【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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アパート経営は儲かるのか?

2022-09-23 12:15:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
アパート経営が儲かるのかどうかについて、税に関わる者の立場から書かせていただきます。

◆空室は心をむしばむ

当然のことですが、賃貸アパートは入居者がいなければ収益が生じません。また、一部でも空室があれば投下資金(物件購入に要した資金)の回収が遅れます。空室率が20%であるということは投下資金の20%が無駄になっているということです。それを残る80%部分の収益でカバーするのは容易なことではありません。

空室はアパート経営者の心をむしばみます。特に本業(前職)が比較的安定しており、それに慣れている人にとっては耐えがたいことです。

◆多額のローンを抱える不安

賃貸物件の取得を全額自己資金でという人は少数だと思います。ほとんどの人は数千万円のローンを背負ってのアパート経営ですので、「本当に返せるのか?」という不安を抱えることになります。

◆入居者との関係

「大家様」「家主様」、そんな時代はとっくに終わりました。アパート経営は住空間を提供するというサービス業です。対価(家賃)を支払う入居者は「対価以上のサービス」を要求します。「サービスが対価未満」であれば直ぐに解約されてしまいます。

常に入居者の声を聞き、そのニーズや不満を把握しておかなければアパート経営は成り立たないのです。

◆修繕とリニューアルは当初の物件購入よりも判断に悩む

賃貸物件は時とともに傷みその都度修繕をしなければなりません。また、新たな設備(機能)の付加が必要となります。これを怠っていると入居者の不満が募り、いずれは解約されます

修繕とリニューアルをすべきかの判断には大変悩みます。「これで収入が維持できるのだろうか?」「あと何年物件は持つのだろうか(資金は回収できるのか)?」、当初の物件購入よりも悩むこともあります。

◆信頼できる相談相手がいない

アパート経営には様々な「業者」が関係してきます。彼らはアパート経営の相談に乗ってくれるありがたい相手でもあります。しかし、当然のこととしてその業者は「自分も儲かる」という前提で行動します。

アパート経営を始めた当初は「ありがたい人」であった業者とも歳月が経つにつれて疎遠になり、それに代わる相談相手がいなくなってしまうということは決して珍しいことではありません。

◆年によって税金が大きく変動することがある

「業者のシミュレーション」では家賃収入は安定し、支出(必要経費)も前提条件を基に算出されていることから税金も予測可能なように思いがちです。しかし、アパート経営の税金は思いのほか変動が激しいです。

「満室で多額の修繕がない年」は税額が最大になります。「空室が多く多額の修繕があった年」は税額が最小になります。この変動が予測不能です。しかも、税金の納付は1年遅れてしなければなりません。これが辛いです。

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以上、アパート経営の大変さばかりを強調しましたが、もちろんアパート経営にはメリットや旨味もあります。

★「労働時間」が少ない

アパート経営の最大のメリットは、比較的少ない時間で収益を上げることができるという点です。アパート経営にかかわる作業の大部分は業者がしてくれますので、経営者は業者との打ち合わせだけをすればよいということです。

★投資対象が目に見える

たとえば、FXや仮想通貨(暗号資産)と違ってアパート経営は投資対象が目にはっきりと映ります。物件の状況は現地で実際に確かめることができます。収益性に大きく影響する周辺の状況も知ることができます。ですから、素人でも比較的収益の見通しを立てやすいです。

★売り時を逃さない(物件の買い替えも必要)

賃貸物件から得られる収益は永遠ではありません。賃貸アパートという商品は時とともに陳腐化します。これは電化製品や衣料品と同じです。賃貸アパートの収益は、ある時を境にして下降線をたどります。投資額が十分回収できたのであれば、透かさず売ってしまうという機敏さが必要だと思います。次の物件を探せばいいのですから。

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