #12 大学 新人戦編
白金 66
慶徳 66




第3Qも残り1分を切った。


牧がボールを持つ。


白金のパスワークによって散らされた慶徳ディフェンス。

牧の前に立ちはだかるのは、赤木のみであった。



「来い!!牧!!」


「受けて立つ!!」



『キュッ!』 


『ダムッ!』


『キュ!!!』



『クル!』



牧はドリブルをし、赤木の前で回転。

赤木を背中で背負う形となった。




「なにーーー!!」

「牧はポストプレーをする気か!!」

「赤木には勝てないぞ!!!」




「PGがC相手にポストプレーで挑むなんて・・・。」

と中村。




「ナメられるな!赤木!!囲むぞ!!」

と諸星が叫ぶ。



だが。



「待て!パスアウトがあるかもしれない!諸星は土屋を、真下は神をマーク!
牧は、俺と赤木に任せろ!!」

「おう!」


(ちっ、藤真め。お見通しか。)

と牧。



『ダムッ!』


「ぐっ!!」


牧の力強いドリブル。


強い衝撃が赤木の腹に伝わる。


(負けんぞ!インサイドで、負けるわけにいかんのだ!!)


(さすがに重いな!)



『ダムッ!!』


「ぐっ!!」


2度目の衝撃が赤木を襲った。



「パワーでは通用せんぞ!!」

跳ね返す赤木。



そこに藤真が参戦。




「囲んだーー!!」

「慶徳がダブルチームだーー!!」

「牧!ピーーンチ!!」




赤木が壁となり、牧の動きを封じ、藤真がボールを奪いにかかる。



「もらったーー!」



『パシ!』にっ。


牧は、藤真の手を交わし、ボールを掴む。


そして、ノールックパスを放った。



神には真下、土屋には諸星が、ピッタリとマーク。


ボールを受け取る隙を与えない。


ローポストでは、野辺が村松を押さえ込む。


藤真の予想通りの牧からのパスアウト。



(狙い通り!!)



「カットぉーー!!」

藤真は叫んだ。


だが、ボールは右45°ややトップよりぽっかり空いたスペースへ向かう。

そこは藤真が守るべきポジションだが、今は誰もいない。



『パシ。』


ボールを受け取る男。



(藤真、悪いが狙い通りはうちだ。)にや。

と牧が笑う。



ボールを受け取ったのは、PF荻野。

PFが3P外トップの位置でボールを受けたのであった。



『クル。』


(荻野がそこでもらって何をする?)



「ディフェンス!仕切りなおしだ!」



ボールスティールは出来なかったものの、藤真は再びディフェンスの建て直しを指示した。



そのとき。



『バッ!!』


牧が赤木をスクリーンアウト。



「なに!」



そして、小声でつぶやく。


「打て。」



「!!!」


「打つぞ!藤真!!」

と赤木が叫ぶ。


「やっやべぇ!荻野は打つぞ!!」

諸星も叫んだ。


「!!!」

と藤真。




「あっ、まさか!」

と観客席の織田も叫んだ。



-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>

愛和学院体育館。

3月。


卒業式を間近に控え、バスケ部の練習に遊びに来た諸星と荻野。



『シュパ!』



『シュパ!』



諸星の3Pが連続で決まる。



「まさか、お前の3Pがこんなに決まるようになるとはな。1年のときは、全く想像できなかったのにな。」

「俺はドライブはもちろん、外も射抜ける最高のSGを目指しているからな。こんなのはまだまだ序の口だ。」

「外角か。PFの俺にはあまり縁のないプレーだな。」


「練習すればいいんじゃないですか。」

そこの新キャプテンの織田がきた。


「キャプテンがだいぶ板についたようだな。」

と諸星。

「翼が上手い具合にフォローしてくれるので。」

と微笑み、続ける。


「荻野さん、PFの3Pなんて結構いい武器になったりするんじゃないですかね。
そんなに打つ機会もないと思いますから、プレッシャーはかかると思いますが、俺はいいと思いますよ。
あの河田さんもたまに打ちますしね。」

