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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

弥生会計で消費税を計算する

2012-10-16 17:00:00 | 消費税
【ご注意】下記の説明は簡易課税を選択しておらず、税込処理をしている場合を前提としております。

ほとんどの財務会計ソフトに消費税の計算機能、事業者が税務署に「申告・納付」しなければならない消費税の額を計算する機能が備わっています。

事業者が納付する消費税は、売上などの際に受け取った消費税から、仕入や諸経費の支払いの際に支払った消費税を差し引いた額です。この計算は、通常は一事業年度で行います。「個々の仕訳の際に」消費税を認識しておき、それを基に「一事業年度合計での」「受け取った消費税-支払った消費税」という計算をすればよいのです。

弥生会計12の場合、勘定科目ごとに消費税の扱いがあらかじめ設定されています。ですから、ユーザーが消費税を意識しなくても消費税が自動的に計算されるのです。それは、仕訳を入力すれば自動的に試算表や決算報告書が作成されるのと同じです。

「決算・申告(K)」「消費税申告書作成(R)」「消費税申告書作成(一般用)(S)」、「申告基礎」「データ読込」「戻る」、これで申告書が完成します。「付表2」も同じ要領です。

しかし、話はそんなに単純ではありません。

弥生会計12の場合、消費税計算の全体像を概観するために「税区分集計表」というものが用意されています。「集計(R)」「消費税集計表(T)」「税区分集計表(Z)」で表示されます。

税区分集計表から発見される修正が必要となる例は次のとおりです。

●減価償却資産(車両運搬具、工具器具備品など)の「貸方」が「課税対応仕入」となっている

本来、「課税対応仕入」は「借方」です。費用の支払いや減価償却資産を購入した際に生じます。そして、「課税対応仕入」は「支払った消費税」として申告・納付する消費税を減額する要素となります。これが、「貸方」ということは、増額する要素になってしまいます。

原因は減価償却の仕訳です。

≪借方≫減価償却費(対象外)≪貸方≫車両運搬具(課税対応仕入)→×

初期設定のままだとこのようになるのです。これを手動で下記のように修正しなければなりません。

≪借方≫減価償却費(対象外)≪貸方≫車両運搬具(対象外)→○

●売上の全額が「課税売上」

土地や住宅の賃貸収入に関して消費税は非課税ですが、初期設定では売上は「課税売上」となっていますので、これを手動で「対象外」に修正しなければなりません。

●交際費の全額が「課税対応仕入」

「慶弔金」「商品券」は「対象外」です。

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★科目別税区分集計表と消費税申告書の関係

当然、両者は連動しています。

科目別税区分集計表の「課税売上」の合計額を消費税抜きにした額(100/105)が、申告書の「課税標準額」です(1000円未満切捨て)。

科目別税区分集計表の「課税対応仕入」の合計額(税込み)の4/105(国税部分)が、申告書の「控除対象仕入税額」です。

なお、この計算は「付表2」を介するとわかりやすいです。

【簡易課税】工賃作業専門の製造業は第4種事業

2012-02-23 17:00:00 | 消費税
簡易課税における事業区分において製造業は第3種事業です。しかし、製造業に属する業種であっても(日本標準産業分類の大分類による)であっても、工賃作業、つまり「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」は第4種事業となります。

具体的には次のような作業です。

●建設業者が他の建設業者が材料を調達した工事の現場で「建築作業のみ」を行う
いわゆる建築職人です。「一匹狼」だけでなく「職人集団」としての会社や個人事業者もこれに該当します。

●発注者から無償で材料の支給を受けそれに加工を加え対価としての工賃をもらう
いわゆる下請の町工場はこのような形態が多いと思います

「サービス業(第5種事業)では?」と思えるかもしれません。

確かに、サービス業(第5種事業)とされている、「クリーニング業」「自動車修理業」「写真現像・焼付業」「衣類縫製修理業」「精米賃加工業」なども同様だからです。しかし、これらは、事業区分の目安となる「日本標準産業分類の大分類」においてサービス業に分類されていることから、簡易課税の事業区分においてもサービス業(第5種事業)なのです。

【簡易課税】外見は小売店だけれども製造業(第3種事業)

2012-02-21 17:00:00 | 消費税
簡易課税における事業区分で小売業(第2種事業)の扱いを受けるには、「他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する」という要件を満たさなければなりません。この要件を満たさない場合には製造業(第3種事業)の扱いを受けてしまいます。たとえ商店街やショッピングモールなど、小売店が集まる場所に店舗を構えていても簡易課税による消費税の計算においては製造業の扱い受けるのです。

そこで、簡易課税を適用し、小売業(第2種事業)として消費税の申告を行う場合には、「性質、形状を変更しない」とはどういうことなのかを慎重に検討しなければならないのです。仕入れた商品を「そのまま陳列して」販売しない小売店は多いです(スーパーなど)。決して他人事ではありませんよ!

