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うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#413 【チーム力で勝つ】

2011-02-12 | #13 神奈川 国体編
愛知  12
神奈川 14




試合開始5分が経過。

神奈川は、早くも最初のタイムアウトをとった。




愛知ベンチ。


「ヒロシ、ちーと手を抜いたな。」

「様子を見ただけ。」


「最初のダンクで、また膝をやっちまったかと思って心配したぞ。」

「もう飽きた。早く終わらせて、うまいもんを食べに行こう。」

「あぁ、そうしよう。」にや。

監督冨名腰が続ける。


「天野、頼んだぜ。1点差だろうが、2点差だろうが、勝てばいいんだからな。
巧く立ち回ってくれよ。」

「了解です。」




湘北ベンチ。


「・・・・・・・・・。」


しばしの沈黙。


「清田君、作戦の確認です。今日の作戦は?」

安西が静かに問いかけた。


「チーム力で勝つ。」



「山岡君。」


「チーム力で勝つでしたよね。」



「その通りです。柳君。」


「清田さんと同じです。」



「黒川君。」


「チーム力で勝つ。」



「桜木君。」


「デブ坊主に勝つ!」



「!!!」

「!!!」

「!!!」



「昨年のインターハイの二の舞になりますよ。」



昨年のインターハイ準決勝、乱打戦の中、森重と共にファウルアウトした桜木。

森重に固執しすぎて、力と力でぶつかり合った結果であった。



「今年のインターハイを欠場し、リハビリに励み、筋力の強化を行った結果、
彼は、抜群の足腰の力強さと体格に似合わぬスピードを得た。
今の桜木君は、正面からぶつかっても彼には敵わない。」


「なっなんだと!オヤジ!!」


「桜木!安西先生の仰るとおりだ。」


「じじい!!」


「ですが、私は負けたとは思わない。」

と安西。


「!!!」


「なぜなら、チームの力に勝るものはないからです。」


「!!」


「桜木、練習を思い出せ。」


「ぬっ。」



-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>


「何度いったらわかるんだ!!そこはパスアウトだ!!
なぜ試合で出来て、練習で出来んのだ!!」

「俺は逃げん!!相手がデカ坊主だろうと、丸男だろうと逃げん!!!」


(桜木のやつ、森重らを意識しすぎて、周りが見えなくっている・・・。)

「逃げではない!!これは、チームプレーであり、チームの作戦だ!!
そのためにこの神奈川選抜は多くのCを揃え、シューターを揃えた。わかっておるのか!!」

「得点は俺が奪う!!ゴール下を制して、試合を制すのだ!!!」


静かにそのやり取りを聞いていた安西が口を開く。


「桜木君、なぜ田岡先生がこのような練習をさせるかわかりますか。」

「天才の力が必要だからだろう。」

「その通り。あえて、難しいプレーを君にさせている。」

「さすが、オヤジはわかっておる!ならば、このじじいを説得せい!」

「なんだと!」


「得点は、桜木君じゃなくても奪えます。」

「なに!」


「しかし、今練習しているプレーは、桜木君しかできません。」

「ぬ・・・。」


「流川君をも超えるインサイドの力強さ、パスセンス。」

「・・・。」


「桜木君がインサイドで並居る一流プレーヤーを抑え、パスを出す。」

「・・・。」


「そうすると、観客の目にはどう映りますか。」


「逃げている。」


「いや違う。さすが、桜木。凄いパスセンスだ。あの森重君、河田君を抑えながら、パスが出せるとは。
リバウンドも獲れ、得点も獲れ、パスもできる。個人技もチームプレーもできる。
あの身長でこんなプレーが出来るのは、桜木花道しかいないと。」

「・・・。」


「チームプレーにも徹しられる桜木花道は最高のオールラウンドプレーヤーだ。
神奈川を支えているのは、桜木花道だ。」

「・・・。」

(オールラウンドプレーヤー・・・。)



『チラ。』

田岡を見る桜木。


(仕方ない。)

「私もそう思うぞ。」



『チラ。』

彦一を見る桜木。


(ここは、桜木さんをノせなきゃあかん!)

「わいもや。」



『チラ。』

晴子を見る桜木。


「オールラウンドプレーヤー桜木花道の誕生だね。」



「オールラウンドプレーヤー・・・。」きらーん。



「チーム力で勝つ。簡単なことではありません。仲間を思いやり、信じる心が必要です。
だからこそ、この練習が大切なのです。みなさんもわかりますね。」


「はい!」

『コク。』


「桜木君がセンタープレーヤーとして開花したことは、インターハイで実証済みです。
次は、オールラウンドプレーヤーの素質を開花させましょう。」


「フン!わかったぜ!!チーム力で勝つ。イコール!!
天才オールラウンドプレーヤー桜木の誕生だな!!
その作戦にのってやるぜ!!」


(さすが安西先生・・・。桜木を思うままに動かしている・・・。)



-----------------------------------------------------------------------



「今の桜木君は、森重君を意識しすぎて、一人で負かさそうとしている。
しかし、ゴール下では彼のほうが上です。コート上での存在感は勝っているのに残念です。」

「・・・・・・。わかったぜ、オヤジ、じじい。
俺がデブ坊主を引き付けて、パスアウトすればデブ坊主に勝ったことになるんだな。
天才オールラウンドプレーヤーの誕生になるんだな。」

「その通りだ。」


「だが、これだけはいっておく!俺は、ゴール下でもデブ坊主には決して負けん!!」



「任せましたよ。田岡先生、最終確認を。」

「はい。いいか、速いパス回し、速い切り替え、神奈川が誇るチームワークを存分にみせてこい!
結果は自ずと現れよう!!」


「おう!!」

「はい!!!」



『ピィーーーー!!』


タイムアウトがあけた。




神奈川のオフェンス。



『パシ!』


エンドラインの清田から柳へ。


(速いパス回し。)



『パシ!』


『パシ!!』


『パシ!!』


『パシ!』



ドリブルを使わず、パスだけでボールをまわす。

その速さは、何年も同じチームでプレーしているかのようであった。



『キュ!』


「またブロックする。」

「やれるもんならな。」



『パシ!!』


愛知のゾーンを崩すかのようなパスワーク。


ボールは、インサイドの桜木へ。


縮まるゾーン。



『キュ!!』


強引なターン。



「くらえ!愛知!!!」




「バカ!!なにをやっとる!桜木!!!パスだ!!!」

「心配いりませんよ。」

「ん。」




「と見せかけて、猿回しパス。」

「おっ。」


桜木は、森重らを引きつけ、パスアウト。


そこには。



「猿回しパスはないよね。」



山岡。


ミドルからのジャンプシュート。



『シュパ!!』



鮮やかにネットを揺らした。



「ナイスパス!!」




「ようやく、作戦通りに動いたか。」

「桜木君!!ナイスパスだよ!」




「ハルコさん!!あとは天才オールラウンドプレーヤーに任せてください!!
スーパーアシスト決めていきます!!」




個で勝る森重に、チームで立ち向かうことを決めた桜木。


桜木の大きな精神的な成長が見られたが、果たして巧くいくのか。




愛知  12
神奈川 16







続く。

#412 【懸念材料】

2011-02-09 | #13 神奈川 国体編
『ザッシュ!!』




「キターーー!!桜木!!!」

「8得点の荒稼ぎ!!!」

「森重を超えたぞーーー!!!」

「怪物は桜木のほうだーーーー!!!」




愛知  10
神奈川 14




「どうだ!愛知!!チーム桜木の強さは!ハッハッハ!!」




「こっこれは、想像以上の桜木の成長。完全に森重を圧倒している。」

と田岡。

「すっ凄いで。凄すぎやで、桜木さん!!」




「上出来。いや、出来すぎている。落とし穴がなければいいが・・・。」

(桜木も成長はしている。だが・・・、何かが引っかかる。)

