goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務署に申告するよう促された(あの人はばれていない!)

2020-11-17 12:30:00 | 所得税の確定申告
「どうしてあの人はばれないのか?」
「申告しなくても済む方法があるのか?」

無申告の人からのよくある質問です。課税されることが確実な収入を税務署に把握され、税務署に申告をするよう執拗に促されても、それに応じようとしない人がいます。

◆弱小事業者の下で働いている人は所得を把握しにくい

課税される所得がありながら税金を一切払っていない人の共通点は、弱小事業者から収入を得ているということです。事業者との契約関係も明確でないことから、給料としての源泉徴収はされていません。また、自身で確定申告をするという考えや知識もありません。

このようなケースでは、事業者に対する税務調査をきっかけにして無申告が発覚することがあります。しかし、その事業者の経済的基盤が弱く短期間に消滅してしまうことから、税務調査が行われることもありません。

しかし、このような人たちの収入は極めて低く、税金を正確に計算したとしても、極めて低額、場合によってはゼロになります。

◆ネットで一躍高額所得者に!

昨今では、パソコンやスマホさえあれば、誰もがネットで稼ぐチャンスがあります。卒業や退職後、長らく無収入に近い状況であった人が、突如、ネットで高収入を得ることも珍しくはありません。税務署に無申告を指摘され、驚愕する人の中にはこのパターンの人が非常に多いです。

ネット取引というのは記録が明確に残ることから、税務署に収入を確実に把握されてしまいます。しかし、ネット取引に夢中になっていると、そのことに気がつかないのです。

◆無申告の期間中に形成された生活環境(今のままでいたい!)

無申告になっている人の多くは、無申告期間中は親族の配偶者控除や扶養控除の対象となっています。健康保険も親族のものです。申告をしてしまうと、この生活環境が一変し、自身のみならず親族の負担も激増します。それで、申告することをためらうのです。

◆早く申告をするのが得策です(もう逃げられません!)

税務署に無申告を指摘され、申告を促されたのであれば、できるだけ早く申告することです。税務署は決定的証拠を押さえたうえで無申告を指摘しているのです。もう、逃げられません。申告が遅れれば遅れるほど生活環境の変化が大きくなり、それへの適応する際の苦痛も大きくなります。

========

★所得を得た証拠は必ず残る

所得は相手があって生じるものですので、どんなに所得を得た者が「白を切っても」、税務署がその相手から証拠をつかんだのであればどうすることもできません。この世に隠せる所得などありません。相手と結託すれば隠せるかもしれませんが、その相手が裏切ることや税務署に尻尾を掴まれることがあります。

所得は様々な経路をたどって生じます。その経路においても証拠は残り、目撃者もいますので、税務署はここからも無申告者の存在をあぶり出しています。

★税務署を無視する

「そんなことをしても無駄です!」という情報がネットで検索したら多数出てきます。「税務署から逃げ切ってやった(笑)!」という情報は皆無だと思います。

★税務署には「決定」という最終手段がある

税務署には「決定」といって、申告しない者の税額を決めてしまうという権限があります。なお、この決定について不服を申し立てることができますが(最終的には裁判で争える)、それは税額の計算方法についてであって、税務署の決定という行為そのものについてはどうすることもできません。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



今年は事業所得がマイナスになりそう

2020-11-02 17:01:00 | 所得税の確定申告
★事業所得がマイナスは「異常」な状況

事業所得がマイナスであるというのは、事業主の「実入り」がないどころか、「持出し」になっているということです。こんな異常な状況ではとても事業を続けることができません。

しかし、コロナ禍が覆いかぶさっている今年は、事業所得がマイナスの事業主が続出することが予想されます。

========

◆持続化給付金・家賃支援給付金は事業所得の収入に含める

持続化給付金・家賃支援給付金は事業所得の収入に含めて事業所得を計算します。会計ソフトの「勘定科目」としては「売上」ではなく、「雑収入など」売上以外の収入で処理します。確定申告書に添付する青色申告決算書においては「雑収入」、収支内訳書においては「その他の収入」に含めるとともに、「本年中における特殊事情」に給付金を受け取った旨を記載しておくとよいでしょう。

