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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

預金通帳の紛失と未記帳

2020-01-22 09:00:00 | 所得税の確定申告
令和になって最初の確定申告が始まろうとしています(還付申告はすでに始まっています)。今年は大きな改正事項がありませんので平穏な確定申告になることでしょう。

確定申告をする皆様、インフルエンザには気をつけてスムーズに手続を済ませてください。

◇◇◇◇◇◇◇

いざ、記帳をしようと思ったら預金通帳が見当たらないということがあります。また、長期間記帳をしていないということもあります。

◆通帳の再発行(再発行日からのスタート)

通帳を紛失している場合には再発行をしてもらうしかありません。再発行の手続は金融機関によって異なりますが、ほとんどの場合、本人確認書類が必要で手数料も取られるようです。再発行してもらった預金通帳のスタートは再発行日の残高からですので、紛失した通帳の取引内容は、もうわからないということです。

◆長期間の未記帳(合計表示される)

通帳が未記帳になっている場合には記帳に行かなければなりません。ほとんどの金融機関では、一定期間を経過すると未記帳部分を「合計表示」することになっています。合計表示されるということは、その部分の通帳を紛失したのと同じです。

◆取引明細(通帳と同一内容)の発行

通帳を紛失した、未記帳部分を合計表示された場合には、その部分の明細(通帳の取引と同一内容)を発行してもらう必要があります。この明細については、発行できる期間が制限されていることがありますので注意が必要です。また、発行手数料が必要となることがほとんどです。

◆ネット銀行の場合

ネット銀行の場合には、取引記録をファイル(PDF形式など)でダウンロードしなければなりません。このダウンロードできる期間については制限があることがほとんどですので、こまめにダウンロードしておく必要があります。

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★通帳を再現する

通帳の紛失、未記帳による合計表示で失われてしまった預金の取引記録(取引明細の発行も受けられない)は、あらゆる手段で再現するしかありません。帳簿作成(会計ソフトへの入力)をタイムリーにしていれば問題はありませんが、これも一定期間していない場合には、「売上代金の入金」「仕入代金の振込み」「自動引落し」を手掛かりに通帳の取引を再現するしかありません。

★確定申告をした後に通帳を紛失した

帳簿を作成する前に通帳を紛失するよりも事態は軽いですが、税務調査では預金通帳は必ず調べられますので、取引明細の発行は受けておく必要があります。

★税務署は調査対象者の預金取引を調べることができる

「通帳を紛失してしまったら、もう税務署も調べることはできない」は甘いです。税務署は、金融機関に問い合わせれば、調査対象者の預金取引を調べることができます。銀行預金を通してしまった取引については税務署に隠すことができませんので、預金通帳は厳重に管理し正確な経理処理をしておく必要があるのです。

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平成最後の確定申告

2019-02-19 13:30:00 | 所得税の確定申告
平成になって30回目、平成最後の確定申告が始まりました。

★早く税額が知りたい!

いつの時代も納税者の関心はこれです。しかし、税額はそう簡単には算出できません。

★他人のことが気になる

これも納税者の関心事です。誰かから「こんなに税金が減った!」と聞けば気になるのは当然です。しかし、税に関しては他人の情報を正確に知ることはできないのです。大切なことは自分が納得できるかということです。

★(  )がそう言った!(録音に録画)

これもいつの時代もあることです。しかし、聞き間違いかもしれません。自身に都合のよいように解釈したのかもしれません。もし、(  )が言ったことが間違いであったとしても、それを税務申告に反映するかは納税者自身が判断することです。「録音(録画)してある!」場合も同じです。

★だから誰も信じない!

それはそれで恐ろしいことです。危険です。

★ネットで調べた!(次の時代はAI)

平成ならではの現象です。ネット上には玉石混交の情報が氾濫していますので納税者は右往左往します。次の時代は「AIで!」となりますが、それはそれで戸惑うことでしょう。AIではあまりにも画一的な処理になるからです。「もっと税金を減らしたい!」、そう考える納税者が続出することでしょう。

★電子申告

ネットの普及は行政にも多大な影響を及ぼし、ついに税務申告もネットでできるようになりました。しかし、電子申告は通常のネット取引(ネットショップ、ネット銀行、ネット証券など)とは一線を画しており、一般には馴染みのない「電子証明書」による本人確認を要件としています。この特殊性から、電子申告はあまり普及が進んでいないのが実情です。

★マイナンバー

平成の終わりごろに登場しました。実際の運用には今後解決しなければならない様々な課題がありますが、政府は国民の「あらゆる課税所得」を把握することを目標としています。

★副業

「不動産賃貸」「株式投資」「FX」「仮想通貨」「アフィリエイト」など、副業を行うサラリーマンが急増しました。勤務先からの収入に依存することへの不安感の現れです。副業の確定申告をする納税者が一大勢力を形成するようになり、ネット上の税に関する情報の多くが副業に関するもので占められるようになりました。

★会計ソフト

平成になって会計ソフトは爆発的に普及しました。しかし、会計ソフトは分類と集計のツールにすぎず、ユーザーの経理や税金の知識不足を補ってくれるものではありません。この点を理解していない人が非常に多いです。会計ソフトメーカーも販売に際してこのことを説明していません。

★領収書さえあれば!

