手術の間接介助などというものにつくととても辛い時間をすごすことになる。
手術室というのは室温高め湿度高めな上、帽子やマスクをして静かにすごさなくてはならない所だからだ。
もちろん術者や直接介助者は大忙しで汗だらだらだが、間接介助者が忙しいのは搬入時、麻酔導入時そして覚醒して引継ぎする間だけで手術中はたいしたことをしていない。
一応手術経過の記録や患者の一般状態の観察、術者や直介の汗拭きなんかはしているが全然アクティブな活動じゃないので手術が長いと眠くなってくる。
整形外科や泌尿器、耳鼻科なんかのマイナーな科は比較的短いが消化器や循環器は長い・・・・・。
腹腔内全摘やら肝胆膵系ときたら10時間ぐらいかかることもあってやる前からくらくらする。
出血量を測るためと体内に取り残さないためにガーゼを数えたりもするが意識はだんだん違う世界に入り込んでいく。
大体、血と肉の焦げる匂いのする中のカウントはちょっと怪しい。
1ま~い、2ま~い、3ま~い・・・・・・・あれ?
いっぱいあると何枚だかわからなくなってまた最初から数えてみたりして
10枚づつ丸めて団子のように並べていると形が揃っていないのが気になって並べなおしたりとどうでもいいことをしていることもある。
眠いからといって無駄に歩き回るのは衛生上良くないので部屋の隅のほうをこそこそと動き回るのだが、その姿もなかなかに怪しいと思う
暇だといろいろ気になる。
糸やら包装材やらいろいろ散らばっているのが気になったりすると突然お片づけをはじめてみたりする。
もちろん緊急時に備えて足元はきれいにしておかなくてはいけないが、台の上や部屋の隅のほうは本当はどうでもいいわけなのにそんなところが気になったりするのだ。
緊張感などというものは何処にもない。
しまいにはお昼までに終わるかなぁとか脂肪が厚くてナートが大変そうだなぁとかどうでもいいことを考え始めて意味もなく点滴台を磨き始めたりもする。
とにかくとても辛いお仕事なのだ。