goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

年末調整と不動産所得

2011-11-02 17:00:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
年末調整と不動産所得は全く関係がありません。年末調整は給与所得に関する手続であるからです。

ここでは、給与所得と不動産所得の両方がある人(ほかの所得はないとします)の年末調整と確定申告について説明させていただきます。最近、このような「サラリーマン大家」が増えていると聞いています。

■勤務している会社に不動産所得を知らせる必要はありません

当然です。不動産所得は自らで確定申告をしなければなりません。「サラリーマンは確定申告が不要(会社が税金の計算はしてくれる)」という固定観念(甘え?)は捨ててください。

■給与所得と不動産所得を合算して確定申告をします

所得税の確定申告は1年間の全ての所得を合算して行います。給与所得と不動産所得の場合には、両所得を合算してそこから所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)を差引きし、それに税率を乗じるのです。

なお、給与から源泉徴収された税金は「先払い分」ですので、確定申告で算出される税額から差し引くことができます(二重に課税されることはありません)。

■会社から源泉徴収票を必ず入手してください

確定申告に際しては会社から交付を受けた源泉徴収票の「原本」の添付が必要ですので、必ず会社から交付を受け大切に保管しておいてください。なお、会社には翌年1月末までに源泉徴収票を交付する義務があります。

このようにして源泉徴収票を税務署に提出してしまうと手元に源泉徴収票がないことになります。今後、ローンの申込みなどで源泉徴収票の提出を求められた場合には会社に源泉徴収票の再発行を依頼しなければなりません。なお、不動産所得がある場合には「確定申告書の控」が所得の証明になりますので、源泉徴収票が不要の場合もあります(源泉徴収票の内容は確定申告書の控に含まれる)。

■配偶者控除や扶養控除が受けられなくなる場合もあります

親族に不動産賃貸業に関して給与を支払っている場合(専従者給与あるいは専従者控除)には配偶者控除や扶養控除が受けられなくなります。

賃貸物件が親族との共有名義であれば、名義を共有している親族にも不動産所得が生じますので、配偶者控除や扶養控除の所得要件を満たさなくなり控除が受けられなくなる場合もあります

当然、控除の要件を満たさない親族は年末調整(毎月の給料からの源泉徴収)の段階で除いておく必要があります(扶養控除等申告書に記入してはいけません)。

■不動産所得が赤字の場合には給与から源泉徴収された税金が還付されます

不動産所得と給与所得は損益通算することができます。損益通算とは、ある所得の赤字金額を他の所得から差し引くことです。不動産所得が赤字の場合には、その赤字を給与所得から差し引けば、給与から源泉徴収されている税金が還付されるのです。(確定申告は還付を受けるために行います。)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★初めて不動産所得が生じた年の確定申告
黙っていても税務署から連絡はありませんので、自ら行動を起こさなければなりません。税務署から連絡があるのは確定申告の時期が終わってからです。場合によっては、数年間「泳がせてから」連絡があります。その間に税務署は申告漏れである確かな裏付けを入手するのです。