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詩と物語を紡ぎます

シャボン玉を飛ばすひと

2017-09-02 22:30:00 | monologue


『オリンピックがやってきた 1964年北国の家族の物語』
堀川アサコ 著
角川書店
 

最近『昭和』を懐かしむ企画は多い。

その九十九パーセントは、『徒ら』だ。

それは、昭和の本質を無視した、『手前勝手』な懐古趣味の手慰み、に思われてならない。

二十年の悪夢、と、二十年の奇跡、と、二十年の迷路。そして、新たな悪夢の始まり。それが、わたしが親世代から受け取った昭和のイメージだった。

堀川アサコさんは、この物語で二十年の奇跡の頂点、東京オリンピック、というクライマックスを背景に、東京から遠く離れた、青森のある町、の家族の群像を描いている。

その町の原型は、わたしが幼少期に暮らした町だ。

悪夢から覚め、誰もが必死に生きて、やがてそれはひとつの奇跡を産んだ、時代。だが、決して『浮足立たない』歩みの中にあった、庶民の、生きた証。

人間は悪いこともすれば、良いこともする。人間は短所があり、長所がある。人間は冷たく、でも温かい。

だから、人間は愛おしき存在なのだよ、と語りかけてくる、堀川さんの声が聞こえてくるような、読後感を得た。

『毎日は、シャボン玉みたいに、あぶくみたいなことが起こっては消えてゆく。
オリンピックの開会式でさえ、そんな感じだった。
そしてずっとずっと先には、リラも民子も居なくなるころには、この懐かしい町も、すっかり変わってしまうのだろう。』

そう、すっかり変わってしまった、『壊滅的』に。

けれど、わたしは諦めてはいない。
夢はシャボン玉のように儚い。けれどわたしは、子どもたちとシャボン玉を飛ばすひとで、ありたい、のだ。


2017/09/02
23:30 pm

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
朝どら「ひよっこ」もそうですね (夢見)
2017-09-03 10:00:15
昭和の時代

読んだ言葉は忘れることも多いけれど ドラマで耳で覚えた言葉ってドラマの場面ごと覚えていたりします

聞き覚えだから成長してからこういう漢字を使う言葉だったのかと思ったりしますが
子供の頃 東北は朝ドラや昼の帯ドラなどで知りました
北海道や東北の言葉

ぐんぐん昭和も遠くなっていくけれど
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Re:朝どら「ひよっこ」もそうですね (つかさ)
2017-09-03 15:43:28
夢見さま、こんにちは。
朝ドラは見ていなくて(^^ゞ、慌ててググッていたりします……(*o☆)\バキッ!(笑)

わたしらも、東京や大阪の言葉をテレビで覚えたものです。

昭和に懐かしさも覚えます。が、徒に「あの頃は良かった」と言うのはちょっと違うのでは?と思ったりするのです。

久しぶりに感想文を書いてみましたが、一夜明けて見直すとひどく拙くて、熱出しそうです(^o^;
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シャボン玉 (なぎさ)
2017-09-03 17:14:17
私も、シャボン玉飛ばしたい
子供の頃の夢を入れて、
もう一つは、大人になってからの夢を入れて
青空いっぱいに飛ばしたい!
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Re:シャボン玉 (つかさ)
2017-09-04 00:26:30
なぎささま、こんばんは(^o^)。

シャボン玉、子どもらといっしょに、飛ばしましょう。
夢は力づくでは、ありません。
そっと吹けば、自ずと膨らんで、わたしたちを導くと。
わたしは信じています。
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