【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

預り金勘定(源泉所得税の帳簿での動き)がおかしい!?

2018-11-20 11:30:00 | 源泉徴収と年末調整
年末調整がよくわかるページ(国税庁サイト)

国税庁のサイトにこんな便利なページがあります。このページから解説書や税額表、さらには扶養控除等申告書なども入手できます。

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源泉所得税は、源泉徴収義務者(会社などの給料を支払う者)が給料を支払う際に一定額を徴収し(天引し)、後ほど税務署に納付します。このように、源泉所得税は源泉徴収義務者にとっては預かった税金ですので、預り金勘定を用いて処理をしていれば「徴収(貸方)」と「納付(借方)」は同額で、結果として「残高ゼロ」となります。

しかし、様々な理由からこれがそう簡単にはできないのです。

■仕訳に間違いがある→源泉徴収税額も納付税額も正しい

この場合は仕訳を「源泉徴収税額=納付額」に一致するよう修正しなければなりません。徴収および納付したときの仕訳に勘定科目の誤りはないか(別の勘定科目で処理していないか)、金額に誤りはないかを検討しなければなりません。

■納付税額(納付書)に間違いがある→源泉徴収とその仕訳は正しい

「納付書」の税額を「書き間違った」という場合です。納付額に不足や過大があるのですから、不足の場合には追加納付しなければなりません。過大の場合には税務署に対して所定の用紙で還付の請求をしなければなりません。

■源泉徴収を間違った税額でしたが納付税額は正しい場合

源泉徴収の間違いに気がついて、納付は正しい税額でしている場合です。納付税額との差額は追加での源泉徴収、あるいは源泉徴収をした分の従業員への返金により、源泉徴収税額を納付額に一致させなければなりません。

■年末調整の還付

還付の際には還付額を預り金勘定の借方(減少)に記入し、納付書では「年末調整による超過税額」に記入します。

★預り金勘定の記帳が完璧にできれば経理はプロ級です!

源泉所得税についての経理処理の質問は、経理経験の浅い人、特に簿記の知識がないまま会計ソフトを使用している人から「非常!」に多いです。そして、その多くが「解決不能」の状態です。上記のとおり、預り金勘定には様々な要素が関連しており、そのすべてが「正しく」「相互に矛盾なく」行われなければ預り金勘定は正しい状態にはなりません。

預り金勘定の記帳が完璧にできれば経理はプロ級です。会社ならば経理の管理職(元帳や試算表の正確性を確認する人)、会計事務所の職員であればひとつの関与先を全面的に任される立場です。「給与台帳」「給与明細の控」「納付書」「通帳」「元帳」・・・、といった具合に個々の帳簿資料を検討し「どれが正しいか?」「どこが間違っているか?」を明確にし、間違いを正せる能力を会得しているということです。この能力はあらゆる経理処理で求められます。

≪ご注意≫上記の説明は預り金勘定に源泉所得税に関する「補助科目」を設定していることを前提としております。預り金勘定は住民税の特別徴収や社会保険料の従業員負担部分などについても用いますので、補助科目を設定したほうが処理と管理が行いやすくなります。

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