いまだに領収書をかき集めれば何もかも経費になると思っている人がいますが、そんなに甘くはありません。税務調査では、「何に使ったのですか?」「誰と食事をしたのですか?」といった具合に徹底的に追及されます。白を切っても無駄です。説明できなければアウトです。

これ、平成時代に何度も見かけた光景と同じですよね。平成という時代はこんなことが許されなくなったのです。次の時代はもっともっと厳しくなります。ましてや、判定はAIがすることになりますので情け容赦ありません。気が付けば預金口座から税金が引き落とされています。

★期限後申告という選択肢

確定申告書は3月15日までに提出しなければなりませんが、この期限を過ぎても「提出しなければならない」ですし、「提出すること」もできます。平成最後の確定申告書の提出が新しい時代になることもあるのです。

★人生経験に照らして判断する

確定申告をする人の大部分はもう立派な大人で相応の人生経験を積んでいると思います。ある経験が未知の出来事に活かせることもありますので、たとえ確定申告が初めてであっても、何らかの経験を基に判断すれば難なく乗り切れると思います。

「どうもあの時と似ている・・・」

「世の中そんなに甘くはない」
「もう少し粘ってみよう」
「歩み寄ることも必要だ」

経験に照らして冷静に判断することです。

★人間はいくつになっても失敗する(魔が差す!)

人生経験があるとはいっても、「煩悩」というやつでしょうか、人間はいくつになっても魔が差して、とんでもない失敗をしてしまいます。平成という時代は、従来の「制度」「価値観」「慣習」などの社会や生活の根底が大きく変化し、それが人々を惑わせ、数多くの社会的地位のある年輩者が判断を誤って大失敗し表舞台から去っていきました。

★第三者の視点が必要です

平成になって重視されるようになったのが「第三者の視点」です。確定申告における当事者は納税者と税務署です。そして、第三者は税理士です。第三者が関わると自身の思い通りにはならないかもしれません。しかし、それが損害の防止につながることもあります。もちろん、思いもよらない利益をもたらすこともあります。

人間関係が希薄で自己責任が求められる社会においては事前対策が必要不可欠です。失敗をしてからでは誰も助けてはくれません。

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【事業所得の計算】記帳方法の改善(続き)

2019-02-06 09:05:00 | 所得税の確定申告
====前回の続き====

◆同じ支出で領収書が2枚ある場合

銀行振込みにより支払った場合の領収書は「振込金受領書」です。しかし、支払先によっては後日改めて「領収書」を発行する場合があります。カード払いも要注意です。カードで買い物した店も、カード会社も領収書を発行します(カード会社は利用明細)。当然、片方でのみ集計しますので、もう片方はあらかじめ除いておく必要があります。いずれも、必要経費が重複して計上される典型です。

◆請求書と領収書

申告期限が迫りあせってくると、請求書と領収書の区別がつきません。支出によっては請求書と領収書の両方があり、誤って両方を必要経費としてしまうことがあります。当然ですが、片方の金額しか必要経費になりません。これも典型的なミスです。

◆未払いと前払い

その年に支払っていない場合でも必要経費になるものもあります。いわるゆ「未払い」です。この分は、領収書の日付が翌年なので集計対象にされていませんから忘れずに集計しなければなりません。なお、この未払い分は翌年の必要経費にはなりません。

その年に支払っていても必要経費にならないものもあります。いわゆる「前払い」です。その分は領収書の日付が申告の年度ですから集計対象にされているので除外しておく必要があります。なお、この前払い分は翌年の必要経費になります。

★複式簿記による記帳が必要

記帳の正確性を人間の「注意力」だけに頼るのは極めて危険です。正確性が確保されている方法、「複式簿記」によらなければなりません。複式簿記であれば、あらゆる取引(記帳の対象である現金などの動き)の漏れや重複を相当なまで発見することができます。

なお、今後、法人成り(個人事業者から会社への変更)を考えている場合は、直ちにこの方法から脱皮しなければなりません。会社の場合はこの方法では税務申告の前提である決算さえできず、無申告状態となって税務署から強烈な申告の督促を受けることになります。そして、「会社から個人事業者に変更したい」、「どこかにいい税理士はいないか(楽な記帳方法を教えてくれる税理士はいないか)」などの泣き言を吐くことになります。

