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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

インボイス方式への移行(免税事業者制度は実質的に廃止?)

2019-12-20 18:45:00 | 消費税
今年10月1日から消費税に複数税率(軽減税率)が導入され、我が国の消費税の仕組みは大きく変わりました。さらに今度は、「インボイス方式(制度)」への移行に向けて動き始めています。

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「インボイス方式(制度)」は軽減税率のように一般消費者(事業者以外の人)には全く関係がありません。あくまでも事業者の事務に関する制度です。

◆インボイスとは?

インボイス(Invoice)は「送り状」と訳されることが一般的です。貿易取引において、送り主が相手先に送った荷物の内容などを知らせるための書面です。しかし、消費税におけるインボイスはこれとは違います。

◆我が国の方式(帳簿方式)は「特殊」であった

事業者は「販売の際に受け取った消費税」から「仕入などの際に支払った消費税」を差し引いて税務署に納税しなければなりません。この計算は帳簿への記録に基づいて行います。例えば、「売上の消費税」「仕入の消費税」は、それぞれ売上と仕入の帳簿の売上あるいは仕入の合計額から算出するといった具合です。これを「帳簿方式」といいますが、この方式は我が国よりも先に消費税を導入したEU加盟各国では採用されていません。

◆EU加盟各国ではインボイス方式

EU加盟各国の消費税は我が国のような帳簿方式ではなくインボイス方式が採用されています。インボイス方式では、取引の際に法定の要件を備えた書面(これをインボイスと呼んでいる)の発行が販売者に義務付けられており、事業者は「販売の際に受け取った消費税」と「仕入などの際に支払った消費税」をインボイスに基づいて計算して納税します。

◆我が国では消費税が生じる取引記録が法律で統一されておらず不明瞭

「請求書」「領収書」「レシート」など、消費税の表示方法は様々です。また、代金の授受をしても書面が発行されないことさえあります。このあたりが我が国の消費税の制度的欠陥である、要するに「消費税が正確に計算されていない」とずいぶん以前から指摘されてきました。

適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)

上記のとおり、我が国では取引時の消費税の授受に関する書面が法律で定められておらず、どれだけの消費税が生じたかが不明瞭で、これを改善するために導入されるのが「適格請求書等保存方式」です。ただし、導入されるのは令和5年(2023年)10月1日からです。

適格請求書等保存方式が導入されると「仕入などの際に支払った消費税」は「適格請求書」からしか集計できません。適格請求書がなければ、実際に消費税を支払っていたとしても、税務署に納める消費税の計算において「販売の際に受け取った消費税」から差し引くことはできないのです。

適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)における「仕入などの際に支払った消費税」の計算は簡単です。適格請求書に記載された消費税額を足し算すればいいだけです。こうなれば不正な計算は一目瞭然になります。

◆適格請求書を「発行しない」事業者

こんな事業者は取引から排除されますので、どの事業者も適格請求書を発行するようになります。

◆適格請求書を「発行できない」事業者

いわゆる免税事業者(売上1000万円未満)は適格請求書を発行できません。

◆小規模事業者(免税事業者)を「驚かす」ような情報がネット上に蔓延!

令和5年(2023年)10月1日以降、免税事業者が「本体価格100+消費税10」という請求書を発行しても、「本体価格100」の支払いしか受けられません。なぜならば、適格請求書を発行できないからです。

◆実質的には免税事業者が廃止されるということ

免税事業者であっても手続をすれば課税事業者となることはできます。課税事業者になれば適格請求書を発行できます。免税事業者で、「請求書に消費税を明記している」つまり消費税を上乗せることを前提に価格設定をしている事業者は、課税事業者にならなければ「今までどおりの価格設定による取引」が成り立ちません。課税事業者になるしか道はないのです。

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★かすかな期待(甘いです!)

