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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

【令和元年】税務調査が始まる(平成は終っていない!)

2019-04-05 10:00:00 | 税務調査
平成31年3月15日をもって、平成最後の確定申告、平成30年分所得税確定申告書の受付けも終わり、現在、税務署では申告書の検算や内容を検討している最中です。(まだ、申告書を提出していない人は3月15日を過ぎても提出しなければなりません!)

確定申告の時期、分厚いコートを着た人やマスクをした人であふれかえっていた税務署も今では閑散としています。季節は春となり、新しい元号が「令和」と発表され、世間では新しい時代の夢を描くとともに、目前に迫った10連休に胸を弾ませています。しかし、税金の世界ではまだまだ「平成」は終わっていません。

◆まずは事業所得の税務調査から

これから続々と個人事業者に対して税務調査の通知が行われます。税務署の人事異動は6月末ですので、税務署としてはできる限りそれまでに税務調査を行って、決着をつけておきたいのです。ほかにも仕事はいっぱいありますから。

◆税務署による資料収集(無申告者を探す)

税務署は提出された申告書だけを検討するのではなく、様々な方法で情報収集をして、申告すべき人が申告すべき額を申告しているかを検討しています。これには今しばらく時間を要しますので、無申告者への連絡は夏以降ということになります。

◆税金を納めましたか?

申告はしたけれども税金を納めていない人がいます。所得税は申告期限である3月15日までに納めなければなりませんので、納めていない場合にはそろそろ税務署から連絡があります。振替納税にしている場合には4月22日に預金口座から引き落とされますので、残高が不足しないようにしておかなければなりません。

◆住民税と国民健康保険料

令和元年(1年)の住民税は、確定申告をした平成30年の所得に基づいて計算されます。また、自営業者などが加入する国民健康保険の保険料もそうです。

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税の世界というのは「後ろ向き」です。それは「令和」になっても同じです。前を向いていたければ(後ろを気にせずにいたいのなら)、今必要な事務処理や手続を「迅速」「正確」「適法」に行うことです。

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税務調査と在庫(在庫を少なく計算すれば税金が減る)

2018-06-21 10:30:00 | 税務調査
★在庫と売上原価の関係

ここでの在庫とは「期末在庫」の「計算」のことです。「適正在庫」とか「品揃え」とか、営業方針や経営戦略における在庫ではありません。

売上原価の計算は次のとおり行います。

「期首在庫+当期仕入-期末在庫」

期首在庫と当期仕入はすでに計算されていますので(期首在庫は前期末在庫として前期に計算している)、期末在庫の計算をすることによって売上原価は確定します。

期末在庫金額は次のようにして計算します。

「商品ごと」の期末数量×「商品ごと」の仕入単価=「商品ごと」の期末在庫金額

これを「全商品」について合計しなければなりません。

仕入単価の計算方法は「先入先出法」「移動平均法」「総平均法」「最終仕入原価法」などがありますが、多くの中小零細企業は最終仕入原価法で計算しています。

★在庫を少なく計算すれば利益が減る(税金も減る)

売上原価の計算式からすれば、期末在庫が少なくなるように計算すれば売上原価が増え、利益が減ることが理解できます。

少しでも期末在庫が少なくなるように計算しようとする納税者の心理を、当然税務署は心得ています。また、その手法についても熟知しています。

★在庫の意図的な除外

「期末の在庫数量なんて税務署にわかるはずないじゃないですか(笑)。どうせ過去の話なんだから」は甘いです。

年度末が3月31日で、納品書や請求書の納品日が3月31日の仕入であれば、その分が年度末の在庫に含まれていないのは不自然です。さらに、売上計上記録にその商品がなければ、もう、在庫から除外したということは「決定!」です。

★在庫の過小評価

在庫の数量は正確でも、数量に乗じる仕入単価が過少であれば在庫は過少に計算されることになります。仕入単価の計算方法は「先入先出法」「移動平均法」「総平均法」「最終仕入原価法」などがありますが、この計算を間違っていることがあります(不正な計算をしている場合もあります)。

★在庫明細(実地棚卸の記録)

