【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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10月1日からどうすればよいのか?(その2)

2023-09-22 17:15:00 | 消費税
「免税事業者なのでインボイスの登録もしなかった・・・」

当然、このような事業者は請求に際してインボイスを発行する必要もありませんし、仕入税額控除をするためにインボイスを入手する必要もありません。しかし、得意先との価格交渉において荒波を被るのはこのような事業者であるといわれています。

◆10月1日からは請求書に消費税を記載できない

インボイス登録をしていない事業者は、10月1日以降は請求書に消費税を記載することはできません。もし、消費税を記載しようものなら、相手先から「貴社(貴方)は登録をしていないので(登録番号がないので)請求書に消費税を記載しないでください」といって請求書の書き直しを求められます。

◆税込請求の場合も消費税相当額を減額される恐れが

インボイス制度導入前と同一商品あるいは同一サービスであれば、10月1日以降は消費税相当額を減額される恐れがあります。なぜならば、得意先はインボイス登録をしていない支払先に対する消費税相当額を税務署に納める消費税から差し引くことができないからです。

10月1日からの新商品、新サービスであれば税込で交渉をすればよいのですが、当然相手はインボイス登録をしている業者の類似商品やサービスの「本体価格」と比較してくるでしょうから、希望している価格よりも減額される恐れはあります。

◆得意先によっては価格を段階的に引き下げてくる場合も

「仕入税額控除」には経過処置があって、10月1日からいきなりインボイス登録をしていない支払先に対する消費税相当額の全額が控除できなくなるのではなく、3年間は80%、次の3年間は50%はという具合に段階的に引き下げられます。

「良心的な」得意先であればこの経過措置に対応させて、段階的に価格の引き下げ要求をしてくるケースもあります。

◆得意先によっては値下げを要求しない場合も

これは「個別的な関係」によるのですが、得意先によってはインボイス登録をしていなくても値下げを要求してこないことも考えなれます。「貴社(貴方)とは消費税の負担が増えても(仕入税額控除が減っても)関係を維持したい!」というケースです。

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★インボイス登録は消費税制度への「加入手続」

事業者は販売代金に上乗せして消費税を預かり、仕入代金や諸経費を支払った際に支払った(預けた)消費税を差し引いて税務署に納めます。わが国に消費税が導入されて30年以上が経過し、この消費税の仕組みはすっかり社会に定着しています。いまや消費税率は10%となり今後さらなる税率アップも考えられる現状において、消費税制度の重要性は高まる一方です。

インボイス登録をしている事業者(税務署に消費税を納めている事業者)はインボイス登録をしていない事業者に消費税を支払うわけにはいきません。インボイス登録をしていない事業者は税務署に消費税を納めていないからです。消費税制度という仕組みに「加入」していないからです。

インボイス登録をしていない事業者が販売代金に消費税を上乗せできないのは当然のことです。「やはり登録しておくべきだった・・・」と考えている事業者は今からでも遅くはありません。今なら、「すみません!登録の手続が遅れてしまって」で許されると思います。

「消費税制度への加入」、今後のビジネスにおいては必須です。

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