「俺と河田じゃレベルが違うさ。だけど、俺の秘密の武器としては面白いかもしれないな。
大学に入ったら、少し練習してみようかな。」

「荻野さんは器用だし、大さんより入ったりして。」

「そうかもな。あはっ。」

「んなことねぇーよ!!」



-----------------------------------------------------------------------



「まさか、本当に練習していたのか!!」

と驚く諸星。



3P外、荻野が構えた。




「打つぞーーーー!!」

「マジでかーー!!」




荻野を止めるものはいない。


力が膝から腰、腰から腕へと伝わる。


そして。



『シュ。』


ボールが手から離れ、回転がボールが伝わった。



『スー。』



審判が3本の指を上げる。



「しまった!!」

と藤真。


「打ちやがった!!」

と諸星。


「リバウンドーー!」

と赤木。



「うん。いい感じです。」

神が微笑みながら、つぶやいた。




白金 66
慶徳 66







続く。

#387 【赤木の咆哮】

2010-11-18 | #12 大学 新人戦編
白金 48
慶徳 48




神の3P、牧のバスカン。

海南を全国第2位まで、押し上げたプレーが、慶徳を捉えた。



「そう簡単には差はひろげられねぇか。」

と諸星。

その表情からは、苦渋よりも嬉しさが読み取れる。


「白金の強さは、十分に理解している。問題はない。」

と赤木。

「さぁ、オフェンスだ。いくぞ!!」

藤真が鼓舞した。




第3Q、2分経過。


ここから、両校、素晴らしいプレーを見せ続ける。


諸星のアドバイスにより、視野を保てるようになった藤真は、オフェンスを散らし、アシストを重ねる。


かたや、白金の牧は、前半以上の機敏な動きを見せ、アシスト、得点、そしてリバウンドを奪った。




「一進一退とは、こういう試合のことをいうんですね。」

「2点差以上の差がつかない。」




「いけーーー!!白金ーー!!」

「ディフェンス!慶徳!!」

「オッ!オッ!オフェンス!オッ!オッ!オフェンス!」

「ケイトク!ディ!ディ!ディーフェンス!ディーフェンス!」




白熱試合展開に会場は、興奮と熱気に包まれている。


それに応えるように、各選手が素晴らしいプレーを見せる。


コートにいる全ての選手が、光り輝いていた。




「今日一番の盛り上がりって感じだな。」

と微笑む大和。

「これほど流れが動かない試合も珍しい。」

と品川。




『シュパ!!』


神のハイアーチシュートが炸裂。




「3Pーーーーー!!」

「ようやく3点差がついたぞーー!!」

「流れが変わるかもしれない!!」




『ザシュ!!』




「なっなにーーー!!」

「やっやり返したーー!!!」

「諸星の3Pだーー!!」

「同点!!!」




「離されてたまるかよ!!」

と諸星。

「良く決めたぞ!!」

「ったりめーだ!!」



神の3Pの直後、藤真のパスを躊躇することなく、打ち込んだ諸星。

強き思いをボールに宿し、3Pを決めた。




「あの辺の強さは、さすが諸星だな。」

「けっ。俺も決めてるぜ!」」

と三井。

「そうだな。あはっ。」

新庄は笑った。


(あのキレのあるドライブに、正確な外角まで・・・。これが世代最高のSG・・・。)

三井の額から汗が流れた。

そして、笑う。

(まぁいいぜ、今のうちに暴れていやがれ。2年後、俺はお前を抜いて、No.1SGになってやるからな!!)




会場にいる全ての視線がコートに注がれている。




「ここまで、全選手が実力を発揮しているように思えます。
ここは、選手交代やタイムアウトなど、思い切ったことをして、
流れを変えたほうがいいかもしれませんね。」

と織田。


「いや、そうは思えねぇぜ。」

と宮城。

「ん!?」

「まだ、実力の半分も出していないやつがいる。」

と三井。


宮城の見つめる先、三井の見つめる先には、あの男が映った。


「織田、お前も諸星や荻野の後輩なら、もっと仲間を信じるんだ。
偉大な先輩たちなら、この状況を打破できるとな。」にこ。

と花形がいった。


「はっはい・・・。」

織田には意味が理解できない。



宮城、三井の視線は、元チームメイトの赤木に注がれていた。


(おい!お前の力はこんなもんじゃないだろ!赤木!!)


(ダンナ!期待してるぜ!!)




