山王 81
海南 78
清田がセンターラインから、シュートを放った。
決まれば、海南にとって、2試合連続となる延長戦に突入する。
外れれば、山王の決勝進出が決定する。
と同時に、牧ら海南3年生にとっては、高校バスケ引退決定となるシュートであった。
ボールは、山王ゴール一直線に向かっている。
「おっおい!!」
「もしかして??」
観客がボールの軌道を見守る。
選手たちは、一切声など出さず、ただただボールの行方を追っていた。
ボールが落下し始める。
『ダン!!』
『ダン!』
『ダン。』
『ダダ・・・。』
清田の放ったシュートは、山王ゴール手前で落下。
エンドラインを越えていった。
この結果。
「ふーー。」
(あと1勝。)
堂本はタオルを握り締め、ガッツポーズをとる。
「おし。」
「ぶしっ。」
「勝ったジョ。」
山王選手は、静かに勝利をかみ締めた。
大騒ぎしないのは、高校バスケ界王者の貫禄と最後まで戦い抜いた海南への敬意の表れであった。
「・・・うっ。うっぐ・・・。」
清田は、声にならない声を出して泣いていた。
「牧さん、高砂さん、武藤さん・・・。」
神が頭を下げる。
「頭を下げる必要はない。」
と武藤。
「お前がいるから、俺は安心してコートを去れる。」
高砂が神の肩に触れる。
「ありがとうな。俺たちは何度も神のシュートに、言葉に、笑顔に助けられた。心から感謝している。」
「牧さん・・・。いえ、こちらこそ。牧さんたち3年生のおかげで貴重な体験をさせていただきました。
ありがとうございました。」
「よし!みんな、整列だ!清田も泣くな、胸を張れ!!」
整列する10名。
「81対78 山王勝利!!」
「あっしたーー!!」
その瞬間、会場は、2校を称える賞賛と拍手で溢れた。
『パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!』
「ナイスゲームだ!!」
「いいぞ!山王!!明日も勝てよーー!!」
「3連覇に王手ーー!!!」
「牧!お疲れ様ーー!!」
コートの9人が話を始める。
清田は1人泣いていた。
「緊張感のある試合だったジョ。」
「沢北が初めから出ていたら、もっと楽な試合だったかもな。」
と野辺。
「そんなことはないジョ。沢北が出場した第4Qは、海南のほうが2点多いジョ。」
「ってことは、沢北が出場して戦力低下か。」
「そういうことになるな。うはっ。」
「ちっ違いますって!!」
「ええ。それは違いますよ。」
「神!!」
振り向くと神と清田、そして牧。
「俺も清田も、沢北のおかげでいつも以上の力が出せた。沢北に引き出されたという感じです。」
「神!お前は、いいやつだな。」
「俺は、そうは思っちゃいねぇけどな。」
清田は脹れていた。
「へっ、悔しかったら、来年流川を倒して、またこの舞台に上がって来い!そしたら、相手してやる。」
(あっ、そういえば、仙道ともやるんだったっけ?まぁ、誰でもいいか。骨のある神奈川のやつらならな。)
「お前こそ、勝ち抜いて来いよ。」
と清田が涙を拭いた。
「またアメリカ行くらしいな。」
「ええ。出そうな芽は摘んだし、さっさと優勝を決めて、もう1度アメリカにいきます。
唯一の心残りは、流川とできなかったことっすけど、それはまたいつか必ず決着をつける。
ところで、牧さんは進学決めたって話を聞きましたが?」
「あぁ、白金でそいつらを倒す。」
牧は、深津、河田に目を向ける。
「ふん。そんなに簡単にいくかよ。うはっ。」
「甘くはないジョ。」
「わかっている。だが、必ず倒す。覚悟しておけよ。」
そういって、微笑む牧であった。
観客席では。
「負けちまったな。」
と背筋を伸ばす三井。
「だが、あいつらそんなに悔しそうじゃない。」
微笑む赤木。
「全力で戦ったからな。納得のいく結果だったんだろう。」
と花形。
「見ているこっちも清々しい。」
腕組の魚住。
「さーて、今度の舞台は、大学だ!また、敵同士になるな。」
