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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

【勘定科目の検算】販売費及び一般管理費

2018-10-20 11:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
販売費及び一般管理費(いわゆる経費)として計上される勘定科目は多数あります。それぞれの勘定科目の金額が正しいか気になるかもしれませんが、一定時点の残高がある資産や負債と違って、一定期間の累計数値である費用(収益もそうです)はそう簡単に検算することはできません。

資産の預金であれば預金通帳、負債の借入金であれば返済予定表と照合することによって勘定科目の金額が正しいことを確認できます。費用については、資産や負債のように照合できる決定的な資料はありません。あえて言うならば、複数の請求書や領収書を合計した金額ですが、すでに日付順に保存している請求書や領収書から特定の勘定科目の分を集計するのは大変な作業となります。

販売費及び一般管理費については次のような方法で、計上された金額が正しいということの「確証」を得るしかありません。

◆次ごとの比較

ほとんどの財務会計ソフトには、月次の試算表を月ごとに比較する機能が備わっています。「月次推移」「月次比較」などといわれるものです。この損益計算書の販売費及び一般管理費の部分を査閲(レヴュー)するのです。

○毎月計上されるもの
給料、電話代、電気・水道・ガス料金などです。
○毎月同額が計上されるもの
役員報酬や家賃などです。
○特定の月にしか計上されないもの
賞与がこれです。
○特定の勘定科目に連動して計上されるもの
販売手数料は売上に、社会保険料(健保と厚生年金)は給料に連動します。
○月末に銀行口座振替えで支払うもの
月末に銀行口座振替えで支払うものは、月末が休日であれば翌月に引き落とされて計上されます(計上されない月、2か月分計上される月があります)。
○不規則に計上されるもの
接待や福利厚生に関連する費用がそうです。
○臨時に計上されたもの
退職金、新製品の宣伝費用、記念行事に関する費用がこれです。

各費用は一定の傾向や特色を伴って発生し計上されます。異常性のある勘定科目については総勘定元帳を査閲(レヴュー)し、さらには基資料である請求書や領収書までたどらなければなりません。

◆年度ごとの比較(とりあえず前期)

年度ごと、とりあえずは前期と比較してみます。

○増えていなければおかしいもの
「従業員を増やした」「事務所や店舗を拡大した」、このような状況の変化と矛盾していないかを確認します。
○減っていなければおかしいもの
「従業員を減らした」「事務所や店舗を縮小した」、このような状況の変化と矛盾していないかを確認します。

★勘定科目誤りに注意!
販売費及び一般管理費に関しては勘定科目の誤りが非常に多いです。単純な会計ソフトへの「入力誤り」、使用する勘定科目の「不統一」「非継続」が決算書を歪(いびつ)にしてしまいます。

★木も森も見る
販売費及び一般管理費を正確に計上するには、仕訳の段階で基礎資料を十分入手し、それを分析・解明した事実関係に基づいて処理しておくことが大切です。しかし、無意識のうちに処理を誤る、処理を変えていることがありますので、上記のような査閲(レヴュー)を欠かせません。

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【勘定科目の検算】仕入高

2018-10-16 17:01:00 | 経理業務(帳簿の作成)
年間の仕入高は膨大な仕入件数が集計されたものであることから、この集計作業を事後的に検算するのは不可能であるといっても過言ではありません。ですから、日常処理の段階で、発注したとおりの納品と請求がされ、それに基づいて仕入計上されているかを入念にチェックしておかなければ収拾がつかなくなります。

★発注記録の保存

正確な仕入計上をするには発注を正確にしなければなりません。「相手任せ」「口頭での発注」は厳禁し、書面での発注を徹底しなければなりません。発注が「不正確」「不明瞭」であれば、納品や請求の段階での変更が頻繁に生じ、事務作業に混乱をきたし、正確な仕入を計算することができません。また、この発注の段階で「品名とその数量」は当然として「単価(品ごとの値段)」も決定しておく必要があります。信頼関係や馴れ合いでの価格の「後決め」は仕入計上を不正確にしてしまう最大の要因です。