〇延期になるかもしれない(事業者の事務負担があまりにも大きい)
〇要件が緩和されるかもしれない(同上)
〇税務調査での扱い(弾力的適用)
〇無知な販売先には従来どおりの請求書で通用する(制度が浸透するには相当の歳月を要する)

しかし、期待はしないほうがいいです。全国民に影響する、あの「軽減税率(複数税率)」でさえ実施されたのですから、世間の片隅に暮らす小規模事業者の声など届くはずがありません。

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軽減税率制度とは?

2019-10-12 10:30:00 | 消費税
とうとう消費税の軽減税率が始まってしまいました。

ある税目に複数の税率が設けられているのは決して珍しいことではありません。むしろ、それが普通です。例えば、国民になじみのある所得税や相続・贈与税がそうです。

消費税は、広く消費一般(物を買う、サービスを受ける)に課税される税ですので、その課税対象は無限といっても過言でもありません。さらに、消費税の対象となる物やサービスは日々変化と増加を続けていますので、これを正確に認識して課税関係を明確にすることは容易ではありません。

ともあれ、法律で決まってしまったのですから、国民はこれに従うしかありません。少なくとも次の選挙までは(笑)。

◆事業者(納税者)と軽減税率→「飲食料品」を扱う事業者は大変です!

事業者は販売の際に「受け取った消費税」から仕入や経費を支払う際に「支払った消費税」を差し引いてそれを税務署に納めなければなりません。事業者は販売に際しては、自ら消費税を計算してそれを販売代金に上乗せします。

この販売代金に上乗せする消費税の税率が複数になったのですから大変です。「飲食料品」といってしまえば簡単ですが、飲食料品を扱っている事業者の取扱商品のすべてがこれに該当するわけではありません。「区分け」が必要となります。

仕入の際の税率も複数になります。仕入先の請求書の税率に盲従するすることもできませんので、自らの判断力を養わなければなりません。また、税額を税率に分けて集計するという作業が大変です。

大変です!

大手はともかくとして、中小零細は大変です。この複雑な税制に付いていけず、これを機に廃業するところもあるでしょう。考えただけで恐ろしいです。これからは「大廃業時代」が到来するといわれていますが、その引き金が消費税かもしれません。

飲食料品を販売していない事業者も無関係ではありません。残業する社員に支給する夜食代金(例えばコンビニで購入した弁当)は軽減税率です。また、どういうわけか新聞代も軽減税率です。「受け取った消費税」はともかくとして、「支払った消費税」については多くの事業者に軽減税率が影響します。

嫌ですね!!

【参考】国税庁サイト・軽減税率制度とは(リーフレット等
まずは、下記をお読みください。
令和元年10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されます(チラシ)(令和元年6月)
よくわかる消費税軽減税率制度(令和元年7月)(パンフレット)(PDF/4,2MB)

軽減コールセンター(消費税軽減税率電話相談センター)

◆国民(税の負担者)と軽減税率

国民は消費税の負担者であって納税者ではありません。国民は生活するための物やサービスを業者から購入する際に、業者から販売代金に上乗せして提示された消費税を販売代金と一緒に支払います。それを税務署に納税するのは事業者です。

軽減税率が導入された今、すべての国民は消費税に関する正しい知識を持たなければなりません。すべての事業者が軽減税率についての正しい対応ができるとは限らないからです。「ポイント還元」に騙されてはいけません!

政府広報オンライン

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マンガでわかるこんなに危ない! ?消費増税
藤井 聡
ビジネス社


「消費税の軽減税率制度について」【国税庁サイト】

2016-04-12 21:00:00 | 消費税
このブログでは一貫して、国税に関する情報で唯一絶対的に信頼できる情報は国税庁のサイトであると伝えております。

しかし、国税庁のサイトには「わかりにくい」という致命的な弱点があります(笑)。もうひとつの弱点は、「情報を見つけにくい」ということですが、この弱点については「リンク」を多用することで相当程度まで克服されています。