桜木の出来を懸念する高頭。


「大丈夫ですよ。きっと。」

(頑張ってきたもんね。)

と微笑む晴子。




(確かに、桜木君はプレーの幅も広がり、インサイドの主役を張れる選手にはなったけど・・・。
こんなに一方的に森重君がやられるわけはない。彼の膝は、まだ完治していないのかしら・・・。)

少し浮かない弥生。




「田岡先生、タイムアウトを。」

「えっ。この流れを切るのですか?」


「タイムアウトを。」

「はっはい。」


(なっなぜだ。)

田岡は、オフィシャルに渋々タイムアウトを要求した。




「タイムアウト?」


『パタパタパタ・・・。』


「どうやら、安西先生も落とし穴を懸念されているようだ。」

と高頭。




『パシ!!』


「よっしゃーー!!」

「ぬっ。」


青木から河本へのリターンパスを清田がスティール。




「安西先生、ご覧の通りうちは今いい流れですぞ!」

「・・・。」


「ここでタイムアウトとは・・・。」

納得のいかない田岡。




神奈川のセットオフェンスに入る。



(フン!もう、こいつには負ける気がしねぇ!!)



『キュ!!』



「来い!野猿!!」



『バン!』



桜木が森重に勝負を挑む。




「いけーーー!!桜木ーーー!!」

「森重を倒せーーーー!!!」

「息の根を封じろーーー!!」




「うぉぉぉーーー!!」



『キュッキュ!!』



『ダムッ!!』



「くらえ!デブ坊主!!!」


スピードに任せた振り向きざまシュート。



『シュ!』



「・・・。」



『パチ!!』



「!!!なぬ!」


「!!!」


「!!!」




「なっなんだとーーー!!!」

「森重のチェックだーー!!!」

「あの速さのシュートに触ったぞー!!!」

「今まで反応できていなかったのに!!!」




「なっなにーー!」


「・・・。」にっ。


(わっ笑いやがった。)



森重は、この試合初めて桜木のシュートに触れた。



(まぐれにきまっておる!)




「ツキは、神奈川だーー!!」

「まだいけるぞ!!!」

「いけーーー!!チャンスだ!!!」




ルーズボールは、黒川がキャッチした。


目の前に障害はない。



『シュ!』



台形内からのシュート。



『ティン!』



「なっ!!」


「えっ!」


「!!!!」


「!!!」


「どっどこから!!」




「うわぁーーーーー!!!!」

「また森重だーーー!!!」

「連続ブロックだーー!!!」

「凄い迅速な動き!!!」

「愛知の怪物が動き出したぞーーー!!!」




再び、現れた森重。

黒川のシュートに触った。

ボールは、軌道を変え、高く舞い上がった。



「おっ。」


「やろう!!」


「くそ!」



『ダン!』



『ダン!!』



宙に浮くボールに向かって跳ぶ青木、森重、黒川、桜木。



(リバウンドは譲らねぇ!)



「もらったーー!!!」



「・・・。」



『バチン!!!』



『バン!』



『ドン!!』



『ダン!!!』




「!!!!」


「!!!」



目を丸くする神奈川の選手。



「っと。」



『ドン!!!』



「・・・。」にっ。




「リッリバウンドも森重だーーー!!!」

「すげーーー!!!」

「たけーー!!桜木以上じゃねぇかーー!!!」

「ゴール下の怪物だーーー!!!」

「神奈川のオフェンスをシャットアウトだーーー!!」




「っつう!」


『ドテ!!』


「なぬっ!!」



桜木、黒川、そして仲間の青木までが、森重に吹っ飛ばされていた。



(こっこのやろ・・・。)

驚いた表情を見せる桜木。



(すっ凄いパワーだ。)

同じく黒川。



(仲間までも吹っ飛ばすかよ。普通。)

と苦笑う青木。




「森重キターーーー!!」

「完全復活だーーー!!!!」

「怪物森重!!長野上陸!!!」




「すっすごい!!!正しく怪物!!!」

「このままやられっぱなしで、終わるはずなかったわよね。
いよいよ、森重寛の本領発揮。ここからが本当の勝負よ!」




「神奈川で1,2のパワープレーヤーを吹っ飛ばすか。」

冷や汗を流す高頭。

「桜木君!!黒川君!!」




「ヒロシのやつ、ようやくやる気が出たようだな。」にや。

と愛知監督冨名腰。




「森重!こっちだ!!」



『ビュン!!』



「しっしまった!」



清田が声の方に振り返ったときには、もう遅かった。


森重からのワンパスを冷静にゴールへ運ぶ河本の姿が映る。



『シュパ!』




愛知  12
神奈川 14




「・・・。」にっ。


「デブ坊主!何、笑ってやがる!!」

森重に噛み付く桜木。



「たいしたことないな、お前。もう飽きた。」


「なっなんだとーー!!!」



「遊びはおしまいだ。」


「てってめーー!もう一遍いってみろ!」



『ピィーー!!』



「君たち、私語は慎みたまえ。」


「ぬっ。」


審判の言葉に冷静さを取り戻した桜木。



(おのれ、デブ坊主。恥をかかせおって。)


「・・・。」にっ。



直後。



『ピィーーーー!!』


「タイムアウト!白!」

神奈川のタイムアウトが告げられた。




「桜木さんの動きが落ちた。いや、森重さんの動きがようなっただけや。」

「まっまさか・・・。安西先生が懸念しておられたのは、このこと・・・。」

(遊んでいたのか・・・。森重は・・・。)


『ガタ。』

安西は席を立った。
 



愛知  12
神奈川 14







続く。

#411 【俺に回せ】

2011-02-07 | #13 神奈川 国体編
準決勝 第1試合

愛知  2
神奈川 0




森重が試合開始早々にダンクを決めた。




「ヒロシ!ディフェンスだ!」




『ドン!』


リングから着地。


すれ違う桜木と森重。



(おもしれぇ。どっちがNo.1か、決めようじゃねぇか!)

