石橋幸緒のごきげんグラシアス!

日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属
正統派??将棋女流プロ棋士が勝手に発信する気まぐれブログ

第10回鹿島杯女流将棋トーナメント<優勝>を振り返る。

2005-11-13 | しょうぶ&はたらく
えーと、やっと書けます(笑)
鹿島杯女流将棋トーナメント第10回記念大会決勝戦の模様が昨日、MXTVで放送されました。

おかげさまで ヒっサビサ2回目の優勝をすることができました

フォー やったゼーーーイェイ

本当にみなさま応援ありがとうございます


簡単に今回の全3対局を振り返ってみます。
(持ち時間各10分切れたら一手30秒の超早指し棋戦です)

まず本戦1回戦は中村真梨花女流初段。
マリカ四間飛車に急戦をしようとしたのですが、ちょっとヒルんでしまい序盤は失敗。
その後逆転で優勢~粘られ寄せそこなう~混戦模様に~追い込まれてヤバイ、で下図に。
                  
△8九金はいわずと知れた簡単な詰めろですが、あまりにも筋悪なので全く読んでいませんでした受けも見えずとりあえずエイッヤっと▲7三桂成△同桂▲7四桂△9二玉▲9四香△同竜と犠打をしてひとまず厄介な竜に下がってもらい、▲9八角成と引き付けてなんとか凌いでいたようです
                  
後手は9二玉が9九香のラインに入っているため竜が動けません。以下も攻められましたが、最後に▲8九馬の決め手がまわり辛勝。
自分で言うのもなんですが、なかなかの大熱戦で解説の豊川先生も「足らんチュラ」を連呼されてましたが、なにせ予選と本戦1回戦の計8局のダイジェストだった為どの将棋もさわりだけだったことが残念です
来年以降ももしこのダイジェスト版なのであれば、せめて初回2時間スペシャル!になると嬉しいのですが・・・。 ご検討よろしくお願いいたします MXTV様

続く準決勝は中倉宏美女流初段と。
べつに解説がいつもほんわかニコニ近藤先生だからってゴキゲン中飛車にした訳ではなく中倉さんが居飛車なら予定の戦型でしたよ。
居飛穴から7筋の角頭を攻められる苦しめの展開となりましたが、まぁこのくらいはいつものことなので負けじと5筋から捌きに行く。
                  
▲8一馬と桂を取りつつ金に当て、△5三金と引いたこの局面は既に勝勢ですがここで決めに行く前に▲5九歩が負けにくい手間違えやすい早指し戦では特に有効な技です。
以下▲2五桂から端攻めで快勝。ひとまず2年連続で決勝進出を決めました。
                  
そして決勝は中井広恵女流六段と。
今回は11月5日(土)に千代田区麹町にできたばかりの新スタジオ「東京MXテレビメディアセンター」で公開収録されました
中井さんには4日前の女流名人位リーグで勝っているものの、持ち時間も環境もまったく違うこの勝負は別物だと思いました。
しかし「早指し戦で若い方が負ける訳にはいかないし・・・」(実際、同様の激励メールがきました)「いくらなんでも今年も準優勝ってありえないよなー」とかなりプレッシャーは懸かっていたので対局直前にジーコジャパンのキャッチフレーズbyテレ朝タオル↓を握りしめて、いざっ開戦。
             
一度試してみたかったゴキゲン+穴熊をやってみたけど、やっぱり美濃とは細かい感覚が違って、思いとはウラハラに嫌ぁな序盤戦とにかく早めに△24飛とぶつけておくべきでした。
                  
何をさておいても△71銀左と締めたいのですが、将来5筋から飛車がいなくなった時に歩を垂らされて受けに窮します。なので△3三角と待ちましたが、これがありえヘン。同じ3三でも当然桂でした。だいいち角って意味わからんし
あっさり▲4五銀出られて△2四飛▲2五歩△1四飛▲5八飛で先手の駒だけ働いてます。
一瞬盛り返したのにまたもおかしな手を指してますます悪化してゆく形勢。せっかくの公開対局で将棋にならずにボコボコにされてしまうのか本気で心配になりました
10手程進んで先手はいよいよ潰しにきました。
                  
なんとか飛車だけは世に出させてもらったものの、わざわざ引いた4二の角が目標になってます狙われるためにひいたようなものです。バカかあたし
しかしこの▲6五銀では普通に▲65桂の方が良かったようです。△64金と逃げれば▲53歩△63銀に▲64角と切っても良さそうです。(△同銀に▲52歩成)
6五銀だったので一発△6六歩の手裏剣が飛びました▲6八金引に△3九飛成と成り込んで、5筋で交換した銀をなにも考えず6七に打ち込みます。
▲79金打の受けなら迷わず千日手にしようと思ってました。
ふつうテレビ棋戦でましてや公開対局の場で千日手は人道上ありえなく、どれだけの人に迷惑かと思い浮かべただけで胸が痛むのですが、こちらも切羽詰ってましたし背に腹は返られませんから・・・ あとで平謝りする予定でした
本譜は▲5八金打でしたので予定変更して△7六銀成の冷静手(解説藤井九段)で急に優勢になりました。端攻めも丁寧に面倒見て、△5四歩でやっと角が働いてきました。 
                  
この▲9八香打に△8一玉として相当安心しました。7二に何か打たれる手が無くなったのがとても大きく、(おおっ勝ったよ)と思いました。
最後の最後で簡単な寄せを逃し、自陣に手を戻すというカッコ悪いことをしてしまい藤井先生に「こっ、これは大逆転ですよ」と言われてしまいましたが、さすがにちょっと残していたような気がします。
その他の手の解説については、まず専門誌をご覧いただき、それからお願いいたします。

解説の藤井先生&千葉女流王将のコンビも普段にましてもすごい掛け合いで楽しかったですし、終盤は千葉さんも応援してくれているようなかんじでしたね。(「しみじみ苦しいですねぇ」のコメントには思わず爆笑していましました

表彰式のあと、解説会場だったTOKYO FMホール最上階レストランで打ち上げパーティーも開かれ、本当に久しぶりだった優勝の喜びがこみ上げてきました
賞品にiPod30GBも貰ったし (ちょー便利だね~)
やっぱり勝たなきゃ、優勝しなきゃ、だめですねぇ。

さて余韻に浸るのはこのくらいにして、次に向かってファイトオーっ ガンバリマス。