【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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年末調整の還付金を受け取らない場合の経理処理

2022-01-10 10:30:00 | 源泉徴収と年末調整
中小零細企業の代表者は年末調整の還付金を受け取らないことがあります。還付金は少額であること、還付金を受け取るために12月の役員報酬の手取り額の計算をあらためてすることが面倒であるのがその理由です。

還付金を受け取らないからといって代表者の年末調整をしないというわけにはいきませんので、年末調整はして還付金に相当する金額の経理処理をしなければなりません。

◆放置しておくと預り金勘定に残る

年末調整をする12月の源泉所得税の納付額は、徴収した税額から還付した税額を差し引いた額となります。徴収が10万円で還付が6万円の場合は4万円です。預り金勘定の動きとしては、10万円の徴収が還付6万円と納付4万円でゼロになるということです(前月までに滞納がなく、経理処理も正しいとして)。いわゆる「納期特例」の適用を受けている場合には「徴収は7月から12月合計」で計算します。

代表者に還付をしない場合は代表者の還付金相当額が預り金勘定に残ります。上記の例で代表者の還付額が7万円のうち2万円であるとすれば、預り金の残高は2万円になります。

◆預り金から社長借入金に振替える

預り金勘定の「預かり」という意味は、税務署に納付するために預かっているということですから、税務署に納付する必要がない分は預かった人に返さなければなりません。これを返していない場合には借りているということです。ですから代表者に還付していない金額は社長借入金(役員借入金)に振替えるのです。

この処理をしていないと、預り金勘定は還付金相当額だけ残り続け、あたかも源泉所得税を納付していないように見えます。金融機関に決算書を提出している場合、この金額が積もり積もって多額になってくると印象が悪いですので、忘れずに社長借入金へ振替えておく必要があります。

◆年末調整で不足する場合(預り金勘定はマイナスに)

年末調整の結果、今までの徴収額では不足するというケースがあります。徴収が10万円、還付が5万円、不足が2万円の場合、納付は7万円です。預り金勘定の動きは、10-5+2-7でゼロになります。

不足する2万円を追加で徴収していない場合には、預り金勘定は10-5-7=マイナス2万円となってしまいます。

この2万円の不足が全額代表者の分である場合には、社長貸付金(役員貸付金)に振替えなければなりません。

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