桜木は笑った。



「おい!野猿、俺にパスをよこせ!」

「なっ、何を勝手なこと!」


「チーム力で勝つだと・・・。フン、俺一人で愛知を黙らせてやる!!」

「てめー、監督の作戦通りに。」


「まぁ、いいじゃないすか、清田さん。やられっぱなしはよくないし。
それに喧嘩はご法度。チームで勝つんでしょ。」

「やっ山岡てめー!」


「但し、森重に負けるようなことがあったら、即交代。いいね、桜木。」


「フン、ジョートーだ。たまにはいいこというじゃないか。山猿。」

「まぁね。」にこ。


「ちぃっ!1本だけだからな。」


「あぁ、1本あれば十分だ。愛知を黙らせてやるぜ!」きらーん。



清田からトップの柳へボールが回る。


「赤毛猿に回せ。」

「了解。」

(清田さんのそういうところ、好きっすよ。)



『ダムダム!!』


「!!!」




「ゾーンだ!!愛知はゾーンで対抗だ!!」

「名朋のゾーンそのままだ!!」

「インサイドを固めてきたーー!!!」




「・・・。」

考える柳。


愛知は、名朋工業十八番の2-1-2のゾーンディフェンスを敷いた。


(あの強力ゾーンから、桜木さんが得点を奪える・・・のか?)



『パシ!』


柳から山岡へ。

(ゾーンは予想通り、問題ない。桜木はやる男だ。)



『パシ!』


『パシ!』


ボールは、柳に戻り、逆サイドの清田へ。



(切り崩してやるぜ!)



『ダム!』



「いくぜ!!」



『キュッ!』


『ダムダム!!』



ゾーンに突っ込む清田。


愛知ディフェンスが一気にしぼむ。



『キュ!』


『キュッ!』



山岡が、桜木が、あわせて動く。


清田から山岡へパスアウト。


山岡がすぐにインサイドへ放る。


受け取った黒川が、器用なパスをゴール下に放った。


鮮やかなパスワーク。




「うわーーー!!すげーーー!!」

「完成されたパスワーク!!」

「レベルたけーー!!」




「当たり前だ!この1ヶ月、何よりもパスワークに力を入れてきたのだからな!
チーム力で勝つ!!ですよね、安西先生。」

と田岡。

「ほっほっほっ。」




「おぉぉーーすごい!」

「さすが、神奈川のスタッフ陣、しっかり仕上げているわね。」




『キュッ!』


『パシ!』


森重の前を奪い、ボールを受け取った桜木。




「よし!!そこから、山岡にパスアウトだ!桜木!」

叫ぶ田岡。

「練習どおりや!!」




『クル!』


「!!!!」




「さっ桜木さん!!」

「桜木!!!???」



スピンムーブ。




「バカもん!!パスアウトだーー!!!」

再び、叫ぶ田岡。




お構いなしに、桜木はゴール下を狙った。



『サッ!』



桜木はシュートフェイクを入れた。


森重は反応しない。



だが。



桜木の後方で、青木が跳んでいた。



青木へのシュートフェイク。


「読んでいたか!!」




「無謀に突っ込んだように見えたが、桜木のやつ、冷静に青木を回避した。」

と高頭。

「いっちゃえ!桜木君!!」

と晴子。




『ピク!!』


(ハルコさん!!)



『ダム!』


『キュッ!』


『グッ!』



「おっ!!」


「ぬっ!!」



『キュッ!!』



『バス!!』



桜木は、力技で森重と対決。


ワンドリをふまえ、見事ゴール下からねじ込んだ。



「どうだ!!見たか!!」


「・・・。」


「高さでも、力でも負けねぇぞ!!」


「・・・。」



「いい調子だ!!」

と山岡。




「さっ桜木のやつ、作戦を無視しおって。だが、あの森重に力と高さで勝つとは・・・。」



「・・・。」

無言の安西。




続く、愛知のオフェンス。


『ザシュ!!』


森重のパスアウトを金田が手堅く決める。



(打点が高い。)

「気にするな、山猿。今のパス。この桜木を怖れていると見える!
またデブ坊主の上から決めてやるぜ。ハッハッハ!」



(いつの間にかに、デカ坊主からデブ坊主に変わってる・・・。)

と苦笑う柳。




神奈川のオフェンス。



『バス!!!』




「また桜木だーーーー!!!」

「いいぞ!!桜木ーー!!」




「見たか!デブ坊主!!」




「いいぞ!!桜木!!」

「あの森重君が手も足も出てないで!!」

「安西先生、嬉しい誤算ですな。あの桜木が森重の高さを超えていますぞ!」


「・・・。」

「安西先生・・・?」



「今一度、作戦を認識させる必要があります。」




『バス!!』




「また桜木!!!」

「連続6得点!!!」

「ノッてるぞーー!!!」




「ハッハッハ!!」




「すごい!すごいですよ!相田さん!」

中村は興奮を隠しきれない。

「桜木君のオフェンスのバリエーションが、IH時よりも増えている。」




桜木が、愛知のゾーンディフェンスを粉砕した。


インサイドのオフェンスで愛知を超える動きを見せた神奈川だったが、このあと安西の懸念が現実となる。




愛知  6
神奈川 6







続く。

#410 【愛知×神奈川】

2011-02-05 | #13 神奈川 国体編
準決勝 第1試合

愛知県 × 神奈川県




愛知県選抜のスターティングメンバーが紹介された。


「続きまして、神奈川県のスターティングメンバーを紹介させていただきます。」




「#4 キャプテン 清田信長君」




「清田、聞いたことねぇな。」

と愛知PG天野。

(まぁ誰だってかまわねぇけどな。)




「#5 山岡拓真君」




「SGは陵南の山岡。不足なし。」

とSG河本。




「#8 黒川大蔵君」




「ん。」

(赤いのじゃないのか。)

と森重。




「#9 柳春風君」




「!!!!」

「!!!」

驚く愛知。




会場もざわついた。

「湘北の柳だと!」

「どういうことだ!!」




記者席。


「ツーガード!?」

「いや、今日は田岡監督、それはないはずよ。」




「#10 桜木花道君」




「桜木ーーーーーー!!!」

「赤坊主ーーーー!!!」




一際の歓声。


「トーーゼンだな。」



(やっぱり来た。)

少し嬉しそうな森重。




「桜木君をPFとして起用するようね。」

と弥生。




「神奈川のスタートがおかしいぞ!!!」

「Cが2人だーー!!」

「いや、それよりも高さが足りない!!!」

「どうする気だーーー!!!」




「簡単なこと。高さよりも速さを選んだってことだ。」

と愛知県の監督冨名腰。




「スピードのない愛知なら、例え低い清田、柳でも十分すぎるほどやれるはずだ。」

自信を覗かせる田岡。


「第1Qで決めるぞ!!」


「おぉーー!!監督、いつになく自信満々やでーー!!」

マネージャー席に座る彦一。




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【愛知】赤

PG…#4 天野 之博 186cm/3年/名朋工業
SG…#5 河本純一郎 182cm/3年/名朋工業
SF…#10 金田 乙矢 188cm/3年/愛和学院
PF…#8 青木 哲哉 193cm/3年/愛和学院
 C…#15 森重 寛 202cm/3年/名朋工業



【神奈川】白

PG…#9 柳 春風 172cm/2年/湘北
SG…#4 清田 信長 182cm/3年/海南大附属
SF…#5 山岡 拓真 185cm/3年/陵南
PF…#10 桜木 花道 196cm/3年/湘北
 C…#8 黒川 大蔵 193cm/2年/陵南

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「ジャンパー前へ。」


「デカ坊主、久しぶりだな。」

「そうだっけ。」


「1年ぶりだ。」

「あっそうか。」


「あの時の借りは返すぞ!」

「・・・。覚えてないけど。」


「!!とにかく、今日は勝つ!!」

「あっそう。」



「始めます!」



(ちぃ、張り合いのねぇやろうだ。)



ジャンプボールに備える両者。


「まずは、先制攻撃だ!!!」



『シュ!』



審判がボールを放った。



「フン!!」


『ダン!!』



『バチン!!!』



「!!!!」

(なぬ!)