期末在庫の計算をするためには、「実地棚卸」という作業を欠かすことができません。実地棚卸とは、事業年度末に、店舗や倉庫にある在庫を「実際に数える」という作業です。そして、この数えた記録を「在庫明細」として保存しておかなければなりません。帳簿から在庫の数量を計算できる場合でも、帳簿と実際の数量の一致を確かめるために実地棚卸はしなければなりません。

税務調査では、この在庫明細の提示を必ず求められますので、すみやかに提示できるようにしておく必要があります。

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税務調査と買掛金・未払金(計上額の推移、長期間の未払い)

2018-06-19 15:00:00 | 税務調査
これで「税務調査ネタ」の7連続投稿です。本当は税務調査ネタなど書きたくはありません。特に、「読者に恐怖心を抱かせる」「税務署の内情を誇大に暴露する」といった類のネタは嫌です。でも、税務調査ネタはアクセス数が多いので書くしかありません(笑)。

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買掛金(仕入)と未払金(経費)は税務調査の重点的調査項目であるといえるでしょう。

「支払ってもいないのに費用が増やせる(利益が減って税金が減る)」
「ということは請求書を・・・」

買掛金と未払金を打ち出の小槌のように計上して、ほくそ笑んでいる納税者がいることを税務署は知っています。

しかし、そんなことはさせないのが彼らの仕事なのです。

◆買掛金と未払金が増え続けている

買掛金や未払金は事業年度末には支払っていないかもしれませんが、翌事業年度以降には必ず支払わなければなりません。ですから、事業内容、規模、支払条件などが一定していれば、毎事業年度末の買掛金や未払金もそんなには変動しないはずです。増え続けるなんてことはありえません。

「どの相手先の買掛金と未払金が増え続けているのだろう(減っていないのだろう)」

税務署は調べます。

「やはりここか(笑)!」

税務署は、買掛金や未払金を過大計上(架空計上)していることの裏を取ってから税務調査に臨む場合もあります。税務調査はその確認作業にすぎないこともあるのです。

◆早期計上も見逃さない

「翌年度に支払っていることは確かなんだから」といって、注文、場合によっては見積もりの段階で買掛金や未払金を早期計上することがあります。

納品やサービス提供が事業年度中に終了していなければ、その事業年度に買掛金や未払金は計上できません。税務署はこの点を納品書、請求書などで入念にチェックします。

◆相手先との結託

相手先と結託すれば、正当な請求がありそれに対する支払いであるように装うことができます。立場の弱い相手先であれば不正に協力せざるを得ない場合があり、長期にわたって買掛金や未払金の過大(架空)計上を続けることもあります。しかし、相手先もいずれは限界に達し税務署に本当のことを喋ってしまうのです。

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税務調査と売掛金(計上額の推移、値引きと貸倒れ)

2018-06-13 10:00:00 | 税務調査
売掛金は税務調査では必ずといってよいほど調べられます。

「入金がないのに売上に含めて(利益を増やして)税金を払わなければならない」
「入金がないのだから(売上に含めなくても)税務署も気づかないだろう」

このような納税者の「心情」や「心理」を税務署は熟知しています。だから、売掛金を重点的に調査するのです。

◆売掛金計上額の推移

税務署は売掛金計上額の推移を見ています。第11期末100万円、第12期末105万円、第13期末30万円で、各期の売上がいずれも2000万円だったとすれば、第13期末の売掛金が少なすぎる(売上を過少に計上している)のでは?」と考えます。

税務署が売掛金(売上)の計上漏れを発見する第一の手法は、請求書控と売掛金計上記録(総勘定元帳や売掛帳など)との照合作業です。調査対象の事業年度中の日付で請求書が発行されているのに、「どうして売掛金として計上されていないのですか?」と迫ってきます。

仕入(売上原価)との関係も調べられます。年度中にAという商品を仕入れ(仕入計上記録あり)、Bという得意先に納品しているのにBに対しての売掛金が計上されていないのはおかしいです。

