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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

適格請求書発行事業者の登録申請は簡単です!

2022-07-23 10:31:00 | 消費税
インボイス制度についての理解はできていても、適格請求書発行事業者の登録申請を躊躇する事業者がいます。

◆申請書を提出するだけ

国税庁サイト

このページを読むと申請はe-Tax(ネットによる手続)に限定されているように思われますが郵送(紙の申請書)による提出もできます。

申請書の作成は大変簡単です。一部、専門的な記載事項もありますが、それについては「軽減・インボイスコールセンター」に電話で相談ができます。

◆面接や視察はなし

登録申請に際しての面接や視察に身構える事業者がいますが、面接や視察は一切ありません。申請書の記載事項に不備がある場合には電話で訂正を求められるだけです。

◆ほぼ100%申請が認められる

消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者でなければ、原則として登録を拒否されることはありません。

過去の税務調査で消費税の過少申告を指摘された、申告書の提出や納付の遅れがあったとしても、それだけを理由に登録を拒否されません。

◆登録料などは不要

登録時の登録料、登録後の維持管理費用などは一切不要です。

◆登録通知

登録申請の結果、登録が認められた場合には、登録番号と登録年月日が通知されます。この通知は、事業者が申請時に選択することによりe-Taxサイトあるいは書面の郵送で行われます。

◆適格請求書発行事業者公表サイトで公表される

登録後は国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で「社名」「登録番号」「登録年月日」「所在地」などが公表されます(個人の場合は氏名と登録番号のみ)。そして、この公表サイトに登録番号を入力すれば誰でも公表事項を閲覧できます。

◆登録番号について

法人(会社)の登録番号は「T+法人番号」です。法人番号は公表されており誰でも特定の法人(会社)の法人番号を調べることができます。ですから、法人(会社)の場合は誰でも特定の法人(会社)が適格請求書発行事業者の登録をしているかを調べることができるということです。

一方、個人の登録番号は固有の番号(マイナンバーではない)であることから、本人あるいは本人が登録番号を知らせた者でなければ適格請求書発行事業者の登録をしているかを調べることができません。

◆【最重要】登録すれば課税事業者になる

これが一番大事です。適格請求書発行事業者の登録をすれば消費税の課税事業者として税務署に消費税を納めなければなりません。免税事業者が登録をすれば課税事業者になります。課税事業者が登録をすれば、売上が1000万円以下になっても消費税の納税を続けなければなりません。

インボイス制度導入後、得意先に消費税を請求して、税務署に消費税を納めるというのであれば登録申請をためらうことはありません。

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★適格請求書発行事業者の登録を取り消す

適格請求書発行事業者の登録をした後に、その登録を取り消すこともできます。しかし、その場合は得意先に消費税を請求できなくなります。また、売上が1000万円を超える場合には税務署に消費税を納めなければなりません。

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課税事業者(簡易課税を適用できない)がすべきこと

2022-07-23 10:30:00 | 消費税
インボイス制度を免税事業者の締め出しであると捉える風潮があります。しかし、既存の課税事業者がインボイス制度導入後、新たな課税制度についていくことができず脱落していくことが続出するでしょう。

◆適格請求書発行事業者の登録をするのは当然です!

既存の課税事業者であれば、適格請求書発行事業者の登録を躊躇することなど全くありません。登録の申請に際してはこれといった審査はありません。申請書さえ提出すれば必ず登録できます。

インボイスという言葉に身構える人がいますが、インボイス(適格請求書)なんて、現状の消費税額が明記された請求書に「登録番号」を付け加えればいいだけです。

◆インボイス制度は正確な仕入税額控除を確保するためにある

事業者が税務署に納める消費税は、販売の際に受け取った消費税から仕入や経費の支払いの際に支払った消費税を「差し引いた」額です。この支払った消費税を差し引くということを仕入税額控除といいます。

インボイスは「仕入税額控除」をするために必須の証拠書類です。インボイス制度においては、インボイスがなければ仕入税額控除ができません。仕入税額控除の計算はインボイス(適格請求書)を入手した取引のみを抽出し集計することにより行わなければなりません。