「!!!!」

(おっ!)


両者は勝てると予測していたが、互角でのジャンプボール。




「桜木すげーーー!!」

「森重も今日は跳べているぞーー!!」




ルーズとなって、高く舞うボールを。



『パシ!』


PF青木が奪った。

すぐに、PG天野へパス。



「さっさと決めようぜ。」にや。


「させるかよ。」

と清田。



神奈川はマンツーマンで対抗する。

天野と清田、河本と柳、金田と山岡、青木と黒川、そして森重と桜木。

オフェンス時には、柳がPGを務め、SGに清田、Cには黒川が入り、桜木がPFを務める作戦。




「やっぱり、こうしてマッチアップしてみると、みんなが小さく見える。」

と心配そうな晴子。




『グッ!!』


『ガツ!!』


(こいつ・・・。また重くなってやがる。)



「また太りやがったな!デカ坊主!!」

「ん。少し。」



『ダムダム!!』


『キョロキョロ。』


トップの天野の目が動く。


(森重へのパスの経由先を探している。)

「山岡!柳!!パスを入れさせるな!!」


「了解!!」

「っす。」



(ちまちまやってられるかよ。)

と天野は、リングに向かって、ボールを投げつけた。


(まずは、挨拶だ。)



『ビィ!!』



「!!!」

「!!」


(直接、ゴール下!!)




「さぁ、ヒロシ、かましてやれ。」

にやりと笑う冨名腰。




『ダン!!』



「赤毛猿!来るぞ!!」


「きやがれ!デブ坊主!!!」



『パシ!!』


天野から森重へのパスが通った。




「いきなり森重君だーーーー!!!」

と中村。




『ダン!!』



森重、勢い良く着地。



と同時に。



『クル。』



「!!!!」



高速のスピンムーブ。

それは、森重の体から想像できぬ速さであった。



「・・・。」




「速いわ!!」




(速ぇ!!)



『ダム!!』


『ダン!!』


『ドガッ!!!』



流れるような一連の動作。



桜木が完全に振り向いたとき、すでに森重は片手でリングを掴んでいた。



「・・・。」


「・・・。」



『ギシギシギシ・・・。』



リングを掴みながら、森重が言葉を発する。



「おっちゃんが、今日は全力でやっていいって。」

「なぬ!」


「少しは楽しませてよ。」

「なっなんだと!」



開始早々に見せた森重のワンハンドダンク。


愛知の怪物こと森重寛が全力で神奈川を踏み倒しにかかる。



愛知  2
神奈川 0







続く。

#409 【準決勝第1試合】

2011-02-03 | #13 神奈川 国体編
国民体育大会 バスケットボール競技 少年男子

準決勝

愛知県 × 神奈川県

京都府 × 秋田県




「うぁぁーーー!!」

「わぁぁぁーーー!!!!」

「まだかーーー!!」

「早く試合しろーー!!」

「待てねぇーーー!!」



長野県立総合第3体育館。

観客たちが試合開始をまだかまだかと待ちわびている。




「神奈川の試合は、どうも緊張しちゃいますね。」

記者席に座る中村と弥生。

「怪我でIHを欠場した森重君とIHで急成長を遂げた桜木君の1年ぶりの対戦に注目ね。」




両チーム。

ベンチにて、作戦の最終確認を行っていた。




愛知県選抜。


「膝の調子はどうだ、ヒロシ?」

「もうなんともない。」


「そうか・・・。」

(相手が神奈川となれば、ヒロシも全力を出さざるを得ねぇよな。)


「よし。今日は好きなようにやってこい。」

「好きなように・・・。ダンクしてもいいってことか。」

「あぁ。IHに出場できなかった分、思いっきり暴れて来い!」

「わかった。」


冨名腰が小声で天野に話しかける。

「天野、試合運びは任せたぞ。ああはいったが、明日の決勝もある。
ヒロシには、無理をさせるわけにはいけねぇからな。」

「えぇ、もちろん。ここは通過点ですから。様子を見ながら行きますよ。」

「頼もしい限りだ。」にや。



「金田!青木!IHの借りはここで返すぞ!」

気合を入れる天野。


「流川のやつがいねぇのはなんでだ?」

と金田が尋ねた。

「今、日本にはいないらしい。」

青木が答える。


「マジかよ!?超ありえねー。国体辞退で海外旅行とは、どういうつもりだ。ナメてるとしかいえねぇぜ!」

「そんなことはどうでもいい。誰がいようがいまいが、俺たちは優勝するだけだ。わかったな。」

「あぁ!」

「おう!!」


キャプテンらしく天野が締めた。




神奈川ベンチ。


安西の隣には、田岡。

作戦盤を持って、ディフェンスの最終確認を行っている。


「愛知には優れたシューターはいない。
森重にボールが入ったら寄れ!人数で抑えるんだ!!」

「フン!俺一人で十分だ!!いや、パスさえもいれさせねぇ!!!」


「それくらいやってもらわんと困るぞ!桜木!!ゴール下を支配するんだ!!」

「トーゼン!!ゴール下も試合も制する!!」


最終確認も終了し、田岡が安西に一言を促す。


「では、最後に安西先生、一言お願いします。」


「昨晩のミィーティングで私がいったことを覚えていますか?」


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

各選手が昨晩を思い出す。


「チーム力で勝つ。そして、誰一人欠いても優勝できない。」

と清田がいった。


「はい。その通りです。この大会、全員で優勝します。わかりましたか?」

「はい!!!」

「おう!!!」

『コク!!』




『ビィーーーーーー!!』




ブザーの音が体育館に響き渡る。




「始まるぞーーー!!!」

「おいおい!!待ちくたびれたぞーーー!!」

「いよいよだーー!!」

「森重!完全復活だーーー!!」

「流川不在で勝てるのかーー!!」

「そんな甘くないぞ!!!」




『ピク!』


『ピク!』



「流川などいなくて十分だ!!」

2人の選手の声が揃う。


「ん!!」

「ん!!」


「野猿!今日は気が合うな!」

「一時休戦だ。流川などいなくとも、神奈川が一番強いところを見せ付けてやるぞ!!」

「おうよ!!」


(おっ、流川さん不在がいい方向に。)

