【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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家賃収入の確定申告をしなかった理由

2022-08-16 10:00:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
家賃収入の確定申告をしていない人がいます。中には10年以上も申告をしていないというケースがあります。確かに、家賃収入があってもそれを上回る経費があれば、不動産所得は生じませんので確定申告は不要です。しかし、この判定が正確にできていないことが非常に多いです。

◆確定申告の方法がわからなかった

所得税の確定申告は大変複雑で知識ゼロの人が自ら確定申告をするのは並大抵のことではありません。確定申告をしようとはしたけれども特定の専門用語につまずいて、結局は確定申告ができかかったという事態に陥ります。

例えば、不動産所得の計算においては「減価償却」を避けて通ることができませんが、この減価償却という考えは大変専門的で「取得価額」「償却方法」「耐用年数」などといった用語をそう簡単には理解できません。

◆「業者」から確定申告しなくていいといわれた

「業者」といっても、正確な資料を基に税務的な見解を示してくれる業者もいれば、無責任なアドバイスをする業者までと様々です。

ここで忘れてはいけないのは、業者は税務署でも税理士でもありませんので、税務に関する相談に応じるとか、確定申告の代行をしてはくれない(法律的にしてはいけない)ということです。業者の提供資料やアドバイスは「参考」程度でしかないのです。

◆家賃収入よりもローン返済額が多い

不動産所得の計算は「家賃収入-必要経費」という計算をしますが、ローンの返済については利息部分を除いて必要経費には含まれません。

「賃貸物件を買うためのローンなのに!?」

そのとおりです。賃貸物件の購入代金は減価償却を通して必要経費に算入されますので、ローン返済額までも必要経費に含めてしまうと「二重に」必要経費がカウントされてしまいます。

また、ローンが賃貸物件の土地購入も目的としている場合には、ローンで調達した資金の内土地部分は金利を除いて一切必要経費になりません。土地は減価償却ができないからです。

◆ばれないだろう

「ばれる」「ばれない」はあくまでも結果です。事前に確約を得ることはできないのです。

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★まずは無申告期間(最長過去5年分)の「不動産所得」を正確に計算する

不動産所得は賃貸を開始した年度以降生じる可能性がありますので、まずは賃貸開始以降無申告となっている年度の不動産所得を計算することです。なお、無申告期間が5年を超える場合には、5年を超える年度については申告をすることはできません。5年を超える2年分は税務署が「決定」という処分をします(7年を超える部分は時効です)。

不動産所得の計算は「自己流」ですることができませんので、国税庁のサイトやパンフレット、著者が税理士など書物を参考にして計算することです。計算結果に自信が持てない場合には、税務署あるいは税理士に相談をしてください。

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