フィレモンへの手紙に出てくるオネシモは逃亡奴隷であるという説が、長くキリスト教世界で伝えられていました。写本の一つにそういうものがあったからかもしれません。
しかし近年、ゲルト・タイセンやチャールズ・B・カウザーといった学者から、「オネシモは主人との間におそらく何らかの問題が生じた奴隷で、仲裁を依頼するためにパウロの元に行った」という説も出されています。
また、「フィレモンがパウロを助けるために期間限定でオネシモを遣わしていたが、その期限がきてしまったため、パウロが筆をとり、オネシモがいると助かるので期限を延長させてほしいと頼んだという可能性」という説もあります(ヘンリー・ウォンズブラ著『ビジュアル版聖書読解辞典』264ページ)。
私は仲裁依頼説とオネシモ派遣説の中間に立っています。逃亡奴隷説はとっていません。オネシモはパウロに見出された有能な奴隷なのです。オネシモに悪いレッテルを貼ってしまうことは彼のその後の人生を見逃すことになってしまいます。
オネシモは後年、エフェソの教会の監督になり、パウロ書簡集(牧会書簡を除く)をまとめ、エフェソの信徒への手紙を書いた人物であるというのが私の持論です。フィレモンへの手紙はそのオネシモがパウロに見出された召命の書なのです。
こちらもお読み下さい。パウロとフィレモンとオネシモ(9)「オネシモの以前と今」(1)―逃亡奴隷が獄中で洗礼を授けられたのか―
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