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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

アパート経営をやめる(案外大変です!)

2020-02-14 18:30:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
最近、アパート経営をやめたいという人が増えてきました。

〇物件の下見に来る人はネットで膨大な情報を収集している
〇入居者のメンテナンスに対する要求は高まるばかり
〇競合する賃貸アパートは増加の一途

新築時はともかくとして、築年数が経過したアパートは経営が大変です。「家賃は下がる」、「維持費は増える」、「入居者の権利意識は強く出入りは激しい」という悪循環です。かつてのように、「大家さん」という上から目線ではアパート経営は成り立ちません。

◆賃貸物件の売却(税負担に耐えられるか)

アパート経営をやめる一番手っ取り早い方法は賃貸物件を売却することです。入居者はそのままでも売却はできます。

しかし、問題は売れるかどうかと売却価格です。また、売れるとしても税負担がどの程度になるかが心配です。特に、相続により取得した物件は被相続人の取得価額をそのまま引き継ぎますので、地価の低い時代に購入した物件であれば、建物はともかくとして土地に関しては相当な金額の含み益が売却により実現し、それに多額の課税がされることがあります。

◆賃貸物件の取り壊し(入居者との関係)

賃貸物件が売れず、その維持費が家賃収入を上回る場合には、物件の取り壊しを検討しなければなりません。この場合、入居者に立ち退いてもらわなければなりませんが、いうまでもなくこの交渉が大変です。立退料が思いのほか高額になることがあります。

入居者に立ち退いてもらい建物を取り壊して更地になったとしても、固定資産税の負担は残ります。駐車場にして一定の収益が生じればいいのですが、それができない場合には引き続き売却先を探さなければなりません。しかし、これも不確かです。そんなことをしているうちに地価が下がることも十分ありえます。

◆残った借金

賃貸物件が売れない場合は当然として、売れたとしても借金が残ることもあります。

悲惨です!

返済できない場合には破産も考えなければなりません。そうでなければ、残された家族が大変です。

◆物件の建替えや買換え(一発逆転を狙う)

慎重になったほうがいいと思います。

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★アパート経営も短期的視点が必要な時代

現在は、あらゆる商品やサービスのライフサイクルが非常に短期化し、アパート経営においても短期的視点が必要です。新築物件であれば多少は家賃が高くても入居をするけれども、古い物件であれば家賃を極限まで値切るというのが「消費者動向」です。

アパート経営を始めるにあたっては、「投資額の回収期間」と「トータルの利益額」を客観的に計算しておき、撤退の時期(物件の売り時)を逃さないようにしなければなりません。

「10年!」、それくらいに考えておいたほうがよいのではないでしょうか。「美田」なんてほんの一握りしかありませんから。

★これ以上の出血を止める

撤退には「これ以上の出血は止める」「手持ち資金を取り崩してでも」という思い切りが必要です。「そのうち好転するだろう」「何かいい方法があるはずだ」は甘いと思います。

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