インボイス制度導入前の現在は、請求書や領収書に消費税に関する記載がなくても、消費税の課税取引であれば税込みの取引額から消費税額を逆算して仕入税額控除を行えます。しかし、インボイス制度導入後はこの方法が認められませんので、仕入税額控除の「取りこぼし」をなくすべくインボイスが発行されなければならない取引については漏れなくインボイスを入手しなければなりません。

◆インボイスを発行できない取引先(支払先)への対応

インボイス制度の導入に際して最も大変なことは、インボイスを発行できない取引先(支払先)への対応です。

現状、そのような取引先(支払先)への支払いが年間で550万円(内消費税50万円)あったとします。インボイス制度導入後も今までどおり550万円の支払いを続けていては、50万円の「消費税相当額」について仕入税額控除ができなくなります。

〇消費税相当額50万円は支払わない
〇適格請求書発行事業者になってもらう(課税事業者になって消費税を納めてもらう)
〇別の取引先を探す

どれも簡単なことではありません。

今すぐ、準備をしてください!

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★簡易課税が適用できる場合

仕入税額控除において重要な役割を果たしているインボイスが、簡易課税を適用している事業者では不要です。簡易課税は仕入税額控除の計算を「受け取った消費税」に対して「みなし仕入率」を乗じることによって行うという方法だからです。

簡易課税が認められるのは、基準期間(2年前)における売上が5000万円以下で所定の届けをしている事業者に限られます。

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課税事業者(簡易課税を適用している)がすべきこと

2022-07-15 19:31:00 | 消費税
現在、消費税の課税事業者で消費税の申告を簡易課税でしている事業者は、来年(令和5年)10月から始まるインボイス制度の影響が全くないといっても過言ではありません。

◆することはただひとつ(適格請求書発行事業者の登録をする)

現在、消費税の課税事業者であっても、令和5年10月1日以降は適格請求書発行事業者の登録をしていなければ、販売に際して消費税を請求することができません。なお、この登録手続は令和5年3月31日までに済ませなければなりません。

今すぐ、適格請求書発行事業者の登録をしてください!必要なことはそれだけです。

◆簡易課税であればインボイスがなくても仕入税額控除ができる

事業者が税務署に納める消費税は、販売の際に「受け取った消費税」から仕入などで「支払った消費税」を差し引いた額です。この支払った消費税を「差し引く」ことを仕入税額控除といいます。インボイスは仕入税額控除を正確に行うための、いわば消費税の領収書です。支払ってもいない消費税を仕入税額控除できないようにするための証拠書類です。

この仕入税額控除において重要な役割を果たしているインボイスが、簡易課税を適用している事業者では不要です。簡易課税は仕入税額控除の計算を「受け取った消費税」に対して「みなし仕入率」を乗じることによって行うという方法だからです。

◆簡易課税が適用できなくなった場合に備える

簡易課税が認められるのは、基準期間(2年前)における売上が5000万円以下で所定の届けをしている事業者に限られます。

将来的に簡易課税が適用できなくなることが予想される場合には、それに備えて仕入税額控除の対象となる支出についてはインボイスの入手を徹底しておかなければなりません。取引先に対して、「うちは簡易課税だからインボイスは必要ない!」とは口が裂けてもいってはいけません。

また、簡易課税そのものが廃止されることもあり得ます。簡易課税は免税事業者とともにわが国の消費税制度の欠陥であるからです。インボイス制度導入後も「インボイスがなくても仕入税額控除ができる」というのはおかしなことです。

◆簡易課税を適用していることは公表されていない

適格請求書発行事業者については国税庁のサイトで公表されていますが、簡易課税を適用していることについては非公開です。ですから、仕入先などから「御社は(規模からして)簡易課税のようですのでインボイスは不要でしょ?」といわれることはありません。もし、そのようなことをいわれても「インボイスは必要です!」と断言することです。

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免税事業者がすべきこと

2022-07-15 19:30:00 | 消費税
令和5年10月1日から始まるインボイス制度の影響を最も受けるのは免税事業者です。免税事業者は消費税を受け取れなくなるからです。たとえば、年間の売上が550万円で、その内消費税額が50万円の免税事業者の場合、売上が550万円から500万円に減ります。50万円の売上減は生活を直撃します!

