【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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年末調整に関する仕訳と勘定科目

2018-11-27 15:00:00 | 源泉徴収と年末調整
今年が「平成最後」の年末調整ですが、次の時代になっても年末調整はしなければなりません。年末調整の対象は1月から12月の給与合計ですので、来年の年末調整には「平成最後の給与」が含まれることになります。平成が完全に消えるには、今しばらくの歳月を要するのです。

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給与から徴収した源泉所得税は預り金勘定に計上し、納付した際に預り金勘定を減少させます。通常月は、「徴収(貸方)」と「納付(借方)」は同額で、結果として「残高ゼロ」という動きを繰り返しますが、年末調整を行う12月は特別な動きをします。

【ご注意】以下の説明は預り金勘定に補助科目を設け、源泉所得税だけの補助科目があることを前提としております。

◆還付金は預り金勘定の減少

還付金は毎月の給料から源泉徴収した所得税を返金するわけですから、源泉徴収したときに預り金勘定の貸方に計上した分を借方に計上して預り金勘定を減少させます。

≪借方≫給料+預り金(源泉所得税)
≪貸方≫預金または現金+預り金(源泉所得税)+預り金(住民税、社会労働保険料)

借方の預り金(源泉所得税)は各従業員への還付金の合計額です。貸方の預り金(源泉所得税)は12月も源泉徴収される従業員の源泉所得税の合計額です。

◆還付をすれば預り金勘定がマイナスになる場合もある

このようなこともあります。11月分までの源泉所得税は全額納付しているとして(11月までの預り金は全額消えているとして)次のようなケースで考えてみます。

○12月に源泉徴収した税額合計→100(預り金の貸方)
○12月に年末調整で還付した金額合計→150(預り金の借方)

預り金(源泉所得税)はマイナス50となります。

「(その月に)源泉徴収した以上に還付するなんておかしい!?」と思われるかもしれませんが、年末調整は「年間の税額の精算」ですのでこのようなこともありうるのです。

◆預り金勘定のマイナスは厳密には「未収入金」

上記のように預り金勘定がマイナスということは、源泉徴収し納付しなければならない金額以上を税務署に代わって従業員に還付をしているわけですので、税務署から返金してもらう必要があります。しかし、通常は税務署からの返金ではなく翌年1月以降に源泉徴収する分から差し引いて納付します。(返金を受けるためには要件があり、さらに手続も面倒だからです。)

預り金勘定のマイナスを解消したい場合には下記の仕訳をします。

≪借方≫未収入金50
≪貸方≫預り金(源泉所得税)50

そして、未収入金相当額を差引いて納付した際に次の仕訳をします。

≪借方≫預り金(源泉所得税)→翌年1月徴収分
≪貸方≫現金または預金+未収入金50

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