池袋の
東京芸術劇場で行われた落語会「男前三人会」に行ってきました。
出演は三遊亭一門の
楽麻呂さん、
好楽さん、
楽之介さんです。
今まで、落語などTVでも真剣に見たことはありません。
まったくの初落語です。
お客さんに意外に若い人が多くてビックリ。
私はお初というコトもあり、分かるかな・・・とちょっと緊張してしまった。
真剣に聞いていても、落ちが分からない噺も
羽織を着て出てきて、なぜかみなさん前半で羽織を脱ぐ・・・なぜだろう。
そういうしきたりなのかな?
なんかそういう落語の基礎、それに歴史や日本語にもっと敏感だったら
すごっく楽しめるんだろうな・・・と、自分の無知さを呪う。
咄家さんそれぞれ、テンポや所作などに独特な癖があって面白い。
いろいろ聞き込んで行けば、自分のテンポに合う咄家さんが見つかり、
ファンになったりするのだろう。
ちょっと落語は敷居が高い気がして敬遠していましたが、
もっと知ってみたいな・・・と思ういい切欠になりました。
今回のトリは三遊亭楽麻呂さんの『芝浜』(芝濱、しばはま)でした。
どうも古典落語のひとつで、年末によく公演される演目らしい。
この噺を聞かなければ年を越せないという落語ファンもいるとか・・・
ベートーベンの「第九」みたいなものかしら
どんな内容かと言うと、
腕はいいのにぐ~たら酒飲みの魚屋の勝っあん。
借金があるのに、酒ばかり呑んでまったく仕事に行かない。
ある早朝、女房にせっつかれ渋々仕事に行くとまだ魚市場が開いていない。
奥さんが起す時間を間違っていて早めに着いてしまったのだ。
仕方がないので芝の浜で一服しながら朝日が昇るのを見ていると、
汚い革の財布を見つけた。財布にはなんと42両ものお金が入っていた。
勇んで家に帰り、女房に財布を見せ「これで酒を呑んで暮らせる!」と大喜び。
また酒を呑んで寝てしまう。
翌朝、また女房に「酒代はどうするんだ!仕事に行ってくれ!」と起される。
[そんなものは、昨日拾った金で払え!]と言うと、女房が
「そんな金などない。お前さんは夢でも見ているのか!」と言われてビックリ。
すべてが夢だと分かり茫然自失になる。
それから、酒を断ち、まじめに働くことを誓う勝っあん。
もともと腕はいい魚屋。
3年間、必死に働き、小さいながら店も構え小僧さんも使うほどになり、
借金もすべて返してしまった。
そんな大晦日に、女房から「あの財布を拾ったのは夢ではなかった。」
と告白される。
大金を持ったらますます旦那がダメになる・・・と大家さんに
相談したところ、このままでは横領になるので役所に届けなさいと言われた。
その通りにしたが、結局、持ち主が見つからず、そのお金が戻っては来たが、
折角頑張っている勝っつあんが、またこの金でダメになるのでは・・・と言い出せなかったと。
でも、もう立派に立ち直ったのだから大丈夫。
3年間も大好きなお酒を断って仕事に打ち込んだのだから、
年末ぐらいは一杯どうぞ、と奥さんに酒を進められ、
ひさびさのお酒を呑む勝っつん。
嬉しそうに杯を口まで運んで、ふと杯を置き、
「止めておこう、またすべてが夢になるといけない」
という噺。
最後にお酒を呑んで、結局すべてが夢だった・・・っていう落ちかと
思っていました