京都のいぬぅ

I wanna be a master of life.

象徴ってなんだろう?

2006年07月19日 18時12分25秒 | つぶやき
皇室が紀子さまの御懐妊を発表してから、女系天皇を容認するかの論議がぴたりとやみましたが、
(この発表には、秋篠宮さま、皇室の強い意志が感じられました。)
前置胎盤により紀子さまの出産予定がはやまりそうです。
生まれてくるお子様の性別に如何によっては、この問題がふたたび持ち上がるのは必至です。

日刊スポーツ
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20060719-62694.html

男系天皇論を擁護するために、
神武天皇のY染色体を守るいう主張を耳にしますが、
生物学に携わるものとして一言。

性染色体であるY染色体は男性のみがもち(女性はXX、男性はXY)、
男性のみが受け継ぎますが、
現在では、Y染色体は減数分裂時にX染色体との間で相互転座が起こし、
またY染色体自身の中で他の場所にあるDNAと入れ替えをすると考えられています。
つまり、Y染色体は比較的突然変異を起こしやすく、
遠い昔の先祖と子孫がまったく同じY染色体をもっているかというと
疑わしいかぎりです。
(さらに、Y染色体は255個の遺伝子をもっていますが、
その大半は雄性化や生殖に関わるもので、生命に必須の遺伝子は含まれていません。
つまりY染色体自体、重要ではないのです
オスとして切ない限りですが・・・

高校生物  遺伝と変異(2)
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/biology/genetics1.htm

したがって、神武天皇のY染色体を守るためというのは、説得力がありません。
むしろ、天照大神のミトコンドリアを受け継ぐ天皇家の女性のほうが、
そういう意味ではよっぽど理にかなっています。

第57回 女性・女系天皇容認で議論呼ぶY染色体論とミトコンドリア
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/051130_tennou/

男系女系、この問題を考える上で重要なのは、染色体がどうのこうのということよりも
日本が守り受け継いできた伝統を、これからどう位置づけ、どうしていきたいのか
ということです。
今後、グローバル化する世界の中では、各々の国が独自の文化、伝統をもち
それを発展していき、差別化していくことがより一層求められます。
日本は世界に誇れる文化、伝統を受け継いでいることは疑いのないことですが、
皇室の問題は、伝統芸能や工芸技術とはまた違う意味をもっています。
単なる文化ということだけではなく、
日本人の精神構造を築く神道との関わりや
民主主義における天皇制の意味なども関わってきます。

しかし、これらを考えるにあたっては、私たちは必要な情報が少なすぎる気がします。
形だけの何の意味も与えない貧弱な義務教育、
右翼か左翼かに偏った情報あるいは、
それらからの批判論議をさけ、うわべだけの情報しか流さないテレビや新聞、
それらの情報を受け取ることだけで満足し、自ら進もうとしない大衆、
奥にかくまって、国民には何をしているのか姿の見えてこない皇室。
(外交や文化だけでなく、
天皇が国民のために何を祈り、行っているか、
その年中行事を含め、もっと公開すべきだと私は思います。)

この問題を論じるにあたっては、
より多くの情報にふれ
右翼や左翼などと小さな枠におさまらずに
世界がどうなっているのかを把握し、
連綿と続く過去をふまえ、
これから、どうあるべきなのか、どうあってほしいのか
未来志向の生産的で活発な論議を期待したいところです。

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