藤真が立ちながらいった。
「俺は、板前の世界で優勝を目指す。」
「なんだそれ!?」
突っ込む三井。
「赤木。ちゃんと、進学しろよ。浪人生なんてなるなよ。」
「ふん!たわけが。藤真こそ、ちゃんと入部試験に合格しろよ。」
「あぁ。牧や深津を倒すのは、それからだ。」
「そして、俺と三井は、まずは一部にあがること。」
「どうなるかな・・・。さぁ。今日は、帰るか?」
花形に答える三井。
「牧に会っていかないのか?」
「何年先かわからねぇが、今度会うときは、コートで会う。それまでは、会わねぇよ。」
「それじゃ、俺たちも帰るとするか。三井一人じゃ、何するかわからないからな。」
「あぁ。」
「なんだそれ!魚住!!」
記者席では。
「海南が負けてもうた・・・。わいは、どうしたらええんやろか・・・。ぐすん。」
「いい試合だったね・・・。ぐすん。」
「さぁ。ぼーっとしてないの!帰って、今日の試合をまとめなくちゃ!中村君、しっかり頼むわよ!」
「はっはい。」
-----------------------------------------------
選抜優勝大会 準決勝
山王工業×海南大附属
山王 81
海南 78
【山王】青 81
#4 深津 9P 13A
#5 野辺 6P 12R
#6 松本 11P
#7 河田 17P 15R
#8 一之倉 0P
#9 沢北 15P
#14 柳葉 21P
#15 美紀男 2P 3R
【海南】白 78
#4 牧 25P 6R 12A
#5 高砂 6P 8R
#6 神 24P(3P6本)
#7 真田 4P
#9 武藤 4P
#10 清田 15P 8A
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惜しくも3点差で山王に敗れた海南は、翌日、第3位をかけて、あのチームと争うこととなった。
#05 海南 選抜編 終了
#06 愛和 選抜編 に続く。
海南 78
清田がセンターラインから、シュートを放った。
決まれば、海南にとって、2試合連続となる延長戦に突入する。
外れれば、山王の決勝進出が決定する。
と同時に、牧ら海南3年生にとっては、高校バスケ引退決定となるシュートであった。
ボールは、山王ゴール一直線に向かっている。
「おっおい!!」
「もしかして??」
観客がボールの軌道を見守る。
選手たちは、一切声など出さず、ただただボールの行方を追っていた。
ボールが落下し始める。
『ダン!!』
『ダン!』
『ダン。』
『ダダ・・・。』
清田の放ったシュートは、山王ゴール手前で落下。
エンドラインを越えていった。
この結果。
「ふーー。」
(あと1勝。)
堂本はタオルを握り締め、ガッツポーズをとる。
「おし。」
「ぶしっ。」
「勝ったジョ。」
山王選手は、静かに勝利をかみ締めた。
大騒ぎしないのは、高校バスケ界王者の貫禄と最後まで戦い抜いた海南への敬意の表れであった。
「・・・うっ。うっぐ・・・。」
清田は、声にならない声を出して泣いていた。
「牧さん、高砂さん、武藤さん・・・。」
神が頭を下げる。
「頭を下げる必要はない。」
と武藤。
「お前がいるから、俺は安心してコートを去れる。」
高砂が神の肩に触れる。
「ありがとうな。俺たちは何度も神のシュートに、言葉に、笑顔に助けられた。心から感謝している。」
「牧さん・・・。いえ、こちらこそ。牧さんたち3年生のおかげで貴重な体験をさせていただきました。
ありがとうございました。」
「よし!みんな、整列だ!清田も泣くな、胸を張れ!!」
整列する10名。
「81対78 山王勝利!!」
「あっしたーー!!」
その瞬間、会場は、2校を称える賞賛と拍手で溢れた。
『パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!』
「ナイスゲームだ!!」
「いいぞ!山王!!明日も勝てよーー!!」
