『
デッドライン仕事術 (祥伝社新書 95)』吉越 浩一郎著
吉越 浩一郎氏と言えば、強烈なリーダーシップで知られる元
トリンプの社長。
彼が社長のころトリンプは「残業厳禁」「早朝会議」「頑張るタイム」など
ユニークな社内制度でずいぶん話題になってたっけ。
TVなどにも特集としてよく取り上げれていた。
今回の『
デッドライン仕事術 』は、そんな強烈なリーダーシップを発揮していた
吉超流仕事の効率を上げるためのHOW TO本です。
吉越氏はその強力なリーダーシップで、19年間で売り上げを100億円から
500億円にしトリンプを優良企業に変革させた経営者として知られています。
吉越氏は2006年にトリンプの社長の座を退きました。
現在は経営コンサルティングの分野で活動されているようです。
しかし、この吉越氏がリーダーシップを取って、素早い意思決定で
トップダウンで会社を回すやり方は賛否両論だったようです。
まぁ、カリスマ的な経営者は何をやるにも強烈ですから、
去った後は多かれ少なかれ批判も出るものでしょう。
今回の著書で、面白い・・というか、よく分かる!!と思う件が
2つありました。
1つは
『仕事ができない人間ほど、「いい人」を演じる』です。
吉越氏の経験上「仕事ができない人間」には「いい人」という共通点がある
(もちろん例外はあるけど)そうだ。
会社は仕事をする場所なので、「仕事ができない」ことをカバーする
ためには「人間性」ぐらいしかアピールするところがない。
なので「いい人」にならざるを得ないと言うのです。
日本の会社では「本当に仕事ができる人」は残念ながら敬遠され、
「仕事はできない」がみんなと和気あいあいとやれる「いい人」が
過大評価される傾向にあると吉越氏は書いている。
残念なことにまだ日本資本の会社に勤めたことがない私は、
日本系の会社がどうなっているのかはわからないのですが・・・、
「外資で "いい人" と言われたらお終いだ」とは言われ続けてきました。
吉越氏の言う通り、外資系の会社で「いい人」と言うのは、
仕事は出来ないし、どうしようもないけど「でもいい人なんだよね・・・」と
あきらめ感が漂う感じ。他にほめようがない場合に使われる言葉だからです
(少なくとも私が勤めたことのある会社では・・)。
前の会社では「・・・でもいい人なんだけどねぇ」と言うと、
すかさず「でも結婚したくないでしょ

」と突っ込みが入りました。
よく考えればヒドイ話だよね。
2つめは
「トップマネージメントの仕事は一般の社員と同列に論じられるものではない。
それは私生活を何より大切にする欧米でも同様だ。」です。
社員には(効率を上げさせるために)「残業はするな」、「早く帰宅しろ

」
とは言っていても、CEOの吉越氏自身は家に仕事を持ち帰ることも、
週末に仕事をすることもしょっちゅうだったそうです。
会社に必要な人脈を作るために、夜の付き合いも怠らなかったという事です。
前にアメリカで働いていた時、
ファミリーを大切にするアメリカでも企業の経営者の激務は有名でした。
彼らは本当に仕事好きで、日本人より仕事中毒だと聞いたことがある。
日本では一般社員の方が激務で仕事中毒、上に行けば行くほどヒマになって
(実際には日本企業を知らないので想像ですが・・・)、アメリカとは
反対だなぁと思ったことがあります。
またそういう日本の偉い人ってのは、そうやってヒマだから、
きっと何でもかんでも口出ししたくなちゃうんだろうねぇ。
まぁ、この2点の吉越氏の考え方に「よくわかる~~」と同調できた
だけでもこの本を読んでよかったです。
全体的な本の内容は、
仕事と私生活を分けて充実した人生を送るためにもだらだら仕事するなよ。
残業できると思うから、仕事が先送りになる。
残業時間など最初からないと思い、時間内にすべてが終了するように
効率的に働けよ
そのために仕事はすべてにデットラインを設け自分を追い込み、
ちゃっちゃと済ませなさい。
私にとっては「まぁ出来れば世話ないんだよね~~

」系である。
残業好きなもんで。
2005年に吉越さんはブログで「『愛の流刑地』を愛読している」と書き、
女性をメインターゲットにした商品を扱っているのに、あのような女性軽視の
セクハラ小説を愛読してるとは何事か! みたいな批判で
ブログ炎上なんてこともあったんですね・・・知りませんでした。
↑こういう批判ってなんなんでしょうね。よくわかりません。