調査対象年度の翌年度の預金通帳も調べられます。特に、年度終了月の翌月の通帳です。翌月中旬頃までの入金は、通常は前年度の売掛金(前年度に販売やサービス提供が済んでいる)と考えられます。この入金と上記の納品や仕入の記録を照合すれば、売掛金(売上)の計上漏れが判明します。

◆値引きと貸倒れ

「値引き」とは計上した売掛金(請求した代金)が、軽微な不良、若干の納期遅れ、不快な接客などを理由により得意先から減額を要求されることです。「貸倒れ」とは得意先の倒産などを理由として売掛金が回収不能になることです。

値引きも、貸倒れも、売掛金(売上)を減額できるのは当然です。

「本当に値引き?貸倒れなの?」
「本当は回収しているんだろ(笑)?」

しかし、税務署はこう考えるのです!それが、彼らの仕事なんですよ!

銀行預金に振り込まれた分をこんな扱いにすることはできません。そこで、現金回収した分を値引きや貸倒れにするのです。

「でも、どうやって税務署は調べるの?」

事業外の預金通帳(家族名義など)、得意先への反面調査、税務署独自の調査網などで十分な裏を取っているから、あんな喧嘩を売るようなことを平気でいってくるのです。

実際には回収できている売掛金を、値引きや貸倒れとして費用処理した場合には、その費用処理は取り消されます。会社の場合には、さらに代表者の給料として扱われ(代表者が回収した売掛金を受け取っているので)、その給料から所得税を源泉徴収しなければなりません。

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税務調査と住宅購入(事業と私生活との整合性)

2018-06-11 19:00:00 | 税務調査
【ご注意】以下の説明は「会社あるいは個人事業者」が税務調査を受ける場合についての説明です。

「住宅を購入したので税務調査だな・・・」

これを気にする事業者(会社経営者と個人事業者)が非常に多いです。

住宅を購入できるということは、そのための資金を保有している、あるいはローンを返済できるだけの収入があるということです。資金や収入は税金と関連してきます。そこで税務署は、住宅を購入した人の納税状況と購入額に「不自然さ」がある場合には調査に乗り出すのです。

◆事業以外に資金源がない

事業以外に資金源がない場合には、住宅購入額やローン返済額と事業から得ている私生活のための資金の整合性を容易に確かめることができます。会社の場合には「役員報酬」、個人事業者の場合には「事業所得」と照らし合わせればいいからです。

例えば、「会社設立前の貯蓄1000万円は全額会社に出資」、「会社設立3年」、「設立後3年間の役員報酬は年額600万円」、「家族は専業主婦の妻と小学生の子供2名」、という人がいたとします。

会社設立3年目に5000万円の住宅を全額現金払いで購入するのは明らかにおかしいです。

「会社に帰属させるべき利益を除外して申告している」、「役員報酬以外の名目で会社から資金を引き出している」と疑われます。

◆事業以外に資金源がある場合

事業以外の資金源とは、過去からの貯蓄、相続や贈与による財産の取得、事業外での資産運用(株式投資や不動産の賃貸収入)などです。これらがある場合には、役員報酬や事業所得からだけでは住宅取得資金の資金源は説明できません。役員報酬や事業所得からすれば「分不相応」な住宅も購入することができます。

【参考】税務署の組織

この件については、税務署の組織体制を理解しておけば「余計な恐怖心」を抱く必要がなくなります。また、いずれは「当てが外れる安心感」を抱くこともありません。

税務署の組織は大まかに次のように分かれています。

個人課税部門・・・個人事業者の所得税
法人課税部門・・・法人(主に会社)の法人税
資産課税部門・・・相続税・贈与税と個人の資産(不動産や株式など)譲渡に関する所得税

事業の税務調査を行うのは、個人課税部門と法人課税部門です。ただし、これらの三つの部門は相互に連携している模様ですので、他部門の管轄が対処すべき課税漏れにつながる事実を発見した場合には連絡はされます。ですから、事業に関する調査を受けている段階で「相続税・贈与税」、「資産譲渡に関する所得税」の指摘は受けることはなくても、後日、資産課税部門から連絡が来ることがあります。

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