と柳。


「田岡監督がいっていたのはこのことか。」

「敵の敵は味方。意外なことでまとまるもんだな。」

黒川に答える空斗。


「ここにいなくとも流川の影響力は大だな。」

山岡が締めた。




「これより、少年男子準決勝第1試合 愛知県対神奈川県の試合を開始いたします。」


場内のスピーカーからアナウンスが流れ始めた。


「はじめに、愛知県のスターティングメンバーを紹介させていただきます。」




「わぁぁぁーーー!!!」

「おぉぉぉーーー!!!!」




「いよいよですね!」

観客席に座る晴子。

横には、高頭が座る。

「先輩、決して負けてはいけませんぞ!」

本日は、ベンチ入りが叶わなかった2人。




「#4 キャプテン 天野之博君

 #5 河本純一郎君

 #8 青木哲哉君

 #10 金田乙矢君

 #15 森重寛君」




「うぉぉーー!!!!」

「いけーーー!!森重ーーー!!!」

「勝つんだ!!愛知!!!!」

「愛和!名朋!の最強チーム!!」

「2連覇確定ーーー!!!」




大声援が飛び交う中、ゆっくりと5人の選手がセンターラインに並ぶ。



「寛、頼んだぞ。」

「・・・。腹減った。」

「はははっ。勝ったら美味いもん食べに行こうぜ!監督の驕りでよ。」

「そりゃいいぜ!マジ!うめーもん食べてぇーー!」


愛知選手からは、余裕さが伺えた。




記者席。


「神奈川は誰がスタメンだろう。あぁ、心臓がドキドキしてきましたよ!」


(絶対エース流川君不在の神奈川。どう影響するか。)




「続きまして、神奈川県のスターティングメンバーを紹介させていただきます。」




そして、注目の神奈川のスタートが紹介される。








続く。

#408 【国体開幕】

2011-02-01 | #13 神奈川 国体編
「うわぁーーーー!!!」

「おぉーーーー!!」

「押せーーーー!!!」

「いけーーー!!!」




『ダムダム!!』


『シュパ!!』



「ナーイッシュ!!!」

「ディーフェンス!!ディーフェンス!!」

「ディーフェンス!!ディーフェンス!!」




活気に溢れ、盛り上がりを見せるここ長野県立総合第3体育館。


第65回 国民体育大会バスケットボール競技 少年男子の部の会場である。


各地区ブロック予選を勝ち上がってきた15チームと開催地長野県選抜の計16チームが参加している。


現在、大会3日目に入り、本日ベスト4が決定する。




観客席。


『ZZZ・・・。』


「また寝てる・・・。天野!チームメイトだろ!こいつどうにかならないのか!」

「寝る子は育つ。そんなところだね。あはははっ。」



『ペシ!』


天野と呼ばれた男は、おもむろに隣に座る大男の坊主頭を叩いた。


「ん。」

「この試合ももうすぐで終わりだ。そしたら、ホテルに戻るぞ。」


「・・・。ZZZ・・・。」

大男は、再び深い眠りについた。



試合を観戦しているのは、愛知県選抜。

名朋工業と愛和学院の混成チームである。

1、2回戦と危なげなく、勝ち抜き、準決勝進出を決めている。

昨年に続き、国体連覇を目指す優勝候補筆頭でもあった。


チームの中心は、何といっても愛知の怪物といわれているC森重寛。

得点、リバウンド、ブロック、3部門でベスト3にランクインしていた。

だが、本人はまだ全力を出していない。

いや、許可が降りていなかった。



名朋工業の長身PG天野之博。

FからPGにコンバートされ、一気に開花した遅咲きのプレーヤー。

現在は、名朋監督冨名腰の絶対的な信頼を得て、名朋、愛知県選抜のキャプテンを任されている。



愛和学院からは、PF青木哲哉。

愛和学院の伝統らしく、影でチームを支える物静かな男。


もう一人。

SF金田乙矢。

愛和学院のリーディングスコアラー。


SGには、名朋から韋駄天河本らが名を連ねていた。


(堂本、IHの反省を含め、修正してきたようだが・・・、まだ弱い。
それでは、うちには勝てんぞ。)

