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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務調査と現金(現金をたくさん持っていると・・・)

2018-06-07 10:00:00 | 税務調査
【ご注意】以下の説明は「会社あるいは個人事業者」が税務調査を受ける場合についての説明です。個人の相続税の税務調査は事情が異なってきます。

現金(ここでは硬貨と紙幣だけでなく預金も含めます)をたくさん持っていると、「税務調査の対象に選定されやすい」、「税務調査が厳しくなる」と考えている人がいます。

◆保有する現金が申告数値からして正常な額であれば問題はない

事業に対する課税は、会社の場合は「収益-費用」で計算される「利益」に対して法人税が、個人事業者の場合には「収入-必要経費」で計算される「事業所得」に対して所得税が課税されます。会社の利益にせよ、個人事業者の事業所得にせよ、現金の出入りと結果としての現金保有額と関連します。つまり、会社や個人事業者が保有する現金は利益や事業所得の額と連動しているということです。

会社が保有する現金は、法人税の申告書に添付する決算書から税務署に知られます。個人事業者は青色申告で貸借対照表を作成している場合を除いて、申告資料からは判明しませんが、税務調査で帳簿や通帳を調べれば保有する現金が判明します。この現金が申告数値や申告資料からして正常な額であれば(申告数値や申告資料と矛盾していなければ)疑われることはありません。ですから、「現金が多いので、もっと税金を払わされるのでは」と考える必要はないのです。

◆利益や事業所得が少ないのに保有する現金が多いこともある

利益や事業所得が少ないのに保有する現金が多いということもあります。その典型が借入金です。借入をした直後は資金があるかもしれませんが徐々に減っていきます。苦しい(利益や事業所得が少ない)から借りるわけですから当然です。こうであれば税務署も疑いません。

事業用資産を換金した、例えば、ほとんど使用していない自動車を、損してあるいはトントンで売って買い替えをしていない場合です。これも、苦しいからこのような選択をすることがほとんどです。

◆申告資料や帳簿に表れていない現金(脱税の疑いあり!)

疑われるのは、申告資料や帳簿に表れていない現金、つまり、本来ならば利益や事業所得の計算に連動しているはずの「隠された現金」です。「硬貨や紙幣を隠し持つ」、「預金口座を会社や事業主以外の名義にする」、「海外に送金する」などして表面化しないようにしている現金です。これを利益や事業所得の計算に含めれば法人税や所得税は申告した数値よりも増えます。

テレビドラマや映画に登場する脱税の証拠が暴かれるシーンでの現金がこれです。人々はこれに震撼します。

このようなことをしていなければ、現金の保有額については一切気にする必要がありません。ご安心ください!

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税務調査と給与台帳(不自然な給与)

2018-06-05 17:00:00 | 税務調査
給与は税務調査での重点的調査項目です。

◆給与に関連した不正な税額計算が後を絶たない!

○給与を支給している者は本当に勤務しているのか
○給与は本人に支払われているのか

これを調べられます。ここまで疑われます。

勤務していない者に対して給与を支払ったことにすれば、利益を抑えて法人税を減らすことができます。その支払った現金はいわゆる「裏金」です。代表者や有力取引先などが私腹を肥やすのです。

給与は、給与台帳さえ作成しておけば支払うことができるので不正に利用されやすいのです。

◆源泉徴収

給与からは所得税を源泉徴収しなければなりませんが、この源泉徴収というのが正確にできていないことが多々あります。

間違いが多いのは非常勤役員、パートとアルバイトの源泉徴収です。副業として働いている者については、「月額88,000円に満たなければ源泉徴収は不要」というルールが当てはまりません。いわゆる「乙欄」を適用して月額88,000円未満の給料であっても3.063%を乗じた額を源泉徴収しなければなりません。

◆給与台帳から「不自然」な者を抽出

給与台帳とは個人別の給料と賞与の記録です。給料と賞与の支給ごとに支給額と控除項目(所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料など)を記録します。

