中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

ヒラマサの完全フカセ釣り 「太ハリスのススメ」

2018-04-07 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
さまざまな事情があって久し振りの更新だが、シーズンインした今後はいつものペースで更新していこうと思っている。


 若狭湾周辺ではヒラマサも釣れ出しているので、今回はその釣行準備の話として、このブログでは何度も触れてきた「ヒラマサ釣りでの、太ハリスについて」を改めて書いてみようと思う。

■なぜ必要なのか■

 実は、昨年の、完全フカセ釣りでの釣行では自身で「意地でもハリスを落とさない運動」を繰り広げていて、春の白石グリでは8号のみを使用し、玄達瀬では12号、秋の鷹巣沖では10号のみを全日にわたって使用していた。(全て全長6mの2本バリ)
 ボクの場合、ほとんどが乗合船での釣行になるので、さまざまな考えを持った釣り人たちと一緒に一日を過ごすのだが、上記のような「周囲よりも一回り太い仕掛」を使用していたにもかかわらず、そのほとんどにおいて「釣果に差が出た事は無かった」と言うか、「釣り負けたことは無かった」のだ。

 こう書くと、「青物は要らない、マダイが欲しいから…」と言う人も居るのかもしれないが、マダイばかりが釣れている状況でも同じだった。
 差がつかない理由は、このブログでもよく記している「要はタナとり」という事で、それを細かにやり続けた結果だと思う。慣れない内はそれが難しいため、ついハリスのせいにしたくなるのも解る。だが、神経質さでは釣りの対象魚中、一番とボクが思うグレであっても、細ハリスで狙うのは、相手にこちらの姿が見えて警戒していたり、水温低下で活性が下がって、ついばむように喰う状況に陥った場合がほとんど。そういう繊細な釣りとは対極にある沖釣りにおいては1号や2号の差はほとんどないとボクは思うのだが…。

 話をヒラマサに戻すが、まずは以前にも紹介した、youtube内での映像
https://www.youtube.com/watch?v=YICGDeYdzmo
を見て欲しい。
 この映像は、海中のヒラマサの動きを捉えた物なのだが、これに写るヒラマサは単独行動の個体のようだ。他の映像で確認してもそうだが、良型のヒラマサは単体もしくは少数のグループでしか瀬に付かない事が理解できる。(このあたりが同じ青物のブリ族の性質と大きく違うところだ。)
 すなわちこれは、もしヒラマサをバラしたら、「後が続かない」ということに繋がる。特に、青物全般に、「一匹がハリに掛かると周りの魚がそれと同調しながら付いてきて、バラすと一緒に退散する」という性質があるから、数匹居ても結果は同じで、潮況が向上する等、逃げたヒラマサたちの活性が回復するまで次の1本は見込めない。

 また、この映像では1分28秒頃からの動きに注目して欲しいが、違和感を感じたヒラマサは岩礁帯の海溝部めがけて全力で垂直降下を開始する。こんな走りをしている相手に対して、細めのハリスをいたわろうとドラグを滑らせて道糸を出せば、瀬の肩にハリスが触れて根ズレを起こして万事休すとなる。逆を言えば良型クラス以上のヒラマサの垂直降下に対抗するには、ある程度強引なやり取りをしなければならず、そのための太ハリスが必要になるのだ。因みに同じ青物でもブリ族は海溝に潜らず、岩礁の上を通過していくので「ブリクラスを細めのハリスで獲った経験」は、ほとんど役に立たないという事を付け加えておく。

 他の釣法に目を向けると、メーター級のヒラマサを岩礁地帯で狙う場合、ルア-系の釣りではハリス部分にあたるリーダーが80ポンド(号数で言えば20号ほど)以上を使用するようだし、エサ釣りであっても山口県萩沖の浮き流しでは14号前後、千葉県外房沖のカモシ釣りでは10~16号のハリスを使用しているようだ。
 オキアミエサを船上から撒き、ハリに刺して狙う完全フカセ釣りでは「マキエサの流れる層近くに仕掛けを入れて流し込む」のが基本スタイルのため、あまりに太い道糸では仕掛けがその抵抗でマキエサと違った、とんでもない方向に流れてゆく可能性がある。従って、それとのバランスから、ハリスはある程度=道糸より2号上がり程度までしか太く出来ない。従って、完全フカセ釣りでは太目と言われる8~10号のハリスであっても、他の釣りスタイルからは見れば、「かなり負け気味の細ハリス」である事を頭に入れておかなくてはならず、ましてやマダイと共用で6号なんてのはトンデモナイ話なのだ。