愛知、冨名腰監督は静かにコートを眺めていた。




その愛知の反対の観客席。


『ZZZ・・・。』


「また寝てるよ。秋田の試合くらい見ればいいのに。」

と呆れる天沼。


「起きれば、騒がしいから寝かせておけばいい。」

と清田。



『ピク。』

「ん!なんかいったか。」

「ちぃ、勘だけはするでぇの。」


「先輩、秋田の試合ですよ。河田さんや柳葉さんもいます。少しくらい見ておいていたほうが・・・。」

桜木を諭す緑川。


「フン。問題ねぇーー。」


『ZZZ・・・。』


赤坊主は、再び深い眠りについた。


「はぁーー。ダメだ、こいつ。」




現在、コート上では、2回戦第4試合

秋田×兵庫の試合が行われている。


森重、桜木が熟睡するのも納得するほど、一方的な試合展開になっていた。


第3Qを終え、30点差。


秋田選抜の大差リード。


迎えた第4Q。


秋田は、スタメン選手を下げ、控え選手を出場させていた。




「#4は、山王の選手ではなかったですね。」

と空斗。

「どこかで見覚えがあるんだけどな~。思い出せない・・・。」

山岡が答える。




ベンチで堂本と話す見覚えのない顔が一つ。


秋田選抜のキャプテンを務めるのは、秋田育英のSF藤浪博美であった。

秋田県予選、県準優勝が指定席となっている秋田育英高校のキャプテンであり、
敵ながらあっぱれと堂本も一目置く頼れるプレーヤーであった。


その横には、物静かに汗を拭う柳葉の姿。

現在、森重を抑えて、得点ランキング1位の小さな巨神である。


大きな体で一際目立つ河田と談笑しているのは、柳葉よりも小さな体をしている#15。




「清田さん、あいつは要注意っすよ。」

と柳。

「あぁ、見覚えのある顔。兄貴そっくりだな。」

「冷静で度胸も据わっている。」

「山王の正PGの西山さんが負傷しているため、IHから山王のPGを任されています。」


「あんなやつ、僕がぎゃふんといわせてやる!!」

「お前には無理だ。器が違う。」

「おっお兄ちゃん・・・。」

としぼむ秀吉。


「1年生ながら、要注意人物だな。」

「フン!情けねぇ!!やっぱり、野猿は野猿だ!」

「赤毛猿!起きていやがったのか!」

「天才は眠らずとも問題ない!!」

「いや、思いっきり寝てたでしょう!!」

「ピョン吉の弟など、この天才の敵ではない!」

「いや、ポジションが違うから。」

「ぬ。そうだったな。オイ、野猿!相手が誰だろうと負けは許さねぇからな。
チーム桜木に敗北の2文字はない。」

「だから、いつからチーム桜木。」

再び突っ込む柳。


「てめーこそ、河田に負けるなよ!」

「愚問!!」



「とはいえ、秋田とは決勝じゃないとあたらない。」

と空斗。

「まずは、愛知の怪物超え。」

と白田。

「予定通り、明日は田岡監督がベンチに入るようだ。」

と黒川。

「安西先生も考えたよね。愛知の対策を田岡監督に、秋田の対策を高頭監督に、それぞれ分担するとは。」

と緑川。

「明日のスタートは、夜のミィーティングで発表されるらしい。」

と海斗。

「さて、どうなるか。」

と柳。




まもなくして、秋田戦は終了。



『ピィーーー!!』




秋田 106
兵庫 72



ベスト4が決定した。








続く。

#407 【清田兄弟】

2011-01-28 | #13 神奈川 国体編
【青】

PG…柳 春風 172cm/2年/湘北
SG…山岡 拓真 185cm/3年/陵南
SG…緑川 航 185cm/2年/湘北
SF…天沼 健一 182cm/3年/翔陽
 C…桜木 花道 196cm/3年/湘北
 C…大泉 大丸 191cm/3年/海南



【白】

PG…清田 信長 182cm/3年/海南
SG…清田 秀吉 175cm/1年/海南
SF…上杉 海斗 186cm/2年/海南
SF…上杉 空斗 186cm/2年/陵南
PF…白田 豊 195cm/2年/湘北
 C…黒川 大蔵 193cm/2年/陵南




青 42
白 40




即席の4アウト。

黒川のパスから海斗が3Pを沈めた。

元チームメイトが見せた鮮やかなパスワーク。


残り時間もあとわずか。

練習とはいえ、緊張感が増す。



青チームのオフェンス。


柳から緑川へのパス。


『パシ!!』


「いただき!!」


「!!!」

(ちっ!)


「!!!」

(秀吉!!)


柳、緑川の不意をついた秀吉の一瞬のスティールであった。



「オラオラ!!」


『ダムダム!!』


兄譲りのスピードで、一人で駆け上がる秀吉。



ワンマン速攻。


スタートの遅れた柳と緑川は、追いつくことが出来ない。


そして、フリースローラインを越えたところで、大きく踏み込んだ。



(見せてやる!この秀吉の真骨頂を!!)



『ダン!!』



「まさか!やる気か!!」

「届くのか!!」

「完成したのか!!」



(お兄ちゃんにも出来るんだ!!僕にも!!)



「見てやがれ!赤毛猿!!」



『ピク!』


「小猿には無理だ。」



秀吉は舞った。



小さな手でボールを掴み、大きく振りかぶる。



そして。



リング目掛けて叫ぶ。



「くらえーー!!秀吉ダンク!!!」



「!!!」


「!!!」


「!!!!」



『ガコ!!』



「!!!」


「!!!!」


「やっぱり!!」


「普通に考えて無理だろ!!」


「高さ足りてない!!」



(ダッダメだったか・・・。)


落下しながら思う秀吉。


ダンクを狙ったもののボールはリングにあたり、大きく跳ね返った。



失敗。



『ドテ!!』


「いってーー!」

コートに叩きつけられる秀吉。



「ハッハッハ!小猿にはまだ早いわーー!!!」

踏ん反り返す桜木。




(全然、届いてへんやん・・・。)

と彦一。




「くそ・・・。」



だが。



リングに跳ね返り、宙を舞うボールを。



『パシ!』



「弟の失敗は兄が補う!!」


清田が掴んだ。



「おっお兄ちゃん!!」



「オラァーーー!!」



『ガッシャン!!!』



「!!!!」


「!!」



『ギシギシ・・・。』



そのままリングに叩き込んだ。



「どうだ!赤毛猿!!」

振り返る清田。



『ピク!』


「どうだ!赤毛猿!!お兄ちゃんはすげーだろ!!」



『ピク!』


「フン、大したことはねぇな。てめーらは二人で一人か。」



「なぬ!」

「なんだと!」


「ガルルルル!!!」

「ガルルルル!!!」

「ガルルルル!!!」




(はぁ、やはり清田兄弟と桜木の相性は最悪だ。コーチの私としては、悩みどころだ。)

と田岡。




(清田と桜木を同じコートに出すのは賭けに等しいな。だが、このチームでも4アウトの可能性は見い出せた。)

と高頭。



「ん!!」


「ん!!」


目の合う田岡と高頭。


「コーチの座は譲らんぞ!」

「私がコーチです。」


『ギラギラギラ・・・。』




第1回戦

青 46
白 42




青チームの勝利で終わった。



「どうだ!猿兄弟!!チーム桜木の力を思い知ったか!!ハッハッハ!!」


「あのやろー!」

「くそう!!」




監督を代え、選手を代え、作戦を代え、5on5の練習は、全部で3本行われた。


安西は、細かく晴子にメモを取らせていた。


そのメモを見ながら、にこにこと微笑む安西。


こうして、合同練習初日を終えた。




練習終了後のミィーティング。


部室には、安西、田岡、高頭の姿。


「・・・・・・・・・・。では、どうでしょうか。」

「承知しました。」

「ふむ。安西先生がそこまで仰るなら、やむ得ませんな。先輩頼みましたぞ。」

「フン、貴様こそ負けるでないぞ。」


「では、お願いします。」

「はい。」

「承知。」




そして、1ヵ月後・・・。


彼らは、国体制覇を目指し、開催地長野県に飛んだ。








続く。

#406 【常盤中メンバー】

2011-01-25 | #13 神奈川 国体編
【青】

PG…柳 春風 172cm/2年/湘北
SG…山岡 拓真 185cm/3年/陵南
SG…緑川 航 185cm/2年/湘北
SF…天沼 健一 182cm/3年/翔陽
 C…桜木 花道 196cm/3年/湘北
 C…大泉 大丸 191cm/3年/海南



【白】

PG…清田 信長 182cm/3年/海南
SG…清田 秀吉 175cm/1年/海南
SF…上杉 海斗 186cm/2年/海南
SF…上杉 空斗 186cm/2年/陵南
PF…白田 豊 195cm/2年/湘北
 C…黒川 大蔵 193cm/2年/陵南




青 42
白 37




『ピィーーー!!』


「交代です。」


「空斗さん。」


試合終了2分前、高頭は秀吉を投入した。



「今更、出場したところで何もできまい!」

と桜木。

「うるせー!お前だけには、絶対負けないからな!」




白チームのオフェンス。



『ダムダム!!』


(作戦通りいくぞ!)

と各選手を見る清田。


『コク。』

『コク。』


「白田は左。黒川はハイポ!」

「はい!」



トップから清田の指示が飛ぶ。


そして、自身は45°へ。




(器用な白田なら、問題なく対応できるはず。)

と高頭。




『ダム!』


『キュッ!』


『キュ!』




(ツーガードや!海南十八番のツーガードや!)




(即席チームで出来るのか!?)

