【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

合わせたはずの預金残高が合わなくなっている!?

2015-10-17 13:45:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトの入力は預金通帳をベースに行うのが効率的です。預金通帳は銀行が作成した信頼のおける記録であり、多くの入出金は預金を経由することから、まずは預金通帳の出入りを入力し、結果としての預金残高を確定させるのが効率的です。

「合わせたはずの預金残高が合わなくなっている!?」という質問を受けることがあります。「確かに合わせた!」、「会計ソフトの設定がおかしいのでは!?」、「ソフトのバクでは!?」などといって、驚愕したり憤慨したりする人がいます。そんなことはありません。自身で、無意識に数値を動かしているのです。

■二重仕訳

二重仕訳とは、複数の基データに同じ仕訳が表れるという現象です。

例えば、A銀行の普通預金からB銀行の普通預金に預金を移動させた場合です。この場合、両行の預金通帳に「同じ意味の記録」が残ります。仕訳は、「B銀行普通預金/A銀行普通預金」です。

このようなケースでは、どちらの基データから入力するかをあらかじめ決めておく必要があります。A銀行の預金通帳から入力するのであればB銀行の預金通帳にはその旨(入力不要)を記しておく必要があります。そうでないと、A銀行の入力が終わった時点ではA銀行の預金通帳と残高が一致していたとしても、B銀行の預金通帳を入力すればA銀行の残高は変動してしまい預金通帳と残高は一致しなくなります。また、B銀行の残高も一致しません。A銀行を入力した時点でB銀行の変動を入力しているからです。

■期首残高(期首残高の変更は厳禁です!)

期首残高は前年度の決算額であり、決算とは「確定」を意味しますので期首残高は変更することはできません。決算額が誤っていることもあるかもしれませんが、それでも期首残高は変更できないのです(前期の決算額が間違っている場合には所定の方法で当期中の日付で変更します)。

「この鉄則!」を知らずに、期首残高を変更しているうちに期首の預金残高を変更している人がいます。

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★複式簿記
先ほどのA銀行からB銀行への預金の移動のように、取引(お金の動き)を二面から捉える記帳方法を複式簿記といいます。複式簿記においてはある取引を記録するにあたっては、その取引を両面から認識します。そして、その両面が異なる基データに表れる場合には二重仕訳の問題が生じますので、どちらから記録をするかを決めておかなければならないのです。