「3連覇に王手ーー!!!」
「牧!お疲れ様ーー!!」
コートの9人が話を始める。
清田は1人泣いていた。
「緊張感のある試合だったジョ。」
「沢北が初めから出ていたら、もっと楽な試合だったかもな。」
と野辺。
「そんなことはないジョ。沢北が出場した第4Qは、海南のほうが2点多いジョ。」
「ってことは、沢北が出場して戦力低下か。」
「そういうことになるな。うはっ。」
「ちっ違いますって!!」
「ええ。それは違いますよ。」
「神!!」
振り向くと神と清田、そして牧。
「俺も清田も、沢北のおかげでいつも以上の力が出せた。沢北に引き出されたという感じです。」
「神!お前は、いいやつだな。」
「俺は、そうは思っちゃいねぇけどな。」
清田は脹れていた。
「へっ、悔しかったら、来年流川を倒して、またこの舞台に上がって来い!そしたら、相手してやる。」
(あっ、そういえば、仙道ともやるんだったっけ?まぁ、誰でもいいか。骨のある神奈川のやつらならな。)
「お前こそ、勝ち抜いて来いよ。」
と清田が涙を拭いた。
「またアメリカ行くらしいな。」
「ええ。出そうな芽は摘んだし、さっさと優勝を決めて、もう1度アメリカにいきます。
唯一の心残りは、流川とできなかったことっすけど、それはまたいつか必ず決着をつける。
ところで、牧さんは進学決めたって話を聞きましたが?」
「あぁ、白金でそいつらを倒す。」
牧は、深津、河田に目を向ける。
「ふん。そんなに簡単にいくかよ。うはっ。」
「甘くはないジョ。」
「わかっている。だが、必ず倒す。覚悟しておけよ。」
そういって、微笑む牧であった。
観客席では。
「負けちまったな。」
と背筋を伸ばす三井。
「だが、あいつらそんなに悔しそうじゃない。」
微笑む赤木。
「全力で戦ったからな。納得のいく結果だったんだろう。」
と花形。
「見ているこっちも清々しい。」
腕組の魚住。
「さーて、今度の舞台は、大学だ!また、敵同士になるな。」
藤真が立ちながらいった。
「俺は、板前の世界で優勝を目指す。」
「なんだそれ!?」
突っ込む三井。
「赤木。ちゃんと、進学しろよ。浪人生なんてなるなよ。」
「ふん!たわけが。藤真こそ、ちゃんと入部試験に合格しろよ。」
「あぁ。牧や深津を倒すのは、それからだ。」
「そして、俺と三井は、まずは一部にあがること。」
「どうなるかな・・・。さぁ。今日は、帰るか?」
花形に答える三井。
「牧に会っていかないのか?」
「何年先かわからねぇが、今度会うときは、コートで会う。それまでは、会わねぇよ。」
「それじゃ、俺たちも帰るとするか。三井一人じゃ、何するかわからないからな。」
「あぁ。」
「なんだそれ!魚住!!」
記者席では。
「海南が負けてもうた・・・。わいは、どうしたらええんやろか・・・。ぐすん。」
「いい試合だったね・・・。ぐすん。」
「さぁ。ぼーっとしてないの!帰って、今日の試合をまとめなくちゃ!中村君、しっかり頼むわよ!」
「はっはい。」
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選抜優勝大会 準決勝
山王工業×海南大附属
山王 81
海南 78
【山王】青 81
#4 深津 9P 13A
#5 野辺 6P 12R
#6 松本 11P
#7 河田 17P 15R
#8 一之倉 0P
#9 沢北 15P
#14 柳葉 21P
#15 美紀男 2P 3R
【海南】白 78
#4 牧 25P 6R 12A
#5 高砂 6P 8R
#6 神 24P(3P6本)
#7 真田 4P
#9 武藤 4P
#10 清田 15P 8A
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惜しくも3点差で山王に敗れた海南は、翌日、第3位をかけて、あのチームと争うこととなった。
#05 海南 選抜編 終了
#06 愛和 選抜編 に続く。