◆預貯金を取り崩しても収入にはならない

事業所得がマイナスであるということは、実入りがないのですから、何とかして生活費を捻出しなければなりません。

このような場合、蓄えていた預貯金を取り崩すのが一般的ですが、預貯金を取り崩しても収入にはなりません。蓄えていた預貯金は、過去に稼いで「課税も済んでいる」事業所得の結果ですので、それを使ったとしても課税は生じないのです。

◆借入をしても収入にはならない

金融機関などから借入をして資金を得ても、事業所得の計算における収入にはなりません。また、借入金を返済して資金が減っても必要経費にはなりません。ただし、利息は必要経費になります。

借入金で得た資金で仕入代金や家賃を支払えば、それは必要経費になります。その結果として得た売上代金は収入になります。

◆資産の売却は税金に注意

不動産や株式の売却により生じた譲渡所得は「分離課税」されますので、事業所得がマイナスで生活に窮していても課税されてしまいますので注意が必要です。

不動産の譲渡所得の計算は「売却価格-購入価格」ではなく、購入価格からは一定金額が「償却分」として差し引かれますので、思いのほか譲渡所得が生じて課税される場合があります。また、不動産を購入するための借入金は譲渡所得の計算において考慮されません。

株式の譲渡所得については、利用している証券会社で選択している「課税方式」によって手続が大きく異なってきます。一般的な「特定口座の源泉徴収あり」であれば、課税手続は証券会社の事務処理だけで終了しますが、それ以外の場合は自ら確定申告をしなければならない場合があります。

◆生命保険の解約も税金に注意

生命保険の解約返戻金も「一時所得」として課税されます。課税されるのは「解約返戻金-支払った保険料合計」から「50万を差し引いて」「それを2分の1した」金額です。なお、一時所得のプラスは事業所得のマイナスと損益通算できますので、結果的には課税されないことがあります。

◆「副業」の税金

「店を開けていてもどうにもならない!」ということで、よそに働き口を探して給料をもらっていた場合は注意が必要です。

給料からは税金が天引きされており、給与所得しか収入がないサラリーマンはこの天引きだけで課税は完結します。一方、給与所得以外の所得がある場合には、給与所得と給与所得以外の所得を合算しての確定申告が必要です。

事業所得がマイナスの場合には、そのマイナスを給与所得と損益通算できます。たとえば、事業所得のマイナスが100、給与所得はプラス100であった場合、損益通算すれば課税はされません。この場合、給料から天引きされた税金は確定申告により還付されるのです。

◆マイナスの繰越し(青色申告に限る)

事業所得のマイナスは翌年以降3年間繰り越すことができます。他の所得がある場合は損益通算後のマイナスを繰り越せます(損益通算できない所得もある)。令和2年はマイナスで令和3年がプラスの場合、令和3年のプラスから令和2年のマイナスを差し引くことができます。

◆マイナスの繰戻しによる還付(青色申告に限る)

マイナスは繰り越すのではなく、繰り戻すこともできます。令和2年の事業所得がマイナスで、令和1年の事業所得はプラスであれば、令和1年分として納付した所得税の一定額を還付してもらうことができます。

◆予定納税額の還付

事業所得がマイナスであれば、令和2年分として予定納税した分は、確定申告により還付してもらうことができます(事業所得以外に所得がないとして)。

=========

★確定申告は必ずしましょう!

事業の状況が悪くなると、「確定申告などどうでもいい(どうせ課税されない)」と決めつけがちですが、上記のとおり還付を受けられるケースもあります。また、この先も様々な公的支援が立て続けに実施されることが予想されますが、その公的支援の申込みには「確定申告書の控」が必須です。

確定申告は必ずしてください。(確定申告書は所得ゼロでも税務署は受け付けてくれます。)

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



領収書が発行されない取引

2020-02-07 19:30:00 | 所得税の確定申告
「申告するか、しないか」の踏ん切りがつかない人がいます。税額がある場合は申告しなければなりませんが、ない場合は申告不要です。しかし、この計算に自信が持てないという人がほとんどです。そんな場合には税理士に相談してください。税理士の判断は99%正しいです。