消費税の軽減税率制度について

問い合わせが殺到し急きょ作成したのか非常に殺風景なページです(笑)。

「わかりやすい(簡単)→情報を絞り込む(限定する)→納税者に誤解を与える危険性」

国税庁も頭が痛いところだと思います。

4月20日締め請求の消費税率

2014-04-14 12:30:00 | 消費税
締日が20日(計算期間が21日から翌月20日)の場合、今年に限って4月20日締めの請求で消費税率が5%と8%が混在することになります。

◆請求書を2枚に分けて発行する

これが一番簡単です(これしかないと思います)。「3月21日から3月31日」「4月1日から20日」の2枚を発行します。そして、この「2枚を総括した」請求書を作成します(説明を書き添えておきます)。

◆2月21日から3月31日で請求する

5%に統一できるかもしれませんが、請求書の発行が遅れてしまいます。また、得意先にとっては支払額が増えるのでクレームが発生するでしょう。

◆3月21日から3月31日だけで請求する

請求回数が増えてしまいます。

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★仕訳は2行(会計ソフトの入力に注意)

弥生会計14の場合、4月以降の日付で入力すると自動的に消費税率を8%で計算します。4月20日締めの場合には「4月20日」で入力しますので、5%部分の請求額(3月21日から3月31日)は「手動で」5%に変更するか、3月31日付で入力しなければなりません。

消費税率が上がりました・・・(今、事業者=納税者としては何をすべきか?)

2013-10-02 17:00:00 | 消費税
2013年(平成25年)10月1日、消費税率の引き上げが決定しました。法律に従って決められたのですから、もう、覆ることはありません。気持ちを切り替えて、事業者(納税者)としては次の対策を講じなければなりません。

■「2014年(平成26年)4月1日以降」が含まれる事業年度(課税期間)

決算や申告に影響を与えるのは「2014年(平成26年)4月1日以降」が含まれる事業年度(課税期間)からということになります。なぜならば、消費税率が8%の取引が含まれるからです。

事業年度が1月1日から12月31日の会社の場合には、2014年(平成26年)1月1日からスタートする事業年度から影響が出ます。2014年(平成26年)1月1日から3月31日までは消費税率5%ですが、4月1日以降は8%です。

納税の負担が生じるのは事業年度終了後です。上記の例では2015年(平成27年)になってからです。こう考えると、まだまだ(?)余裕があるように思えます(税収に反映されるのも先ということです)。

■帳簿の記載方法

いわゆる「税込」処理をしている帳簿は影響ありませんが、「税抜」処理をしている帳簿は「消費税額」の計算が変わってきます。

所定の「請求書」「見積書」「領収書」などに「5%」と明記されている場合には「新様式(8%)」を発注しておく必要があります。ただし、次の10%に備えて、発注は必要最低限にしておかなければなりません。

■会計ソフトのバージョンアップ

「2014年(平成26年)4月1日以降」が含まれる事業年度(課税期間)からは新税率に対応したものを使わなければなりません。多くの会計ソフトは消費税率を変えることができませんのでバージョンアップすることになります。

長らく会計ソフトのバージョンアップをしていない場合には、バージョンアップをすることによって操作環境(画面)が激変することもありえますので、できることなら税率が変更される直前の事業年度(途中)から、試運転の期間として新バージョンに移行することをおすすめいたします。

■「5%か?8%か?」

4月1日前後の取引で悩むケースが続出すると思います。すべてのケースで税法上の扱いが明確にされているとは限りませんので、迷った場合には税務署あるいは税理士に相談しなければなりません。

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★これで先が見通せるようになってきたのでは?
事業者(納税者)には消費税率アップを価格に転嫁できないという苦痛が生じるかもしれませんが、「政府の方針(本音)」「政界の動き」など、今後の経済動向を大きく左右する不確定要因が明確になったので企業経営者には意思決定がしやすい状況になりました。「よし、当社はこれで行く!」という心境の経営者が増えてきていることでしょう。