NHK土曜ドラマ「監査法人」をご覧の方の中にはドラマでの監査のシーンを見て、「税務署も同じようなことをしている?」とお感じの方もおられると思います。そのとおりです。監査法人(公認会計士)が行う「会計監査」と税務署(あるいは国税局)が行う「税務調査」には共通する部分もあるのです。
会計監査(監査法人)も税務調査(税務署)も、決算数値やその基礎となる帳簿などを対象としていることに変わりはありません。
企業の課税所得は決算書に基づき算出されます。企業は「確定した決算」に基づいて課税所得を算出し、その課税所得に応じた、法人税(国税)、住民税(都道府県民税と市町村民税)、そして事業税(都道府県)を納税しなければならないのです。ここで「確定した決算」とは、上場企業の場合には監査法人の監査が終了した決算書ということになります(上場企業には監査法人による監査が義務付けられています)。
上場企業の場合には監査法人の監査が終了しているので税務調査は不要では?
ごもっともなご意見です。
しかし、決算書の利益=課税所得ではないのです。ですから、たとえ監査法人の監査が終了していたとしても税務署は独自の観点から、つまり、企業が確定した決算から税法(法人税法など)に基づいて課税所得を算出しているかを調査しなければならないのです。
少し話は難しくなりますが、決算書においては費用や損失としなければならないものが、税法においては費用や損失(法人税法では「損金」といいます)とならないこともあります。決算書では、株主(投資家)や債権者に少しでも正確な決算情報を伝えるために、合理的な見積もりや予測をして費用や損失を決算数値に織り込みます。しかし、税法においてはこのような見積もりや予測による計算が認められない場合があります。
ドラマ「監査法人」の中で「繰延税金資産」という言葉が出てきたのを憶えていますか?
(ジャパン監査法人の篠原理事長と東都銀行の頭取との会話でこの言葉が出てきました。)
当然のこととして、銀行の不良債権は決算において損失として処理しなければなりません。回収できないからです。しかし、税法においてはこれが損金として認められないこともあるのです。要するに、企業は正確な決算数値を算出するためには、税金は減らないけれども損失処理をしなければならないということです(税法上も認められるのは後の年度になる)。このようにして払った税金のことを繰延税金資産といいます(税金の前払い)???
上手く説明できなくて申し訳ありません。
【公認会計士と税理士の違い?】
税理士は納税者の依頼に基づいて、納税者に代わって税務署に提出する申告書を作成したり、税務調査の対応をしたりします。つまり、公認会計士(監査法人)とは全く異なる仕事をしているのです。しかし、公認会計士は税理士となる資格もあります。これは、上記のとおり決算書(会計業務)と税務申告書(税務)は密接に関連していることから公認会計士には税に関する知識も要求され、公認会計士試験においても税に関する試験が行われていることによります。なお、税理士は公認会計士試験に合格しない限り公認会計士業務(監査)は行えません。これも、ややこしい話です・・・
多くの先進資本主義国では、公認会計士が監査と税務を行うことができる国家資格として位置付けられており、わが国の税理士のような資格はありません(ドイツにのみ類似する資格があります)。
会計監査(監査法人)も税務調査(税務署)も、決算数値やその基礎となる帳簿などを対象としていることに変わりはありません。
企業の課税所得は決算書に基づき算出されます。企業は「確定した決算」に基づいて課税所得を算出し、その課税所得に応じた、法人税(国税)、住民税(都道府県民税と市町村民税)、そして事業税(都道府県)を納税しなければならないのです。ここで「確定した決算」とは、上場企業の場合には監査法人の監査が終了した決算書ということになります(上場企業には監査法人による監査が義務付けられています)。
上場企業の場合には監査法人の監査が終了しているので税務調査は不要では?
ごもっともなご意見です。
しかし、決算書の利益=課税所得ではないのです。ですから、たとえ監査法人の監査が終了していたとしても税務署は独自の観点から、つまり、企業が確定した決算から税法(法人税法など)に基づいて課税所得を算出しているかを調査しなければならないのです。
少し話は難しくなりますが、決算書においては費用や損失としなければならないものが、税法においては費用や損失(法人税法では「損金」といいます)とならないこともあります。決算書では、株主(投資家)や債権者に少しでも正確な決算情報を伝えるために、合理的な見積もりや予測をして費用や損失を決算数値に織り込みます。しかし、税法においてはこのような見積もりや予測による計算が認められない場合があります。
ドラマ「監査法人」の中で「繰延税金資産」という言葉が出てきたのを憶えていますか?
(ジャパン監査法人の篠原理事長と東都銀行の頭取との会話でこの言葉が出てきました。)
当然のこととして、銀行の不良債権は決算において損失として処理しなければなりません。回収できないからです。しかし、税法においてはこれが損金として認められないこともあるのです。要するに、企業は正確な決算数値を算出するためには、税金は減らないけれども損失処理をしなければならないということです(税法上も認められるのは後の年度になる)。このようにして払った税金のことを繰延税金資産といいます(税金の前払い)???
上手く説明できなくて申し訳ありません。
【公認会計士と税理士の違い?】
税理士は納税者の依頼に基づいて、納税者に代わって税務署に提出する申告書を作成したり、税務調査の対応をしたりします。つまり、公認会計士(監査法人)とは全く異なる仕事をしているのです。しかし、公認会計士は税理士となる資格もあります。これは、上記のとおり決算書(会計業務)と税務申告書(税務)は密接に関連していることから公認会計士には税に関する知識も要求され、公認会計士試験においても税に関する試験が行われていることによります。なお、税理士は公認会計士試験に合格しない限り公認会計士業務(監査)は行えません。これも、ややこしい話です・・・
多くの先進資本主義国では、公認会計士が監査と税務を行うことができる国家資格として位置付けられており、わが国の税理士のような資格はありません(ドイツにのみ類似する資格があります)。