その想いに応えるかのように、赤木が吼えた。



『パンパン!!』

手を激しく叩く。



「死守だーーー!!!」



「おう!」


赤木の咆哮に応える慶徳選手たち。


「ディフェンスだーー!!」




「ふん。ようやく、赤木らしく吼えやがった。」

と三井。




(敵ながら、ナイスタイミング。)

と牧。


「こっちも負けるな!!確実に1本獲るぞ!!」

赤木に対抗するかのように、牧が吼えた。




「赤木も、牧も吼えたぞーーーー!!!」

「いいぞ!!いけーー!!」

「両校がんばれーーーー!!!」




「へい!!」



『パシ!』



「こっち!!」



『パシ。』



刻んだパスを繋ぐ白金。



『キュッ!!』


「土屋がいった!!」



『ダッ!』


「中、来るぞ!!」



慶徳も声が出ている。



コート内では、今まで以上に声が飛び交っている。




「すっすごい!コートが活気だっている!!」

「厳しい時間帯になればなるほど、声が活力を与える。だから、チーム内の声も応援も必要なのよ!」 




『パシ!!』


パスで繋いだボールは、牧に戻った。

そして、対峙するのは、赤木。

白金のパスワークによって、慶徳はディフェンスを散らされていたのであった。




「牧と赤木だーー!!」

「面白い勝負だぞ!!」




「来い!牧!!!」



「赤木!いくぞ!!」



三井、仙道、藤真を襲った牧の牙が、ついに赤木に向けられた。




白金 66
慶徳 66







続く。

#386 【藤真の挑戦・牧の自信】

2010-11-16 | #12 大学 新人戦編
白金 45
慶徳 48




慶徳のオフェンス。

白金は、藤真へのボックスワン。



『ダムダム!!』


牧のプレッシャーをはねのけるように、力強いドリブル。



(たやすくパスは出させんぞ!)


『ダッダムッ!!』



クロスオーバー。

牧を抜きにかかる藤真。



『チィ。』



「ん!!」

「!!!」


「藤真!!」


「牧さん!!」




「スティールだーーー!!」

「牧が藤真のドリブルを止めたーーー!!」




藤真の手からボールが転がる。




「読まれたか?」

と新庄。

「前半に手の内を見せすぎてしまったのかもしれませんね。」

と織田。




振り向く藤真。


(獲らせるか!)



追いかける牧。


(もらった!)



『ダン!』


ルーズボールに飛び掛る藤真。


だが、ボールは牧が奪い取った。




「ターーンオーーバーー!!」

「牧が競り勝ったーーー!!!」




『ダムダム!!』


すぐさまドリブルを開始。

体勢を戻し、すぐに追う藤真。

牧は、一気に駆け上がった。



「藤真ーーー!!」



「牧!!!」



ワンマン速攻。



後ろに藤真。

ゴール手前、牧のスピードが一瞬落ちた。



「!!!」


牧の緩む口元が藤真の視界に入る。



『パシ!』


ボールを掴む牧。

あえて、藤真の視界に入れる。



(誘導か!)


誰が見ても明らかに、牧の持ち方は不自然であった。




「誘ってる。」

と観客席の仙道。

「ここでバスカン狙いか。」

と花形。




「ストップ!!」


後ろのほうから、諸星が叫んだ。


牧の右手によるレイアップシュート。

ボールは無防備な状態。



(誘っている。いや、いける!)