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【事業所得の計算】記帳方法の改善

2019-02-05 15:00:00 | 所得税の確定申告
【事業所得の計算】収入の集計
【事業所得の計算】必要経費の分類と集計
【事業所得の計算】必要経費の分類と集計(続き)

これらの方法は、直感的でわかりやすいかもしれませんが大変不正確な結果しか得られません。記帳方法が分らないから「無申告にしておく」「記帳はしないで推計値により計算する」よりかは「マシ」にすぎません。来年以降は必ず記帳方法を改善しなければなりません。そうでなければ税務調査で大変なことになります。

最大の欠点は、「漏れ」と「重複」が発見できないということです。「慎重にしているので大丈夫」「創業来20年間この方法だけれども、税務署に何もいわれない」とおっしゃるかもしれません。しかし、次のようなケースを考えてください。次から次に問題点が出てきます。

◆請求書を発行しない売上(収入)

小規模企業同士では、信頼関係からよくこのようなことが行われます。「何から売上を集計するのでしょうか?」「税務署は何から売上の漏れを把握するのでしょうか?」、税務署は見逃しません。まさか、税務署は「請求書を発行していないのなら売上に含める必要はありません」とはいわないでしょう。そんなことをいえば、誰も請求書など発行しません。

◆売上(収入)から差し引く値引きや返品

値引きや返品は請求額と入金額との差額によりますが、これを証明するには預金や現金の動きを把握しておかなければなりません。しかし、この方法は「損益のみ(収益と費用のみ)」に着目した方法で、損益の背後で動く預金や現金についてはまったく考慮していません。

◆領収書の紛失

領収書から集計するからには領収書を紛失してしまえばどうにもなりません。また、領収書の紛失を発見することさえできません。

◆領収書が発行されない支出

交通機関の運賃(自動券売機での購入)、慶弔金、自販機での飲料の購入などは領収書が発行されません。また、預金口座からの引落しによる支払いとなっているものの中には領収書の発行が省略されることがあります(リース料や保険料など)。

====続く====

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【事業所得の計算】必要経費の分類と集計(続き)

2019-02-02 11:00:00 | 所得税の確定申告
====前回からの続き====

【7】事業と私生活両方にまたがる支出(事業と私生活部分を区分けする合理的な基準)

このような支出は比較的限られてくると思います。自宅兼事務所の場合の家賃や光熱費がその典型です。該当する支出ごとに、事業と私生活部分を区分けする合理的な基準を考えてみます。たとえば、2階建ての一軒家を借りていて1階を事業用、2階を住居にしている場合には家賃の半分が必要経費となります。

なお、事業と私生活部分を区分けする唯一絶対的な基準はありません。ただし、次の点には注意してください。

・後日の税務調査の際に区分けした方法を説明できること
・あまりにも非現実的でないこと
・自身に都合がよすぎないこと
・事情(事業用と私用用の比率)が変わらない限り今後もその区分けの基準を用いること

以上の方法で事業用部分が計算できればその科目を決定し、上記【6】の科目別集計額の最後に加えてください。

【8】損益計算書への転記(年額で)

【1】から【6】の作業が済めば、損益計算書(青色申告決算書あるいは収支内訳書)の科目別年額への転記ができます。その金額をご覧になって実感がわきますか?多いですか?少ないですか?

【9】月ごとの「推移表」を作成する(必要経費の全科目を概観する)

【6】で必要経費を月ごとに集計した結果を、月ごとの推移表に転記すれば年間の集計に便利であるだけでなく、年間の月ごとの推移を「概観する(傾向を把握する、異常点や間違いを発見する)」のに役立ちます。

推移表の様式は、タテに損益計算書の科目(青色申告決算書P1、収支内訳書P1)を記載し、ヨコに月ごとの数値を記載します。ヨコの一番右には年合計を記載します。

◇◇◇◇会計ソフトを使用する場合◇◇◇◇

会計ソフトを使用すれば集計は会計ソフトがしてくれますので、手計算する場合と比べて相当省力化できます。領収書を手当たり次第、金銭出納帳の出金欄に日付と金額、そして科目を入力すればいいからです。あらかじめ領収書を科目別に分類しておく必要がありません。また、日付順には会計ソフトが並べてくれます。

しかし、会計ソフトを使うには複式簿記の知識が必要ですので、入力はともかくとして、入力結果(総勘定元帳や試算表など)の確認に相当戸惑うと思います。また、修正が必要な場合にも修正方法さえわからないことがあります。

====記帳方法の改善====

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