調査官はこの給与台帳から「不自然」な人員を抽出します。不自然ということの「基準」は様々でしょうが、「会社の規模からして役員が多すぎる」、「社長と同じ姓があまりにも多い」、「高齢あるいは若すぎる(中高生とか)」、「住所が会社から遠い」などです。

給与の支払い記録も調べられます。基本は銀行振込であるのに、現金払いになっている場合は疑われます。現金払いの場合は、本人に手渡されていないことがあるからです。

そして、最終的には本人への確認がされます。

「父は5年前、母は2年前に亡くなりました」
「お中元とお歳暮はもらっています」
「私は年金だけで生活しています」
「僕の高校はアルバイト禁止です」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「私は受け取っていません」
「名前を使わせてくれといわれました」
「そんな会社は知りません」

このようにいわれてしまえばおしまいです。まさに、「人の口に戸は立てられぬ」です。

◆「架空給与」の課税(ほとんどの場合は社長の給与と扱われる)

以上のようにして架空給与が発見された場合には、それを実際に受け取っている者に対する所得とされます。ほとんどの場合は社長が受け取っていますので(社長が受け取ったと考えるしかないので)、社長の給与にされます。

そして、税額は次のように計算されます。

【注意】下記の数値は説明をわかりやすくするための数値であり、実際の税率等に当てはめた数値ではありません。

社長の当初の給与・・・年額600万円(源泉徴収税額50万円)
6名分の架空給与・・・6名分の年額合計600万円(源泉徴収税額ゼロ)

社長の再計算後の給与・・・年額1200万円(源泉徴収税額100万円)

再計算後の源泉徴収税額100万円と当初の50万円の差額50万円を追加で納めなければなりません。さらに、架空給与は損金不算入とされますので、600万円に対する法人税も納めなければなりません(損金算入が認められるケースもあります)。

これを何年も続けていた場合には、その年数分を納めなければなりません。

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税務調査と預金通帳(出入りの内容が通帳に表示されない取引に注意)

2018-05-31 12:35:00 | 税務調査
預金通帳は偽造や改ざんができません。廃棄や紛失をしても再発行が可能です。ですから、税務調査において預金の出入りや残高は「揺るがない事実」となるのです。揺るがない事実であるがゆえに、「知りません・・・」とはいわせてもらえません。預金の個々の出入りに関しては、確実に説明ができるようにしておかなければなりません。

◆預金通帳に出入りの内容が表示される場合

金融機関によって表示の方法は異なりますが、出入りの「分類」、例えば振込、送金、電話、保険料などと「相手先」が表示されます。

この表示から取引が判明する場合には、その事実に応じた処理をしなければなりません。例えば、得意先からの入金であるならば、「売上」あるいは「売掛金」とするしかありません。

◆内容が表示されない入金

窓口やATMで預け入れをした場合には、どのようなことで預け入れたかが表示されません。集金してきた売上代金なのか、手許現金の預け入れなのか、全く見当がつきません。そこで、その内容を帳簿(出納帳や総勘定元帳)で明らかにしておく必要があるのです。「A社(得意先)からの売上代金」、「手許現金の預け入れ」といった具合です。

◆内容が表示されない出金

窓口やATMで引き出した場合も、どのような内容の引き出しであったかが通帳には表示されません。

引き出しについては、いくつかの目的で引き出していることもあるので、帳簿(出納帳や総勘定元帳)への記載は詳細で正確にしなければなりません。「給料・・・円、仕入代金・・・円、手許現金の補充・・・円」といった具合です。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

通帳に記録が残ってしまったならば、「何らかの処理」をするしかありません。そこで、出入りの内容がはっきりしないまま、「苦し紛れ」に次のような処理をする場合があります。

★仮受金と仮払金の多発(問題の先送り)
仮の入金と仮の出金です。「仮」とは「原因は調査中」ということです。

★とりあえず売掛金と買掛金(推定による処理)
この入金は「売掛金だろう」、この出金は「買掛金だろう」という推定です。

★社長借入金と社長貸付金
仮受金と仮払金よりは「マシ」なので、この勘定科目を多発することがあります。

○不透明な入金は収益の計上漏れ

○不透明な出金は誰かに対する所得(受け取った者に所得税を課税する)

調査官はこのように考えます。これが調査の鉄則です。

★★★会計事務所に「丸投げ」をしている場合は注意が必要です!