と田岡。




(試してみる価値はある。)

と高頭。




『キラ。』

安西の眼鏡が光る。




左右45°に清田兄弟。


0°に白田と海斗。


ハイポに黒川の陣形。



「ディフェンス集中!!」

山岡が叫ぶ。

「おう!!」


「貴様らの小細工など、チーム桜木には通用せん!!」


「なにがチーム桜木だ。黙らしてやる!」

と秀吉。



『パシ!』


『パシ!!』


外の4人でパスを回し、攻める切り口を探す。


黒川もまた、オフェンスのタイミングを計る。


そして、0°白田にボールが渡ったところで、桜木がゴール下から連れ出された。


その瞬間を黒川は見逃さない。


一気にハイポからローポへ。


ツーガードシステムを熟知している大泉は黒川にピッタリと張り付く。



『ダン!』


白田から黒川へバウンドパスが通った。



(切れてくる逆サイドの秀吉にパスか。)

大泉の読み。



『キュ!!』


案の定、秀吉が逆サイドから切れてきた。


(読みどおり!!甘いぞ!)

と大泉。


ポストアップしている黒川。


『クル。』


首を秀吉側へ振る。


(ビンゴ!!)

大泉は、秀吉側に寄った。


パスカットを狙う。



「!!」にっ。


『クルッ!!』


『ダム!!』


「!!」


「!!」


「しまった!!フェイクか!!」




(大蔵!巧いで!!)




黒川は、大泉の動きを察知し、スピンムーブでエンドライン側からドリブルを開始。

大泉の逆をつき、あっさりと抜き去った。


だが、一連の動きを読んでいた逆サイドの山岡がカバーリング。



「フリーじゃ打たせないよ!!」


「!!」


(さすがですね!でも!!)にや。


黒川は詰め寄る山岡の逆を突くように、前方へパスアウト。



「!!!」


(パスっ!!)


「!!」



そこには、シューター海斗。



『パシ!』



(さすが大蔵。俺の好きな高さを知っている。)



『スーー。』



ボールを胸から頭の上へ。


空気が一瞬止まる。


膝から腕へ。


腕から指に。


繊細な力がボールに伝わった。



『シュ!!』



高い放物線を描いた3Pシュート。



『スト。』



リングに触れることなく、ネットの音を鳴らした。



「まあまあだね。」にこり。


「しびれるな。」

と黒川。

「さすが、海斗さん!!」

と秀吉。


「やられちゃった。」

と山岡。



昨年の国体、1年ぶりに同じチームでプレーをした常盤中出身の黒川と海斗だったが、
そこには、時間の経過など一切感じさせない呼吸があった。


(あいつら。)

と嬉しそうな柳。


(たまにはいいかな。)

と同じく嬉しそうなベンチの空斗。



常盤中出身者4人の心は、今でも抜群の呼吸を見せていた。




青 42
白 40







続く。

#405 【湘北メンバー】

2011-01-24 | #13 神奈川 国体編
【青】

PG…柳 春風 172cm/2年/湘北
SG…山岡 拓真 185cm/3年/陵南
SG…緑川 航 185cm/2年/湘北
SF…天沼 健一 182cm/3年/翔陽
 C…桜木 花道 196cm/3年/湘北
 C…大泉 大丸 191cm/3年/海南



【白】

PG…清田 信長 182cm/3年/海南
SG…清田 秀吉 175cm/1年/海南
SF…上杉 海斗 186cm/2年/海南
SF…上杉 空斗 186cm/2年/陵南
PF…白田 豊 195cm/2年/湘北
 C…黒川 大蔵 193cm/2年/陵南




青 27
白 30



試合形式で行われている5on5は、熱い攻防戦を繰り広げている。


青チームは、天沼に変わり山岡を投入し、外からリングを射抜く作戦に出た。


そして、後半も1/3が経過したところで、じわじわと青チームが引き離し始めた。


経験豊富な3年生が主体ということもあり、試合中の駆け引きは圧倒的に青チームが有利である。


そして、何より、圧倒的に有利なものがあった。




『バチーーーン!!』



「桜木!外!!」

「おうよ!!」


オフェンスリバウンドを奪い取った桜木は、外の山岡へパスアウト。



『スパ!!』



3Pシュートを成功させる。



「ナイリーー!!」

「トーゼン!!」



桜木は、白田、黒川のダブルスクリーンに対応しつつあった。



(止められない。)


(練習にはない強さがある。)



いまや、リバウンドの強さにいたっては、全国随一。

全国クラスのインサイドプレーヤー白田、黒川でさえ、完璧に抑えることは困難であった。



「ハクタス!黒坊主!ファウルしてもかまわんぞ!!全力でかかってきなさい!ハッハッハ!」




白チームのオフェンス。


その白田と黒川のコンビプレー。


「うぉ!!」


『サッ!』



「ぬっ!!」



『バス!!』



ゴール下、黒川のアンダーハンドパスが桜木の裏をかく。

受け取った白田が、体を寄せる大泉を交わし、冷静に決める。



『トン。』

拳をあわす白田と黒川。


「小賢しい真似をしおって。」




(ふむ。白田と黒川、なかなかのコンビだ。)

と納得の田岡。




青チームのオフェンス。


『サッ!』


「!!!」


桜木のパスフェイク。

黒川と白田の間に生じたわずかな隙間から。



『バス!!』



バンクシュートを決めた桜木。


「まだまだ甘い!どうだ!2年坊ども!!」




(まさか、あの桜木がここまでの成長を見せるとは。)

と高頭。




3年生となった桜木。


その桁外れの身体能力で、オフェンスにおいても、全国クラス選手と見劣りせぬ実力を備え始めていた。


河田や森重、パウエルなど、全国の猛者と対峙した経験が、桜木の能力を向上させていた。



清田のペネトレイト。


『ビィ!!』


海斗ヘ。


牧、神を髣髴させる海南のコンビプレー。



『キュッ!!』


だが、緑川が一瞬にして、海斗の前に現れた。


(打たすか!)


シューターの気持ちはシューターがよくわかる。


(甘い。)


『バン!!』


「!!」


その瞬間を見計らい、中に切れてきた空斗へバウンドパスを放った。



双子の阿吽の呼吸。



『パシ!!』



だが。



「なっ!!」


「!!!」


「!!」



『パシ!』



低い姿勢、懸命に伸ばす山岡の腕が海斗から空斗へのパスを遮った。



「もーらいっ!」



「山岡さん!」

と同時に、走り出す柳。



機敏に反応する清田。



『ビュン!!』



前線にボールを放り投げる山岡。



(獲れるよね。)


勢いのあるパス。



『パシ!』


フリースローライン手前で受け取った柳。


そのままステップを踏んだ。



『ダン!』



『ダン!』



「叩き落してやらぁ!!」

と清田。



「!!」


両者の足がコートから離れた。



と。



『ビィ!』



空中。


ギリギリまで清田をひきつけた柳が、バックビハインドパス。


その先には、今駆け上がってきた緑川がいた。



(決めてやる!)