★納品時に品目と数量を確認

納品時には注文どおりの品目と数量が届いていることを完璧に確認しておく必要があります。もし、品目や数量が注文と異なっている場合には至急業者に連絡し、返品する、あるいは追加納品をしてもらう必要があります。やむを得ず当初の注文を変更しなければならない場合には、変更内容の書面を業者に要求しなければなりません。そうでなければ、注文記録と納品、さらには請求とのつながりが絶たれてしまいます。

★納品された品目と数量で請求されているかを確認

最終的に仕入が確定するのは請求の段階です。ただし、それは請求が「注文→納品」に基づいている場合です。納品が注文どおりに行われているからといって、請求が正しいという保証は全くありません。

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【勘定科目の検算】売上高

2018-10-16 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
決算書の売上高は一事業年度の販売金額の累計値で、年間の全ての販売をひとつひとつ集計した結果です。売上高を構成する項目の件数は膨大になりますので、この集計プロセスを一事業年度分、事後的に検算することは不可能であるといっても過言ではありません。ですから、売上高を正確に集計するには、日ごろからの検算、何らかの異常が認められる部分の重点的検討が必要となってきます。

★日や月ごとの検算

日ごとや月ごとでしたら「漏れ」と「重複」の発見は容易だと思います。小売店でしたら、閉店後に個々の売上を確認することができます。卸売業でしたら、営業終了後にその日の出荷の全てを確認できます。この確認した結果が集計に反映されていれば問題ありません。

★集計結果を月ごとや前年度と比較する

日々や月々の検算をしていたとしても、想定外の間違いや勘違いをしてしまうこともあります。間違いや勘違いは、集計結果に何らかの異常となって表れますので、集計結果を「目で確認」するということが欠かせません。

異常な数値は、日あるいは月ごとの推移や前年同時期の数値と比較することによって明らかになることがあります。さらに、この比較は「得意先別」「店舗別」「商品別」など細分化された単位で行うとより効果的です。

★他の関連する勘定科目を検討する

複式簿記では、取引が生じると複数の勘定科目が同時に変動します。売上高と同時に動く勘定科目の典型は売掛金です。売上高の間違いは売掛金の間違いにもつながります。「二重に売上計上をしている」のであれば、その分の売掛金は減りませんので売掛金残高が多く残るはずです。

★売掛帳は正しいのに試算表が間違っている

売掛帳は正しく作成され請求にも一切問題がない場合でも、その売掛帳が正しく試算表に反映されていなければ売上高は正しい金額とはなりません。このようなことが起こる原因は仕訳の間違いです(単純な金額の集計や転記のミス)。また、売掛帳には記録されていない取引、例えば単発的な相手に対する現金での販売を売掛金勘定で処理した場合は売上高が過少になってしまいます。

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【勘定科目の検算】買掛金・未払金

2018-10-09 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
買掛金とは仕入をしたけれども代金の支払期日が到来していないので支払いをしていない部分をいいます。例えば、支払の条件が「毎月1日から月末までの分」を「翌月末まで」に支払わなければならないとなっているのであれば、月末にはその月に仕入れた分が買掛金の残高になります。

★請求書

買掛金の把握は簡単です。先方が発行する請求書の額を計上すればよいからです。支払の条件が「毎月1日から月末までの分」を「翌月末まで」であれば、試算表の買掛金残高はその月に仕入れた分の請求書の金額合計になります。翌月に支払いをすればこの額は消えます。そして、翌月には翌月の請求が買掛金として計上され、以後はこの繰り返しです。

★請求書の誤り(発注記録との照合、納品時の検品)

請求書が間違っていることもあります。買掛金(仕入)として計上するのは発注して納品された分です。請求書がこれと異なっている場合には請求書の金額をそのまま計上するわけにはいきません。