「預金通帳と領収書(抜けがあり、しかも私生活のものも混入している)を会計事務所に渡して、帳簿の作成から決算までを依頼する」、いわゆる「丸投げ」をしている場合には、上記のような不透明な入出金が多数生じることがあります。

初めての税務調査で思いもよらないことが判明し、結果として多額の追徴をされ、愕然とする人もいます。ご注意ください!

運悪く不本意な結果になったとしても、めげずに、腐らずに頑張ってください。初めての税務調査での屈辱をバネに、以後は正確な帳簿を作成するようになった人もたくさんいます。

なお、依頼していた会計事務所が丸投げを「推奨」していたのであれば、会計事務所を変更してください。

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税務調査と領収書(スムーズに提示できるように保存しておく)

2018-05-31 12:30:00 | 税務調査
税務調査では必ず領収書を調べられます。税務調査の対象期間が3年とすれば領収書の分量も相当なものになります。調査官は全ての領収書を確認するのではなく、ピックアップした支出に関する領収書の提示を求めます。その領収書がスムーズに提示できるかが調査の進行状況を大きく左右します。

◆帳簿から特定の支出をピックアップ(領収書は日付順に保存しておく)

調査官は帳簿から特定の支出をピックアップして、その支出についての領収書の提示を求めます。領収書によって、支出の事実(相手先、金額、内容など)を確認するのです。帳簿には日付が記載されていますので、領収書を帳簿の日付順に保存しておけばスムーズに探すことができます。

◆領収書と請求書(相互に関連付けて保存しておく)

領収書と請求書はセットになっていますので、請求書と領収書がある支出については、両者を関連付けて(相互にたどれるように)保存しておく必要があります。

請求書には請求内容と金額が記載されており、領収書は受領金額を記載しています。このように領収書では代金受領の事実しか確認できませんので、支出の内容を確認するためには請求書が必要となります(領収書のみで支出の内容を確認することができる場合もあります)。

◆銀行振込と領収書

銀行振込の場合には金融機関が発行する「振込金受領書」が領収書の代わりになります。いわゆる「総合振込」の場合には、複数の振込先の受領書がまとめて発行されます。金融機関の窓口やATMで振込む場合には受領書が発行されますが、ネットで振込む場合には発行されませんので「振込完了画面」を印刷しておかなければなりません。

◆クレジットカードと領収書

クレジットカードで支払いをした場合には、その場で「店の領収書」と「クレジットカードの利用控」が、クレジットカードの決済日が近づくと「クレジットカードの利用明細(期間中に利用した記録)」が発行されます。いずれも、出金額や出金日を明らかにするために必要ですので保存しておかなければなりません。

◆領収書が発行されない支出

次のような場合には領収書の発行が行われませんので、領収書に代わるものを入手あるいは作成し保存しておかなければなりません。

〇交通機関の運賃
利用者と交通経路を記載した記録(現金出納帳、旅費明細、出金伝票など)を残しておきます。ただし、電子マネーで支払った場合には利用明細などを残すことができます。

〇販売機での購入(ジュースなど)
いつ、どこで、誰がという記録(現金出納帳、出金伝票など)を残しておきます。ただし、電子マネーで支払った場合には利用明細などを残すことができます。

〇香典や祝金
案内状やお礼状を残しておきます。

〇預金口座振替で領収書の発行が省略されているもの(保険料、リース料など)
通帳は当然として、毎月の振替金額を取り決めたときの契約書を残しておきます。

◆領収書の入手を忘れた、紛失した場合

至急発行してもらってください。相手先が拒む場合があります。そのときは帳簿に出金内容を明瞭に記載し、領収書に代わる書類(請求書、納品書、注文書など)を残しておくしかありません。

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★領収書があれば経費になる?