◇◇◇◇◇◇◇

支払いをしても領収書が発行されないことがあります。このような場合には、別の方法で支払いの事実と内容を明らかにしなければなりません。

◆銀行口座振替

支払いが銀行口座振替になっている場合には領収書の発行が省略されることが多いです。「保険料」「リース料」「借入金の返済(利息の支払い)」などがそうです。これらは契約で支払日と支払金額があらかじめ定められているからです。契約書と預金通帳を残しておけばいいです。

◆銀行振込

銀行振込により支払う場合も領収書の発行は省略されることがほとんどです。この場合は、銀行が発行する振込金の「受領書」が領収書の代わりです。

◆自動販売機での購入

自動販売機で飲料などを現金で購入する場合には領収書は発行されません。帳簿に、「何時」「どこで」「いくら」「誰に」と金額を記入しておきます。

◆交通機関の運賃

交通機関の運賃も、券売機で現金により購入する場合には領収書が発行されません。帳簿に、「何時」「どの交通機関で」「いくら」「どこへ行ったか」を記入しておきます。

◆信頼関係があるので・・・

中小零細企業同士では、信頼関係があるので「払った、払っていない」でもめることはないからと、領収書の発行が省略されることがあります。これは、「発行できるのに発行していない」のですからアウトです。税務調査では厳しく指摘されます。至急、領収書を発行してもらってください。

=======

★出金伝票

領収書が発行されない支払に関して、「出金伝票」で代替されることがあります。出金伝票は市販もされています。「支払先」「支払日」「金額」「内容」を記載する「帳票」です。領収書のない支出(預金通帳にも表示されない)については、この出金伝票などに支出があればできるだけ早く記録を残すことです。そうしておかなければ、その支出は埋没して記録には残りません。

★領収書は「経費の証明書」ではない

領収書が発行される本来の目的は「代金の受領記録」を残すためです。領収書は「経費の証明書」ではありませんので、領収書がなくても経費になるのです。領収書があるからといって経費になるわけではないのです。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



領収書を紛失した

2020-02-01 17:00:00 | 所得税の確定申告
初めての確定申告は必ず税務署に相談に行ってください。ネット上の情報には「偶然ばれていない脱税」も混ざっています。「絶対にばれない」はありません。税務署がアウトいえば、それは「必ずばれる(税務署は見つけることができる)」ということなのです。

◇◇◇◇◇◇◇

領収書を紛失してしまうことがあります。紛失といっても、そのパターンや申告数値に与える影響は様々です。

◆領収書がなくても支出金額や内容などはわかる

領収書を紛失していても「日付」「相手先」「支出金額」「購入した商品」などがわかる場合には、その内容で記帳をすることができます。このようなものは少ないですが、「家賃」「給与」「保険料」などがこれです。

預金口座から引き落とされるものについても領収書がなくても大丈夫です(領収書の発行が省略されている場合もあります)。

◆再発行してもらえる

領収書を再発行してもらえる場合も問題はありません。ただし、発行してくれる業者は限られてきます。コンビニや飲食店(特に大手チェーン)は不可能です。大手企業も再発行には応じないでしょう。

領収書というのは、代金の受領と引き換えに代金受領の事実を明らかにするために発行されるものです。ですから、紛失したからといって、税務申告を目的に再発行するものではありません。領収書は「経費の証明書」ではないのです。

◆記帳した後に紛失した

記帳(会計ソフトへの入力)をした後に領収書を紛失することがあります。この場合には、記帳への影響はありませんが税務調査の際に問題となりますので、できる限り再発行をしてもらうことです。

◆どの領収書を紛失したのかかわらない

どの領収書を紛失したのかがわからない、しかも記帳をしていないというのも大変です。残念ですが、「あきらめる」しかありません。記帳をしている過程で、気がついた分について再発行をしてもらうなどして「再現」することです。