そう思った藤真は、ボール目掛けて跳んだ。



「うぉーー!」



『バッ!』


一瞬にして、ボールをカバーするように、牧の左手が藤真の左手の軌道に入った。



『サッ。』


その牧の腕を交わすように、藤真の左手が動いた。




「巧い!」

と仙道。

「いける!」

と花形。




「!!」


「!!!」



『パチ。』



「!!」


「!!!!」



『ピィーーーーー!!』



会場に響き渡る審判の笛のあと。



『パサ。』



牧のレイアップシュートは決まった。




「やっぱ、牧だぜーーーー!!!」

「バスカーーーーン!!!」

「同点に持っていけるぞーーーー!!!」

「牧が決めたーーーーー!!」




「ほら見やがれ!後半の牧は、前半とは比べ物にならない動きを見せるんだ!」

と宮城。

「あからさまに誘った牧に、勝負を挑んだ藤真。
どういうことだ?藤真なら、わかりきっていただろうに。」

と大和。


「牧さんとの距離を計るためかな。」

仙道が答えた。




藤真に詰め寄る慶徳選手。


「おいおい!誘っていたのバレバレだろ!どうした、藤真!」

と諸星。

「申し訳ない。だが、これで終わりだ。安心しろ。」

藤真は牧の腕を叩いた左手を見て答えた。

「大事なことは牧に勝つことじゃない。白金に勝つことだ。頼むぜ。」

「あぁ。」


「あと、真下がいいところで神のマークを外している。そっから攻めても面白と思うぜ。」

牧のプレッシャーで視界が狭まる藤真に、諸星らしいアドバイスをした。


「ふっ。ありがとうよ。」


続いて、赤木が静かに口を開いた。


「俺もブロックに跳んだかもしれんな。例え、ファウルになるとわかっていてもだ。」

「赤木・・・。いけると思ったが、そう簡単ではなかった。
俺にファウルされても絶対に決められるいう自信がまだあるんだな。牧には・・・。
シュートを決められたことよりも、そう牧に思われていることのほうが悔しい。」

藤真が左手を握り締める。

「俺は、そうは思わんぞ。
今の牧のプレーは、たまたまだ。10%、いや1%の確率でビッグプレーが成功しただけにすぎん。
次は必ず叩き落す。俺の知っている藤真という男はそういう男だ。」

「赤木・・・。」


「お前が牧に負けているとは思わん!」


「・・・。サンキュ。」

「次は止めろ。」

「あぁ。」にこ。



『シュルシュル。』


フリースローライン。

ボールを回す牧の姿。


(藤真のあのチェック。少し遅れていたら、叩かれていたかもしれぬな。もう狙うことは難しいだろう。)



『シュパ!』


ワンスローを静かに沈めた牧。


ここにきて、振り出しに戻した白金。


かたや、戻された慶徳。


だが、慶徳選手たちに落胆の表情はない。


むしろ、藤真の挑戦が再び彼らに大きな炎を灯した。




白金 48
慶徳 48







続く。

#385 【組織力と個人技】

2010-11-12 | #12 大学 新人戦編
白金 42
慶徳 48




諸星がシュートを決めた後の白金のオフェンス。


「気にするな。あれが諸星だ。」

「あぁ。わかってるで。」


(諸星・・・。ほんまえらい選手やな。)



『ダム!』


トップの牧。

対峙する藤真。



「ん。」

(そうきたか。)

と牧。




「ゾーンです!1-3-1のゾーンですよ!」

「外を抑えながら、白金の起点となるハイポを抑える。考えたわね。
だけど、果たしてこれで彼らを抑えられるのかしら。」




慶徳は、1-3-1のゾーンディフェンスを敷いた。

トップ藤真、左右に諸星と真下、センター赤木、ゴール下に野辺。

磐石な布陣。




またしても、仙道の予想が的中した。


(セオリーなら、神か。)




赤木がセンターでしっかりとハイポをケアしているため、土屋ら細身の長身プレーヤーではハイポを奪えない。



だが、牧は冷静であった。

慶徳が1-3-1のゾーンを敷いて来ることを予想していたかのように。



『ダム!』 


(白金には通用せんぞ!)