「入れ!!」



『シュ!』



何の躊躇いもなく放ったジャンプシュート。


あるのは、決めるという自信だけ。


3P同様、高いアーチを描いた軌道は、綺麗にネットに吸い込まれた。


湘北の2年生コンビが見せた鮮やかな速攻。



桜木が見せれば、白田が見せる。


白田が見せれば、柳、緑川が見せる。



試合も終盤戦。


チームの中心には湘北選手たちがいた。




青 34
白 32







続く。

#404 【清田×桜木】

2011-01-20 | #13 神奈川 国体編
【青】

PG…柳 春風 172cm/2年/湘北
SG…山岡 拓真 185cm/3年/陵南
SG…緑川 航 185cm/2年/湘北
SF…天沼 健一 182cm/3年/翔陽
 C…桜木 花道 196cm/3年/湘北
 C…大泉 大丸 191cm/3年/海南



【白】

PG…清田 信長 182cm/3年/海南
SG…清田 秀吉 175cm/1年/海南
SF…上杉 海斗 186cm/2年/海南
SF…上杉 空斗 186cm/2年/陵南
PF…白田 豊 195cm/2年/湘北
 C…黒川 大蔵 193cm/2年/陵南




前半(第1Q)は終了し、現在後半(第2Q)を迎えている。


青チームは、第2Qから山岡を下げ、湘北緑川を投入していた。


白チームにメンバー変更はない。



『シュ!』


その緑川のミドルシュート。



『ガコ!』



調子がいまいち上がらない。



「何をやっておるのだーー!!!」


「すっすいません!!」


「白田!黒川!!」

「リバウンドーー!!」

「桜木さんを!」

「OK!!」



『バッ!』


桜木の前面を奪う黒川。



「甘いぞ!黒坊主!!」



『キュ!!』



『グッ!!』



力技、そしてスピードで黒川のスクリーンアウトを外す桜木。



(まただ!)



だが、黒川も負けない。


桜木のスクリーンアウトを許さない。



『グッ!』



『グイ!!』



ゴール下、力の競い合い。


そこに、白田が参戦。



「先輩には2人がかりです!」


「フン!!そんなもん通用するか!!」


「止めてみせます!」



-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>

ハーフタイム中。


「ちぃ、認めたくねぇが、リバウンドだけは規格外だぜ。」

と清田。


「ゴール下のパワー、スピード、ジャンプ、どれをとっても全国トップクラス。
一人で止められるプレーヤーではないですよ。」

と白田。

「何を弱気なことをいってやがる!」


「でも、桜木さんを止められるのは、河田さんや森重さんクラスじゃないと難しいのは確かです。」

と黒川。


「練習はともかく、5on5での集中力は半端ない!」

「くそう・・・。白田、黒川、ゴール下の赤毛猿には2人がかりでいくぞ。」


「!!」

「!!!」

「赤毛猿にやられるよりはマシだ。」


「大泉さんは?」

「海、空、近いほうが抑えろ。」


「なっ!」

「!!!」


「天沼さんと緑川はどうしますか!?」



「あの2人は問題ない。俺より低いからな。」にかっ。



「??」

「??」



「まぁ、見てろって!」にっ。



-----------------------------------------------------------------------



緑川が外したシュート。


ポジション争い、リバウンド争いが行われている。



『キュッキュ!!』


『グッ!!』



黒川と白田が桜木を抑えた。



「生意気な!!」


「オフェンスリバウンドは獲らせません!」


(清田さん、さぁどうしますか!)


(先輩を止めましたよ!)



大泉には、海斗がスクリーン。


それに伴い、天沼がフリーとなった。


(俺をフリーにするとは、見くびられたもんだぜ!)



『キュ!!』



『ダン!!』



飛び込みリバウンド奪いにいった天沼。



その前を影が覆う。



「!!!」



『バチーン!!!』



「ん!!」


「!!!」


「!!」



「ナイススクリーンだ!」にかっ。



「きっ清田さん!!」


「野猿!!!」




「お兄ちゃん!!」




リバウンドを奪ったのは清田であった。


前半、多くのリバウンドを桜木に奪われていた。


日々、ともに練習する白田ですら、桜木の規格外のリバウンドを抑えることは出来なかった。


そこで、清田によって、考え出された桜木のリバウンドを封じる作戦。


それが、白田、黒川による2人がかりのスクリーンアウトであった。


大泉には、上杉兄弟を当て、青チームのインサイドを抑え込ませ、自分が外から飛び込みリバウンドを狙う。


桜木の特徴、チームの特徴、そして自分の長所を知り尽くしているからこそ、可能となる作戦であった。


清田の作戦は、見事に成功した。




(柳とマッチアップし、跳躍においては、天沼、緑川を上回る清田。
飛び込みリバウンドには最適な存在というわけか。考えたな。)

と田岡。




「いくぜ!!」



『ダムダム!!』



リバウンドを奪った勢いとともに駆け上がる清田。



「簡単にはいかせませんって!!」



『キュッ!』



清田に並びかける柳。



神奈川の誇るスピードガードの戦い。


清田のワンマン速攻を柳が防ぎにかかる形。



『ダムダム!!』



ハーフラインを越え、3Pラインを越えた。



そして。



『ダン!』



柳がいようが、お構いなしのレイアップシュート。



「オラーーーー!!」



(仕方ない。)



『バチン!』



柳は、清田の腕をわざと叩く。



「!!!!」




(これはファウルや!)




『ピィーーーー!!』


彦一が笛を鳴らす。



だが、清田はそのままシュートを放った。



「そんな弱いファウルじゃ、俺は止められないぜ!!」



「なっ!!」



『シュ!!』



ボールは優しくリングを目指す。



(決まったぜ!バスカンだ!!)



だが。



『バチィーーーン!!!』



「!!!」

「!!」

「!!!!」



(なっなんやて!!)



リング手前、ボールは勢い良く弾かれ、ボードにあたった。



「野猿に点はやらん!!」


「さっ桜木さん!」


「赤毛猿!!てめーーー!!」



桜木のブロックが炸裂。



「・・・。」

言葉の出ない選手たち。



(速い・・・。)


(一気にあそこまでいきやがった・・・。)


(規格外のスピード・・・。)


(なんていう高さだ・・・。)



「ハッハッハ!どうだ!野猿!!!貴様に点はやらんぞ!!」



「さっ桜木さん。柳君のファウルやから、ツースローやで。」

「なぬ!」


「バーーーカ!無駄なブロックご苦労だったな。」

(・・・。くそう・・・、なんて高さしてやがんるだ・・・。せっかくの俺の見せ場を・・・。)



「おのれーー!!彦一!!!」


「わっわいのせいやないって!!」



この後、清田は2本のフリースローを沈めた。



「柳、練習だからといって手加減は必要ないぜ。」


「えぇ、次はそうさせてもらいますよ。」



(それにしても、赤毛猿のやろう・・・。高さだけじゃねぇ・・・。
俺たちのスピードに追いつきやがった・・・。身体能力だけなら流川以上か・・・。)


清田は、桜木の能力の高さを認めざるを得なくなっていた。




青 27
白 30







続く。