請求書は受動的に受け入れるのではなく、請求書を発注記録と照合するのは当然として、納品時には正確に検品(品名、数量、品質の確認)しておくことが必要です。このようにして請求書の誤りを発見した場合には、正しい金額に訂正して買掛金を計上しておきます。当然、請求書は修正してもらわなければなりません。

★締め日の関係

当方の締め日は月末で、先方の締め日が月末でない場合があります。例えば、先方の締め日が「当月21日から翌月20日」といった場合です。この場合、月次決算の段階では、先方の締め日に合わせて買掛金を計上してもかまいません。しかし、年度末の決算においては、翌月の請求書から「当月21日から月末」までの分を抽出して集計する、場合によっては「当月21日から月末」までの分の請求書を別途発行してもらう必要もあります。

★仕入先別の管理が必要

仕入先の件数が多い場合には、仕入先ごとに買掛金を管理しなければなりません。このための帳簿を買掛帳といいます。試算表の買掛金残高は、買掛帳の残高の合計額になります。

★未払金も要領は同じ

未払金も買掛金と処理の要領は同じです。しかし、未払金で処理されるのは主に経費となりますので、金額の小さいものについては月次の段階では計上はしなくてもよいです。

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【勘定科目の検算】売掛金

2018-10-03 12:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
売掛金とは販売したけれども代金が未回収になっている部分をいうのですから、代金の「請求期間が毎月1日から月末まで」、「支払期限が翌月末まで」であるとするならば、その月に販売した代金の合計が売掛金の残高となります。

これを毎月の試算表で確認しておかなければなりませんが、取引先の件数が多く、イレギュラーな取引も生じる場合には確認作業は大変です。

★得意先別の管理が必要

売掛金を正確に計算するためには得意先別の管理が必須です。試算表の売掛金残高は得意先別に計算した売掛金残高の合計金額ということになります。この得意先別の管理をする帳簿が「売掛帳」です。また、この作業をするソフトが販売管理ソフトです。

得意先別に管理するためには、新たな得意先との取引が始まったならば「口座を開設」しなければなりません。新たにその得意先のための売掛帳を作るということです。販売管理ソフトを使用している場合には「得意先コード」を設定しなければなりません。

★入金消し込み

入金の消し込み、請求金額の入金状況の確認作業は入金方法に応じて行います。現金回収の場合には「領収書の控」「現金出納帳」など、銀行振込の場合には「預金通帳」、クレジットカードの場合には「クレジット会社の報告書」を手がかりに行います。振込みがある銀行、取り扱っているクレジットカードの種類が多い場合には作業が大変です。

★請求どおりの入金がない場合

次のような理由から請求どおりの入金がされない場合があります。

○振込手数料相当額を差し引かれた
銀行振込みで「手数料当方負担」となっている場合です。この場合も、売掛帳においては「全額回収」として扱います。

○金額を間違った
先方が銀行振込みをする際に金額を間違った、当方が現金で集金する際に金額を間違った場合などです。過大となっている場合には返金あるいは次回請求からの減額、過少となっている場合には追加請求あるいは次回請求分への加算となります。売掛帳においては、本来残高として残るべき金額よりも過大あるいは過少となります。

○先方と締め日が違う
先方の締め日が「毎月21日から翌月20日」、当方の締め日が「毎月1日から当月末」である場合、「請求した月」の21日から月末の分は減額、「前月に請求した」分の21日から月末は請求額から増額されます。

★その他

とにかく、売掛金の管理(請求管理)にはハプニングが付き物です。大変ですが、取引先の機嫌を損ねてはいけませんので、とにかく得意先に合わせるしかありません。ただし、許容水準を超える場合には取引の停止も考えなければなりません。

○別の名義で振り込んできた
例えば、会社宛の請求書を社長の個人名義で振り込んでくる場合です。

○複数の請求を合算して支払ってきた
例えば、請求は部門や支店別にするけれども、支払いは全社合算してくる場合です。

○一方的な減額や支払いの保留
先方の都合や感情で一方的に減額や支払いの保留をしてくる場合です。

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