牧が、45°から藤真と真下の間に突っ込んだ。



『キュッ!』


『キュ!』


『バッ!!』


左右から藤真と真下が囲み、赤木が待ち構える。


縮まるゾーン。



『ビィ!』



牧は外にパスを放った。


そこには土屋。

3Pシュートの打てる間合い。




「打つか!!」

「土屋の3Pーーーー!!!」




真下が一瞬にして、土屋の前に飛び出た。




「速い!!」

「ナイスチェック!!」




『ビィ!』



1-3-1ゾーンを攻める鉄則。


コーナーとローポスト。


セオリー通り、土屋は、0°コーナーへとボールを流した。


そこには、当たり前のように神がいた。




「うわぁーーー!!神だーー!!」

「今度こそ打たれるぞーーーー!!」

「ゾーンだと神ががら空きだーーーー!!」




だが、慶徳も十分理解していた。



神が、0°に位置取ることを。



『キュ!!』



「!!!!」


「!!!」




「速い!!野辺のカバーが速いぞ!!」

「あれでは打てないーー!!」




「果たしてそうかな。」

笑う牧。

「神を甘くみるやないで。」

と土屋。



「!!!」


「なっ!!」


「打つ気か!」

と逆サイドの諸星。



神は、ゆっくりと体を後ろに反らしながら、0°から3Pシュートを放った。



懸命に腕を伸ばす野辺の手の上を軽く越える高いシュート。




「打ったーー!!!」

「しかも!高いーー!!」




そのシュートは、今までにないアーチの高い山なりのシュートであった。



ボールの行方を確認せずに、自軍コートに戻る神。



まるで、シュートが決まることを前提にして。



『スト。』



リングにあたることなく、真上から真下へ落ちるように、シュートが決まった。




「3Pーーーーーー!!!」

「キターーーーー!!!」

「なんていうシュートだーーー!!!」

「進化する最強シューターーーー!!」

「一気に3点差ーーーー!!!」




「決まったな。」

と荻野。

「えぇ。いいシュートタッチでした。」

「簡単に決めてしまうとは、さすがだな。」

「自信はありましたけど、簡単ではないですよ。野辺さんのチェック、リングを隠してきました。
あの辺の小技はさすがです。」

「あぁ、それはマッチアップしている俺が一番よくわかる。」

「野辺さんにも、注意が必要ですね。」

「あぁ。」

(神。今の3Pで、俺もいいイメージができたぞ。)

荻野は意味深な言葉を飲み込んだ。




「さすが白金。ディフェンスの変更にも組織で突破した。」

「神君の個人技も素晴らしかったですね。」

「演出したのは、牧君のペネトレイトと土屋君のアシストよ。
彼らが、冷静にゾーンの弱いところをついた。」


「1-3-1だとコーナーの神君が空いてしまいます。このままだと、うまく守れないのでは?」

「さぁーて、藤真君。どう動くかしら。」




「あの体勢で打ってくるか。」

と諸星は少し驚いている。

「神を少し甘くみたかもしれない。」


「ディフェンスを変更するか?」

「いや、このままいこう。諸星、真下、少し広く守ってくれ。
野辺は、今のでいいぞ。神には絶対プレッシャーをかけろ。
ゾーンが広く守る分、赤木には負担がかかるが、頼んだぞ。」

「あぁ。」


「さぁ、オフェンスだ!切り替えていくぞ!」

「おう!!」



ディフェンスが動いた第3Q、どちらが先に打ち破ることができるのか。


破壊力満天のオフェンスは、ともに止まらない。




白金 45
慶徳 48







続く。

#384 【止まらぬ攻防】

2010-11-11 | #12 大学 新人戦編
『ピィーーーーー!!』


第2Qが終了した。



土屋を持ってしても、全開した諸星のオフェンスをとめることは出来なかった。

外からリングを射抜き、中から切り裂く。

オフェンスマシーンと化した諸星は、第2Qだけで13点を獲得した。


だが、慶徳も白金同様に、牧、神、土屋が繰り出すオフェンスに苦戦を強いられた。

絶対的なインサイドプレーヤーのいない白金だが、身長でマークマンに勝る牧、神、土屋が、
代わる代わるハイポでボールを受け取り、パスを回し、オフェンスを散りばめ、得点を奪った。


ディフェンスに的を作らせない白金のトライアングルオフェンスの陰には、土屋の存在があった。


牧のハイポ時にはトップに位置取り、PGの代役をも務め、ハイポからアシストを決め、シュートで点を奪い、
リバウンドで体を張り、慶徳インサイドと競り合う、
要所でマルチな活躍を見せる土屋の存在が、白金のオフェンスを引率したのであった。