◆ネット取引の領収書の保存(保存)を忘れた

ネット取引の領収書の保存や印刷は、つい忘れがちです。「いつでも閲覧できる」という気持ちがあり、そうしているうちに閲覧できる期限を経過してしまうのです。ネット取引の場合には領収書以外にも様々な記録、例えば「取引明細」「注文や出荷のメール」がありますので、これを手がかりに記帳をします。

=======

★領収書さえあれば
領収書さえあれば何でも経費になるわけではありません。

★領収書がなくても
領収書がなくても経費として認められることもあります。しかし、かといって「領収書などどうでもいい」という訳ではありません。

領収書では支払いの事実しか説明できません。経費にするには、「支払いの事実」と「事業に必要であること」を説明しなければなりません。ですから、領収書だけではだめなのです。事業に必要であることが明らかで、領収書の有無にかかわらず支出の事実が認められれば経費になるのです。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



何に使ったか記憶がない領収書

2020-01-29 10:00:00 | 所得税の確定申告
確定申告の手続をするのは税務署という国税に関する役所です。申告後、確定申告した諸数値は税務署から市町村に連絡され、それを基に住民税(地方税)と国民健康保険料が計算されます。要するに税務署でだけ手続をすればいいのです。

納税者がどの税務署で手続をするかは納税者の住所で決まります。管轄以外の税務署では手続ができません。

◇◇◇◇◇◇◇

たとえ領収書があったとしても、それを何に使ったかが明らかでなければ、それを必要経費にすることができません。勘定科目や摘要が決まらないので、仕訳ができず、会計ソフトへの入力もできないからです。

◆事業と関係する業者が発行した領収書

何に使ったかの記憶がなかったとしても、事業に関係する業者が発行した領収書であれば必要経費にすることに問題はありません。領収書には日付と領収金額しか記載されていないことが通常ですので、その領収に関連する請求書や納品書をたどれば何に使ったかが判明します。請求書も納品書もない場合には、その業者に聞けば教えてくれます。

◆事業と私用の両方で購入する業者の領収書

「コンビニ」「スーパー」「ホームセンター」などのレシートはこれです。業者の名称や所在地からして事業用であることが明らかであれば問題はありません。問題は、常に事業でも私用でも購入している業者です。この場合は、レシートに表示された商品名で判断するしかありません。

◆飲食店の領収書

「判定不能!」というケースが多発するのは飲食関係の領収書です。

誰と飲食をしたかが明らかでないまま必要経費として処理すれば、税務調査では間違いなくアウトです。領収書の日付と手帳などの「行動記録」から、誰と飲食したかは相当程度まで明らかになると思います。根気よく調べなければなりません。

=======

★「何に使ったか」を調べるのは税務署の仕事なのでは?

このように考えている人が非常に多いです。とにかく領収書をかき集めて、それを足し算して必要経費として申告し、あとは税務署の判断を仰ぐという考えです。

「何に使った」「誰と飲食をした」が一切明らかにされていない場合には、税務署の心証が相当悪くなります。全部の領収書がアウトにはならなくても、一部をアウトにするとともに、領収書以外の部分(売上など)を相当厳しく調べられます。また数年後、再び税務調査の対象とされてしまいます。

★税理士なら知っているんでしょ?(もったいつけんと、教えろや!)

知っているといえばそうかもしれません。税理士の勘と経験がネットの情報に勝ることもあります。しかし、税理士としては、税務調査でもめるようなことはおすすめできません。あくまでのお客様の自己責任で判断してください。

「税理士に任せてあるので、私は知らない」

税理士にはそこまでの力量も権威もありません。このような状況になれば税理士は退場するしかありません。あとは納税者自身が税務署という国家権力と直接対決するしかありません。そして、最終的には裁判で争います。

★AIが普及すれば判定はもっと厳しくなります

AIが普及すれば確定申告なんて簡単に済ませることができるようになります。しかし、AIは画一的な処理をしますので、「何に使ったか」を入力しなければ受け付けてくれません。また、その入力内容の真偽を判定する能力をAIは備えています。

「下手にAIで」確定申告をするよりも、闇雲に領収書を足し算するほうが経費も増えて税金も減るかもしれません(笑)。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。