HORSE SENSE を 往く ≫≫

 この道は いつかきたみち

  このみちを また駈ける

   このみちは 心は遠い ・ ・ ・ ・ に

『自動車航送船時代』

2013年02月22日 | その他
小学校三年時の遠足は小倉到津遊園で 六年時の修学旅行は別府一泊旅行だつた
早朝 近くの駅前に集合 くたびれた貸切りバスで西細江の岸壁まで行き
そのまま自動車航送船(そのころ単に「こうそうせん」といつた)に乗り込んだ
船腹の両側に大きな水車がついていて ぐるつぐるつと回つて黒い煙を吐きながら進んで往く

海峡を渡る風が冷たい
先生は「甲板に出てはいけんぞ」と何度か声をあげていたが
その声が聞こえるか聞かずか男生徒たちは
バスや背丈よりはるかに大きい水車の周りを駆け回つていた
大きな弧を描いてゆつたりと回る水車のしぶきが 朝日にキラキラと輝いてゐ
生徒たちはあきずに眺めていた 小森江の岸壁が目に迫つた ――

あのころ 本州の片田舎の小学生にとつて九州への渡航は 異国への旅立ちであつた

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