「諸星のやつもすげーが、牧たちはこの1週間で、どんな練習をしてきたんだ?
先週よりもパスが良く回っているぞ。」

と驚く三井。

「土屋の動きだな。土屋の動きが他の選手を巧く誘導している。」

新庄が答える。

「牧のペネトレイト、神の外角、両方をこなせる土屋。
この3人の歯車が完璧に組み合わさった今、なかなか抑えられるものではないな。」

と花形。

「でも、それは白金も同じですよ。土屋さんでさえ、大さんを抑えられていません。」

慶徳のフォローをする織田。

「オフェンスが動いた第2Q。次はディフェンスが動くぞ。」

と大和。



「1-3-1とボックスワン・・・かな。」

仙道がボソっと口にした。




「4点差で慶徳!」

「諸星君を中心に得点をあげる慶徳、かたや組織力でゴールを奪う白金。
対照的な両校のオフェンスだけど、このままだと流れは白金に向くわね。」

「どうしてですか?」

「組織で点を獲るということは例え誰が決めようが、全選手のモチベーションは、同じように上がるものなのよ。
反対に個人技ばかりだと、点を獲った選手のみテンションがあがってしまうってことに陥りやすい。
それを防ぐために、PGのフォローや控え選手たちの応援が必要になるわけだけど。」

「それじゃ、慶徳のPGは統率力に優れた藤真君だから、安心ですね。問題ありません。
つまり、相田さんの仮定する白金優勢ということにならないと思います。」

「うっ。いうようになったわね。」

「伊達に観ているだけじゃないですから。」にた。




第3Qが開始された。




白金 42
慶徳 46


4点差で慶徳がリードしている。



白金のオフェンス。




「・・・。」にこ。

観客席の仙道の口元が緩んだ。




「ボックスワンだーーー!!!」

「白金がディフェンス変更してきたぞーーー!!!」




仙道の読みどおりだった。


マンツーマンディフェンスから、ボックスワンへ変更。

赤木、野辺の強力インサイドを封じ、諸星の得点を封じるディフェンス。


それが。



PG藤真へのボックスワンであった。




「あたっている諸星ではなく、藤真にボックスワンだーーー!!」

「牧が藤真に張り付いたーーー!!」




「諸星へのパスの供給元をつぶし、オフェンスリズムを崩す作戦か。」

と新庄。

「だが、そう簡単にいくか?第1Qで牧は藤真にやられていたぞ。」

と品川。

「甘いっすよ。牧の本当の姿が見られるのは、これからっすよ。」

勝ち誇ったような宮城。


後半の牧の恐ろしさを十分に理解している宮城の率直な意見であった。




(体も心も十分すぎるほど温まったぞ。藤真!)


(いよいよ本領発揮か!牧!)


牧がプレッシャーをかける威圧的なディフェンス。

藤真も強気にボールをキープしているが、パスを出せる状態ではない。




「牧が凄いプレッシャーだーー!!」

「藤真が止まったーーー!!!」




(仕方ねぇ。)


「藤真!」


諸星がハーフライン付近まであがり、高い位置からパスを要求した。



『ビィ!』


逃れるように、藤真は諸星にパスを放った。

そして、自身は走り出す。



『キュッ!!』


(させんぞ!)



パス&ランを狙った藤真。

牧は、一瞬の隙も見せず、藤真にあたる。



「牧さん!」

「牧!あぶ」



『ドン!!』



「!!!」


「ぬ!!」



3Pライン外。

高い位置。

牧はスクリーンをかけられた。

藤真と牧との距離が広がる。

牧の肉体に対抗できる肉体を持つ、慶徳で唯一の男が牧の進路を妨害したのであった。



それは。



「赤木!!」



「藤真の邪魔はさせん。」


キングコングがダンプカーを止めた。



(サンキュ!赤木!)


藤真は一気にインサイドに切れ込む。




「赤木があんな高い位置まで!」

驚く三井。

「確かに、牧へのスクリーンは、赤木でないと不可能かもしれない。」

と花形。




その間、ボールは、諸星から0°の真下へ。

そして、ボックスの間をきれた藤真にパスを放った。




「あそこでもらっても、藤真はなにも出来ないだろう!!」

「荻野、村松のディフェンスも強力だぞ!!」




『パン!』




「えぇぇーーーー!!」

「なんだあのパスはーーー!!!」

「すっすげーー!!!」




真下から藤真へ渡ったボール。

藤真は、キャッチすることなく、そのまま逆サイドに流した。


藤真の巧みなパス。


そこには、同じく逆サイドからきれてきた諸星。

藤真が囮となり、諸星をフリーにさせたのであった。



『パシ!』


諸星キャッチ。


「ナーーイスパス!!」


躊躇なく放つ諸星のジャンプシュート。



「まだや!」


諸星の動きに咄嗟に反応した土屋。

チェックに跳んだ。



「!!!」



『チィ!!』


諸星を5cm上回る土屋は、中指をかすかにボールに当てた。



「触ったで!!リバウンドやーーー!!」

叫ぶ土屋。



「!!」にっ。


だが、諸星の表情は明るい。



わずかにホップした諸星のシュート。


戦場と化すゴール下をあざ笑うかのように。



『シュパ!!』 



ネットに吸い込まれた。



「なっなんやて!」

「少し強めに打った。お前のチェックを見越してな。」にや。



「・・・。」

(諸星・・・。)


