【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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【インボイス】もう少しわかりやすい言葉はないのだろうか・・・

2022-10-01 18:45:00 | 消費税
インボイス制度スタートまで残りあと1年となりました。某大手新聞社の新聞記事によると、8月末時点で適格請求書発行事業者として「登録をすべき事業者」で「すでに登録をしているのは3分の1程度」とのことです。

「登録をすべき事業者」とは現在消費税の課税事業者で税務署に消費税の申告と納税をしている事業者のことです。このような事業者でも、令和5年10月1日以降は適格請求書発行事業者の登録をしていなければ販売に際してその相手先に消費税を請求できなくなります。

「残る3分の2、登録していない事業者」はこのまま登録をしなければ、令和5年10月1日以降販売に際してその相手先に消費税を請求できなくなるということです。

◆消費税を請求できないということは税務署に申告と納税をする必要がない(それは違う!)

それがそうではないのです。請求書で消費税を請求できなくても、消費税は受け取っているとされます。いわゆる税込価格とされるのです。

令和5年10月1日以前は「本体価格100円+消費税10円」であったのが、令和5年10月1日以降「消費税込100円」になるということです。

「消費税込110円で請求すればいいということでしょ(笑)?」

それがそんなに甘くないのです。インボイス制度を知ればわかります。相手先が「仕入税額控除」をできないのです。相手先は「消費税込110円」を拒み「消費税込100円」とするように要求します。その要求に応じない場合には「取引の打切り」になります。

◆もう少しわかりやすい言葉はないのだろうか・・・

「適格請求書」
「インボイス」
「仕入税額控除」

一般人でこの言葉の意味を知っている人はほとんどいないと思います。事業経営者でも知っているのは少数派です。しかし、この言葉の意味を知らなければ、令和5年10月1日以降はビジネスの現場から排除されます。

インボイス制度に対する認識が深まらず適格請求書発行事業者の登録が進まないのは、「言葉の問題」であることは明らかです。上記の言葉で税金に関するものと認識できるのは「仕入税額控除」だけだと思いますが、これが消費税に関するものであることは理解できないでしょう。

「税法の条文に忠実に」はわかるのですが、インボイス制度の導入は「商取引の根本システムの大変革」なのですから、国にはもっと「わかりやすい言葉」で説明する義務があります。

現状、国民は「ユーチューブ(民間の発信する情報)」に分かりやすい情報を求めています。「言葉の問題」を理由にインボイス制度の導入が進まないという事態だけは何としても避けなければなりません。多くの事業者はわかりやすく説明すればインボイス制度の趣旨と必要性を理解できます。

◆免税事業者は益税問題を認識している

インボイス制度が導入されると、いわゆる益税問題が解決します。免税事業者が消費税を受け取りながら消費税を納税しないという問題です。

免税事業者はこの益税が消費税制度の趣旨に反することを認識しています。そして、すでに適格請求書発行事業者の登録(イコール課税事業者になる)を済ましている事業者もいます。登録をしていない免税事業者の多くはインボイス制度に対して無知なのだと思います。

◆制度導入は2年程度延期すべきでは!

ロシアのウクライナ侵攻の影響により世界中の物価が上昇し、我が国においても各事業者は「価格調整」に躍起になっています。ロシア(プーチン大統領)はおいそれと矛を収めないでしょう。このような状況下でインボイス制度を「見切り発車」すれば商取引は大混乱し、弱小事業者(適格請求書発行事業者の登録をしていない)が値下げの標的にされることは火を見るよりも明らかです。

令和5年10月1日からのインボイス制度スタートは無理です!

最低でも2年程度は延期すべきです(しかし、中止すべきではありません)。

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