領収書が税務調査において重要なものであることは確かです。しかし、領収書は、闇雲に集めて、無造作に保存しておけばよいというものではないのです。大切なことは、「出金の事実や内容を証明するものは何か?」ということです。また、出金の事実や内容が明らかでも、「出金の目的」が説明できなければどうにもなりません。

「領収書があれば経費になる」という考えは大変危険です。

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申告していないことが税務署にばれた(個人の場合)

2018-04-06 15:01:00 | 税務調査
平成29年分の確定申告も終わり、現在税務署では「提出された申告書の内容は正しいのか」、「申告しなければならない者が申告書を提出しているか」を検討する作業が懸命に行われている最中です。

以下は個人(事業主および一般個人)が、申告する義務があるのに申告していなかった場合の話です。申告をしたけれども税額が不足していた場合とは違います。

◆個人事業者が申告をしていなかった場合(数年分まとめて指摘される)

【ご注意】下記では所得税について説明しております。消費税の申告をしていなかった場合には、下記では説明されていないような手続が必要となります。

○どうしてばれたのか?
原因は様々です。店舗やサイトの存在、税務署に集まってきたデータ、密告などが考えられます。収入というのはそれを「支払う相手」がいるわけですから、その相手と支払ったことを「隠すという約束」をしていない限りは必ずどこかでばれてしまいます。また、約束していても「裏切り」はあります。

○なぜ、もっと早く指摘しなかったのか?
税務署が申告漏れであることの確証を得るのに相応の歳月を要するからです。また、税務署の事務処理上、数年分まとめて指摘するほうが効率的であるからです(毎年指摘するのは件数からして不可能)。

○税務調査が行われる
個人事業者が申告をしていなかった場合には税務調査が行われ、申告に関する諸数値(収入や必要経費など)を明らかにされ、その数値で申告するように指示されます。

○無申告加算税と延滞税(申告していなかったことのペナルティ)
申告をしていなかった場合、本来の税額に加えて「無申告加算税と延滞税」というペナルティを納めなければなりません。「申告していなかったこと」と「納付が遅れたこと」に対してのペナルティです。

○途中から申告している場合
たとえば、開業5年で4年目以降から申告している場合、1年目から3年目の分を申告しなければなりません。ただし、このような場合も税務調査は1年目から5年目について行われますので、すでに申告している4・5年目に不足税額がある場合には「修正申告」をしなければなりません。

○課税されない年度の扱い
課税されない年度については申告の必要はありません。

【不動産賃貸収入を申告していない場合】
上記と同じような手順になりますが、賃貸物件の件数が少なく収入も少額な場合には、税務調査ではなく電話や書面の指摘のみで、後は自主的な申告で済む場合もあります(呼び出される場合はあります)。

◆一般個人が申告をしていなかった場合

○よくある事例
サラリーマンの副業(給与その他)、不動産譲渡、満期保険金の受取りなどがあります。

○どうしてばれたのか?
税務署に集まってきたデータ、密告などが考えられます。

○収入を得た翌年にばれることが多い
一般個人の申告漏れは、収入を得た翌年にばれてしまうことが多いです。平成29年分(申告書は平成30年3月15日までに提出)の申告をしていない場合、平成30年の秋ごろまでにはばれます。税務署は平成30年の夏ごろまでに、平成29年分の課税データの大部分は収集を終えますので、誰が何を申告していないかを把握できるのです。

○税務署に呼び出される
一般個人で税務調査が行われるのは、多額で複雑な案件に限られます。ほとんどの場合、電話あるいは書面で税務署から呼び出され、その場で申告書を作成し提出して終わりです。「貴方は・・・について申告漏れをしていますので、・・月・・日に関係資料と印鑑を持参のうえ来署して申告書を作成し提出してください」といった具合です。

○無申告加算税と延滞税(申告していなかったことのペナルティ)
必要であるのに申告をしていなかった場合、本来の税額に加えて「無申告加算税と延滞税」というペナルティを納めなければなりません。「申告していなかったこと」と「納付が遅れたこと」に対してのペナルティです。

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