【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会計ソフトに必要な初歩の会計知識(実務は手加減をしてくれない)

2014-07-29 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトを使えるようになるための初歩的な会計の知識についての質問をよく受けます。

■遭遇するあらゆる取引の仕訳ができなければならない

会計ソフトを導入するということは、誰のアドバイスもなしに遭遇するあらゆる取引(資金の変動)を仕訳しなければなりません。会計(簿記)の世界の難易度は、この仕訳の対象となる取引によって決まってきます。取引が複雑、取引の会計的解釈が難しい場合には高度な会計知識(会計的判断能力)が要求されます。このあたりが会計(経理)業務の難しい所です。「初心者なので難しい取引はパス!」という訳にはいかないのです。試験のように受験者の能力レベルに応じた仕訳ばかりという訳にはいきません。

■決算書が出来るまでの一連の流れに対する理解

入力した仕訳が試算表や決算書にどのように反映されるのか、つまり、利益や資産・負債に与える影響を理解していなければ、決算と税務申告の際に「こんなに税金は払えない!」と大慌てすることになります。会計のゴールは決算書です。会計ソフトは仕訳を入力すれば自動的に決算書を作成してくれますが、税務署や金融機関には自身で決算書の説明をしなければなりません。

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★経理担当者や公認会計士・税理士はどうやって会計(簿記)をマスターしたのか?

まずは、国家試験や簿記検定など、一定の試験勉強(講義を受ける、本を読むなど)をしています。次に、実務経験です。実務経験とは、完成した経理体制の中で「仕訳」「試算表・決算書の作成」など一通りの業務を経験するということです。この実務経験で勘が養われ要点がわかるようになるのです。教科書で説明されていない取引にも対処できるようになります。

「実務を経験して初めて(学校などで)勉強したことの意味が理解できた!」「実務に磨きをかけるため、もう一度勉強してみよう!」「自分は体系的に勉強をしていないから(実務で)苦労するんだ・・・」、実社会を経験した人なら誰もが感じることです。

★最低1年間は専門家(公認会計士や税理士)の指導を受ける

会計の知識も経験もない人が自己流で会計ソフトを使って決算・申告をするのは不可能です。仕訳の間違いや抜けが必ず出てしまいます。

「会計ソフトメーカーが簡単だ(会計知識なしでも使える)といった!」

それは、「入力した仕訳に基づき自動的に決算書を作成します」「入力方法は簡単です」という意味です。会計ソフトには「仕訳の正誤を判断する、抜け・重複をチェックする機能」は有りません。仕訳の正誤を判断する、抜けや重複をチェックするノウハウは業種や業態によって大きく異なります。これを初心者が自ら習得するのは不可能です。