■条件による違い■

 同じヒラマサであっても、時期や地形によってパワー感がかなり違う。
 5月の連休ごろまでは適水温ではなく、腹に抱えた白子や卵が大きくなり始める頃なので、本来のパワーが発揮できる時期ではない。近畿の日本海側では、この時期に狙う本命場所が京都府経ヶ岬沖の白石グリになる。ここは他地区に比べて海底の根回りが複雑ではないため、最初の走りを食い止めて船下へ誘導してしまえば、比較的獲り易い。それでもボク自身、ここで数本バラしており、その失敗談を語ると、「オマツリ等、何らかのトラブルが原因で、最初の走りの際にもたついて根ズレを起こした」や、「最後の数mに差し掛かり、それまでのやり取りの中で恐らくハリのミミの裏側へ回ってしまったハリスがスパッと切れたこと」等だが、中間でやられた記憶は無い。
 初夏から2ヶ月間解禁する玄達瀬でも初期は産卵&放精期であり、後期はそのアフターであるが、適水温期に入っている事と他地区とはケタ違いの、1m30cm級の回遊がある事、更には、ここの海底にはヒラマサが逃げ込む目標となる、根や海溝がいたるところにあり、そこに向かって猛ダッシュをかけるから船下の水深分を切る頃、いや、もっと言えば玉網に収まるまで一息もつけない状況が続く。ここでの失敗談は、「アタリが出た瞬間に仕掛の一切に加えて、10号の道糸10数m分が無くなっていた事」や、「数m巻いただけ」、「最初は凌げたが、中間で猛ダッシュをかけられ」、「船下の水深分を一度は切ったが、そこで猛ダッシュをかけられ」等々…数えればきりが無いほどだ。
 晩夏からの鷹巣沖では産卵&放精期から完全に体力を回復している事、水温が適水温期である事とを合わせて年間で最大のパワーを発揮する。ここの海底部はそんなに複雑ではなく、むしろフラットな地形のところどころに障害物が点在するといったポイントも多いため、取り込み易いように思えるが、食う場所は障害物周りであることに違いないし、中間距離の少々離れた位置にある障害物であってもフルパワーをかけて走り込む事も多い。ここでの失敗談は「そんな障害物周りへ猛ダッシュをかけられ、止める事ができなかった末の根ズレ」がほとんどだ。

 そしてこれは各地共通の話だが、速い潮流の中で掛かったヒラマサは、潜ろうとする力に対して流れに押される力が作用してベクトルの方向を変えてしまうらしく、掛けてから船下まで電動リールの巻上げに対して素直についてくる事が多い。しかし、そうであっても船下の水深分を切るあたりで豹変する事が多いので注意が必要だ。また、逆に緩い潮流の中で掛かったヒラマサは初めから思うがままに走るので、こちらとしては初めから覚悟してかかる必要がある。
 つまりはその日の状況に対しての対処が必要になり、更に言えば、仮に速い流れの中で細めのハリスで獲れた経験があったとしても、潮の緩い日にそれが通用するとは限らないのだ。



 ここまで読んできて、細ハリスの危険性を理解してもらえたと思いたいが、まだ未練のある方に次の話をしよう。
 タイムリーな事に、舞鶴地区でお世話になっている船の一つであり、ヒラマサメインで出船している大海丸さんの釣果欄に「仕掛けが、ハリス6号、ビックリですワ!。」とあり、「オキアミふかせの場合、ハリスは、最低8号。下手な方は、もっと太いハリスで、やって下さい。」との記述があった。シーズンに入ると毎日のように攻めている船長が言うのだから、間違いのない話なのだ。
 人それぞれに経験や腕前は違うからバラシは仕方の無い事だとは理解しているし、ボク自身も未熟なため実際にそれをやらかしてしまう。しかし、対策や準備を怠ってそのリスクを高めたのであれば話は別で、「そんな人がバラした結果、同船者全員の遭遇チャンスが激減するのは、迷惑な話」と、最後に記しておく。

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