大学病院は日曜日でお休みなのだが、救急指定の総合病院なので救急外来用の入り口は開いている。
紹介状を持っているとはいえ、CTとか、MRIとかのアタシには縁のない精密機械で検査をするのだから、休日ということを合わせても相当時間がかかるのは推測がつく。
ママは遠方から遊びに来た「ゆいちゃん」と、水着に着替えて準備万端の「ひいちゃん」
を気遣ってか、『終わるまで時間がかかるから、水遊びをしておいで』と言う。
アタシも「ふうちゃん」のことが心配であったが、吐いた時よりは落ち着いているようだったし、アタシが病院の中でウロウロしていても病状に変化があるわけではないので、ママの勧める通りにすることにした。
幸いにしてその大学病院と水遊びの出来る科学ランドは幹線道路1本直進、所要時間5分というアクセスの良い関係にあった。
しかしながら、ママ抜きでママの友達親子とアタシと「ひいちゃん」親子で遊びに行くというのは何とも不思議な感覚だ。
どこか楽しいような、どこか気恥ずかしいような、どこかいけないことをしているような……。
昔、彼女とその娘の3人でプールに行った記憶が甦る。誰かに会ったら何て紹介すればいいのか考えてしまう設定である。
「ゆいちゃん」はまだ一人っ子だけど、4月から保育園に通っているせいか、子供に対しても大人に対しても人見知りをしないので、楽しく遊んでいる。
アルミさんに聞けば『今まで他の場所では水を嫌がって入らなかった』とのことだが、そんな気配を感じさせずにビショ濡れになって楽しそうである。
「ひいちゃん」もいつも通りにはしゃいでいたのだが、どことなく浮かない顔をしているのは、ママがいないからではなく、妹「ふうちゃん」のことが心配なのだろう。
でも、お姉ちゃんは賢くて、すべての状況を把握している。「ふうちゃん」にはママがついているから、大丈夫なのだということを。
1時間近く遊んで、アイスを食べながら休んでいると、ママから電話があった。
『脳には異常が無い』って。
これでようやく一安心。
みんなでママと「ふうちゃん」を迎えに行く。
「ふうちゃん」はCTが怖くて泣いたせいなのか、眠ってしまっていた。
(つづく)
でも楽しかったですよね