この件について、精肉店を例にして考えてみます。

●切る、刻む、たれに漬け込む、混ぜ合わせるは「軽微な加工」とされます

陳列ケースに並べるために肉を切る、販売単位にするためにパッキングするなどの「軽微な加工」であれば、「性質、形状を変更しない」と扱われます。

●煮る、焼く、揚げる

「軽微な加工」には該当せず、「性質、形状を変更する」という扱いになります。精肉店が店先で売っている「揚げトンカツ」がその典型です。「揚げコロッケ」は文句なしです。

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このトンカツやコロッケから、自家製の「総菜屋」「弁当屋」は製造業(第3種事業)であることをわかります。印刷屋、はんこ屋、オーダーメードの洋服店も同じです。「外見は小売店だけれども製造業(第3種事業)」という店はけっこう多いのです。

【簡易課税】飲食店は第4種事業!?(出前?宅配?テイクアウト?)

2012-02-16 17:00:00 | 消費税
第4種事業とは、第1種事業(卸売業)、第2種事業(小売業)、第3種事業(製造業)および第5種事業(サービス業など)以外の事業をいい、具体的には、飲食店業、金融・保険業などです。

飲食店が得る収入には、飲食店業以外でも行っている商品の販売やサービスの提供によるものありますが、それらは第4種事業以外に分類されます。

●出前と宅配

一般的に、出前とは、飲食店(店舗で調理した飲食物をその店舗で提供する)が客の自宅などに飲食物を届けるという飲食店のサービスのひとつです。一方、宅配とは、飲食店のように店舗内に客が飲食する場所がない業者が、客から注文を受けた飲食物を、客の自宅などに届けることをいいます。

要するに、出前は飲食店の業務の一環(本来のサービスの延長線上にあるサービス)であるけれども、宅配は飲食店の業務とは異なるということです。ですから、出前は第4種事業(飲食店業)、宅配は第3種事業(製造業)になります。

●テイクアウト(持ち帰り)

パン屋、弁当屋、総菜屋などのことで、第3種事業(製造業)となります。作って売るからです。なお、飲食店が行っているテイクアウトも、店での飲食や出前とは異質の事業形態であると考えて第3種事業(製造業)として扱われます。店で飲食するのと持ち帰って飲食するのは違うと考えるのです。上記の出前は、店と同じように飲食物を届けることから第4種事業(飲食店業)なのでしょう。

●ホテルや旅館が行う飲食物の提供

ホテルや旅館が提供する宿泊サービスは第5種事業(サービス業など)ですが、ホテルや旅館が提供する飲食物に関する扱いは次のとおりに分かれます。

宿泊費に飲食代が含まれている場合・・・第5種事業(サービス業など)
宿泊費と飲食代が区分されている場合・・・第4種事業(飲食店業)
宿泊客以外も飲食ができる場合・・・第4種事業(飲食店業)

【簡易課税】不動産業は第5種事業!?(事業内容を再検討してみることの重要性)

2012-02-14 17:00:00 | 消費税
「不動産業は第5種事業」

まさにそのとおりでございます!
(消費税法施行令第57条第5項第4号に明記されています。)

不動産業としてイメージするのは不動産売買の仲介でしょう。「仲介」とは、自身が商品などを仕入れて販売するのではなく、他の業者や個人が保有している商品などが売れるための手助け(広告や宣伝をするなど)をして、売れた場合には「仲介手数料」をもらうという「ビジネス」です。また、仲介手数料は商品などの購入者からももらいます(最近ではそうでない場合もあります)。

不動産業者は売買の仲介だけではなく、賃貸マンションなどの賃貸取引の仲介もしており、この場合も仲介手数料が生じます。また、仲介の対象である賃貸物件の維持修繕や賃料の集金などの管理業務も不動産業者の業務分野とされており、この件に関しての「管理料」をもらいます。

それから、不動産業者には自身が所有している賃貸物件からの「賃料収入」もあります。

消費税法では、以上のことを第5種事業としています。第5種事業は不動産業のほか、運輸通信業とサービス業も該当します。

不動産業の業務分野は以上にとどまりません。

●中古住宅やマンションを購入し販売する
卸売業(第1種事業)あるいは小売業(第2種事業)にほかなりません。なお、購入した中古物件の壁や床の張り替えなどのリフォームを施した後に販売する場合には製造業(第3種事業)となります。(販売価格のうち土地代金に相当する部分は消費税が非課税です。)

●不動産業者が工務店に建築させた建売住宅を販売する
建設業(製造業である第3種事業)にほかなりません。この場合、「自らは製造していない」かもしれませんが、製造の指図(構造、間取り、デザインなどの指示)はしていますので製造しているという扱いになります。(販売価格のうち土地代金に相当する部分は消費税が非課税です。)

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★社名や属している業者団体と簡易課税の事業区分は無関係
ということです。先入観で事業区分をしてはいけません。

★複数の事業を営んでいる場合
事業ごとの売上に対してみなし仕入率を適用します。そのためには、事業ごとに売上を区分しなければなりません。けっこう大変ですよ!

【参考】

日本標準産業分類(総務省)
http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/19index.htm

事業区分は「おおむね」これに従います。