◆得意先の大部分が一般個人(事業をしていない人)である場合

インボイス(適格請求書)は事業者間の販売取引(いわゆるBtoB)に際して、販売した事業者が販売先に対して発行します。インボイスは販売先が「仕入税額控除」を正確に行うための証拠書類なのです。

一般個人(事業をしていない人)は消費税の申告納税をしませんので、仕入税額控除をするためのインボイスは不要です。したがって、得意先の大部分が一般個人(事業をしていない人)である免税事業者は、インボイス制度が始まってもインボイスを発行する必要がありません。当然、適格請求書発行事業者の登録も不要です。課税事業者になって消費税を納税する必要がないということです。

◆適格請求書発行事業者の登録をして課税事業者になる

免税事業者は、得意先の大部分が一般個人(事業をしていない人)である場合を除いて、「令和5年3月31日までに」適格請求書発行事業者の登録をする必要があります。そうでなければ令和5年10月1日以降、インボイスを発行することができないので、販売に際して消費税を相手先に請求することができなくなります。

ここで気をつけなければならないのは、適格請求書発行事業者になれば同時に消費税の課税事業者にもなるということです。課税事業者は税務署に消費税の納税が必要となります。

◆課税事業者(適格請求書発行事業者)になった後の収入

消費税の課税事業者は「受け取った消費税」から「支払った消費税」を差し引いた額を税務署に納税しなければなりません。免税事業者のように「受け取った消費税の全額」が収入にはなりません。

免税事業者のままで550万円(内消費税50万円)の売上が500万円になるよりも、売上は550万円(内消費税50万円)のままで消費税50万円の一部を税務署に納税するほ
うが得であることは明らかです。

今すぐ、適格請求書発行事業者の登録をしてください!

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インボイスさえあれば仕入税額控除ができる

2022-06-25 11:00:00 | 消費税
「領収書さえあればなんでも経費になる」が間違いであるのと同じで、「インボイスがあればなんでも仕入税額控除ができる」というのも間違いです。

◆「適格請求書発行事業者でない」事業者が発行した「インボイスと同じ様式」の請求書

適格請求書発行事業者でない事業者がインボイスと同じ様式の請求書、つまり「架空の登録番号」や「実在する他の事業者に付与されている登録番号」を記載した請求書を発行したとしてもそれはインボイスではありません。

登録番号は国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」でその実在性と付与されている事業者を調べることができますので、このような請求書はインボイスではないことが簡単にばれてしまいます。

◆実在しない取引に関して発行されたインボイス

たとえ適格請求書発行事業者が発行していたとしても、前提となる取引が事実無根であれば、当然ながらそのインボイスでは仕入税額控除をすることはできません。

◆取引を仮装して発行したインボイス

取引を仮装するということは虚偽の記載がされているというわけですから、そのインボイスでは仕入税額控除をすることはできません。

消費税の「非課税取引を課税取引のように装う」、インボイス制度導入後、税務調査では入念にチェックされます。

◆事業とは無関係な取引(代表者の私的費用)に関して発行されたインボイス

インボイス制度導入後の税務調査においてはこれが一番問題になります。代表者の私的費用(事業とは無関係)に関して入手したインボイスがこれです。

インボイスを発行する事業者は相手先から要求されればインボイスを発行します。「事業をしているのでインボイスを発行してほしい!」と告げれば簡単にインボイスを発行してもらえます。インボイスを発行する事業者は、相手先の支払いが事業に関してかを確認する義務はないのです。

事業とは無関係な取引(代表者の私的費用)に関して発行されたインボイスは、記載内容が実在する取引に基づいており、インボイスとしての要件を満たす様式であったとしても仕入税額控除をすることはできません。これは法人税の損金、所得税の必要経費としての可否の判断に伴わせて調べられることになります。出費の内容や出費があった際の状況などから判断されるのです。

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