「俺は、まだ止まらないぜ。」にや。



諸星全開。



その陰には、体を張り続ける赤木、帝王牧と同等の存在感を見せる藤真の姿があった。



白金 42
慶徳 48







続く。

#383 【諸星解放】

2010-11-09 | #12 大学 新人戦編
白金 21
慶徳 20




慶徳のオフェンス。


(第1Qよりも藤真が大人しい。何か仕掛けてくるか。)


(感づいたようだな。だが、それでも慶徳は止められない。)



藤真と牧が、対峙する一方で、3P内で慶徳選手は目まぐるしい動きを見せていた。



「土屋!」


『ガシ!!』


(んっ!)


土屋に対して、赤木がスクリーンをかけた。



(いけ。)


(OK!)


諸星が動く。



だが。



「なっ。」



相手が赤木だろうが、土屋も易々とスクリーンにかかる選手ではない。

壁のようなスクリーンをファイトオーバーで交わす。



更に。



『ガシ!!』


「っつう。」


土屋の前に、再び現れる慶徳の壁。

野辺がスクリーンをかけた。


土屋のディフェンスを崩す入念な慶徳のダブルスクリーンプレー。

体勢の崩れた土屋は、野辺を交わすことは出来ない。



「スイッチや!」



野辺をマークしていた荻野が諸星をマークした。



愛和学院の旧友の対決。



(荻野か。)にっ。


(諸星!)


トップの藤真と牧は、激しい攻防を見せる。



『ダム!』


『キュッ!』



(ここだ!)


牧の強烈なディフェンスを交わしながら、藤真はパスを放った。



『バシ!』




「諸星と荻野!!」

「愛和対決だーーー!!!」




赤木、野辺のスクリーンを経て、諸星は逆サイドでボールを受け取った。



(俺の切れ味は、お前が一番理解しているだろ!!)にや。



『キュッ!!』


『ダムッ!!』




「抜いたーーーー!!!」

「速いぞ!諸星!!」

「一瞬だーー!!!」

「すげーーーー切れ味!!」




ワンフェイク。


たったのワンフェイクだった。

諸星のスピードを理解していた旧友なれど、そのスピード、キレを止めることは出来なかった。


荻野を抜いた諸星。



『ダムッ!』



カバーリングの村松もあっさりと交わす。


そして。



「うりゃーーー!!!」



『ダッダン!』



尋常ではない跳躍力を見せた。

正面にも空中にも障害物は何もない。



『ガッシャーーン!!』



今まで封じ込めていた全ての力を解き放つように、渾身の力を込め、ボールをリングに叩き込んだ。




「うぉーーーーー!!」

「諸星のワンハンドダーーーンク!!」

「いきなりキターーーー!!」

「強烈だーーーーーー!!」




どよめく観客。

湧き上がる会場。




「大さん!!」

観客席の織田が、思わず立ち上がった。

「ついに動いたな。」

と大和。




「エンジン全開!!」

諸星が放つ。


「ディフェンスだ。」

とそっけない赤木。

「速く戻れ。」

と同じく藤真。


「ぬっ。なんだよ!少しは余韻に浸らせろよ!!」

慌てて戻る諸星。




「ついに解放してきたか?」

牧の顔は、なぜか嬉しそうであった。

「こっからが本当の勝負やな。」

「ええ。」

答える神。


「さぁ、いくぞ!!」

気合を入れる牧。



世代最強と呼ばれたSGが第2Q開始から始動した。


沢北と並ぶ切れ味を持った諸星。


慶徳は白金を突き放すことができるのか。


土屋は諸星をとめることができるのか。


第2Qは、両校のオフェンスが爆発する。




白金 21
慶徳 22







続く。