私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

台湾駐日前代表 許世楷氏が受けた国民党の「仕打ち」:週刊朝日

2008年07月06日 | 台湾
『週刊朝日』の7月11日号が尖閣沖の騒動の件を取り上げていたので買ってみたのですが、「評論家の宮崎正弘氏がリポートする──」という件を見て立ち読みにしておけばよかったと。まぁ、許世楷TECRO前駐日代表の発言部分だけ「電子スクラップ」しておきますか・・・・

 (『週刊朝日』7月11日号)

「士可殺不可辱(志士はたとえ殺されても、辱めは受けない)」。ああ、あの言葉ですか。わりと台湾では使われている言葉です。私が使ったことで、また台湾では流行しているようですが。(発言の趣旨は)人間の尊厳を守ることが基本的に大事。人に対して威張るのも、はいつくばるのも良くない。台湾人にはまだ卑屈なところが残っているのが心配です」
許世楷・TECRO駐日前代表の「召還」は、KMT馬政権内の対日強硬派への生贄(記事)以外の何物でもありませんでした。森元首相ら要人と折衝を重ね、事態の沈静化に奔走していた最中の許世楷氏を、あのような形で「召還」する外交手段自体下の下策(乗客や乗員が真っ先に解放されたのは許氏の働きかけによるものだったでしょう)でしたし、73歳の〝老外交官〟に暴力を振るう立法委員の存在もまったく寒心に耐えない光景でした。
岩手、宮城両県知事を相次いで訪ね、震災へのお見舞いの言葉と義援金を届けられた(時事)のが事実上の最後の公務だったのでしょう(有難うございます!)が、着任以来この4年間、両国関係の発展に尽力し、多大な貢献をされた許世楷氏には心から感謝申しあげたいですね。 
「私自身は、魚釣台(尖閣諸島のこと)は台湾領だと思う。でも、中国に対しては主権の問題を棚上げにしておきながら、日本には主権を主張するというのはいかがなものか。いちばん困っているのは昔からそこで漁をしてきた台湾の漁民たちで、まず彼らの安全と生活を守ることが大事。北方領土の問題と同じように、領土問題と経済問題を切り離し、漁業協定を策定するなど『実務的解決』が大切ではないですか」
訪台した玉沢徳一郎議員が王金平立法院長や陳肇敏国防部長とそれぞれ会談し、「領有権問題を棚上げとして尖閣周辺での漁業権問題を先行解決するとの基本認識で一致した」(産経)矢先に、「海洋調査船が領海進入」(産経)という事件が起きたのは誠に遺憾。「海洋調査船」といえば、中国が沖ノ鳥島海域で軍事目的と思われる調査を行った件(記事)を思い出しますが、北京に倣った台北側の動きだとすると、この手の領海侵入が繰り返される確率はかなり高いと思われます。(よりによって「両岸直行便」が就航したその日にねぇ・・・・)日本側が硬化するのは必至で、残念ながら許世楷氏が望む『実務的解決』への道程はさらに遠のいたという見方をせざるを得ないですね。
「私は若い時から台湾の民主化、自由化を追求してきた。駐日代表としての4年間も、台湾の、国際社会での生存をいかに強化すべきかを考えてきた。その私に『売国奴』と言う。誹謗中傷する議員に、その言葉はそのままお返しすると言いました。台日米は民主、自由の価値観で一致しており、一党独裁の中国とは違う。もし台湾が中国に併呑されたら、どうなるのか。台日関係を強化しようと努力する人間が『台奸』なら、中国と往来している人間はどう呼ぶのか」

昨日福岡に立ち寄られた金美齢さんも、「陳政権の8年間を通じて、徹頭徹尾成果を挙げたのが駐日代表の人事だった」と仰っていましたが、かような許世楷氏の無念さは察して余るものがあります。
台北市長時代の陳前総統は尖閣に関してかなり過激だったようですが、DPP陳政権は尖閣の領有権を強硬に主張することはありませんでした。呂秀蓮前副総統も「太平洋を東に向かうのが台湾の国益」と述べていましたが、海洋国家基軸=日米(安保)との連携重視であったが故に、それを毀損するような動きを忌避したということでしょう。その意味で、尖閣を巡る騒動はKMT馬政権がランドパワー志向へと逆に舵を切ったことを思わせる象徴的な場面でもありました。「中華民族の連携」を重視する立場からすれば、<親日台獨派>としての許世楷氏やDPP政権の一部始終が気に入らないのでしょう。 是々非々ではなく、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と前政権や王朝を徹頭徹尾否定する姿勢には、半島・大陸系の腐敗臭が漂います・・・・

「国民党が変わったかどうかは、まだわからない。侮辱されたのは本意ではないが、私たちが独立運動をしていた時代のように、何か言ったらパスポートを取り上げられたり、逮捕されたりすることはない。いまの台湾には言論の自由がある。何を言われようと、言論には言論で闘える戦場がある。いつも前進とはいかないが、間違いなく台湾は良い方向に進んでいる」
国民党が変わったかどうか──<消滅萬惡共匪>を掲げていたのが、今日ではその「北平偽匪」の親玉・胡錦濤主席の写真を党本部に掲げる(レコードチャイナ)位ですから間違いなく変わったのではないでしょうか?(さすがにこれは引かんか?>台湾地区住民)もっとも、KMTの<光復大陸>の方針は不変でしょうから、ほとぼりが醒めた頃に「国家統一委員会」が再開されるかもしれませんね・・・・



許世楷氏の身内は確か議会設置運動のカドで日本の官憲に逮捕・投獄経験があり、留学時代の許氏にとっても、蒋政権と結託して台獨(民主化)運動に従事する留学生の強制送還に協力していた日本政府は敵だったはずです。そういう氏の経緯を思えば、「一人の親日家が不本意な形で帰国をすることになった」(週刊朝日)といった単純な一言で括れるわけはなく、日本に対しては愛憎半ばする複雑な感情を抱いているのではないでしょうかね・・・・
記事中では、駐日代表退任後は故郷の台中に戻られる旨記されていましたが、それは正式に決定した事項なのでしょうか?(やしきたかじんの番組にでも出ていただければ、と個人的には思いますが・・・・)何れにせよ、許世楷氏の今後のご健勝をお祈りしたいと思います。辛苦了!

   


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2 コメント

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まさにお疲れさま (edaats)
2008-07-06 21:46:35
直接お会いしたことがまったくないのですが、奥様とはお電話でお話をする機会がありお二人の仲睦ましい雰囲気と奥様の素敵なお声を聞きうっとりしたことがあります。
役割を十分果たされたと思います。
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確かに・・・・ (tsubamerailstar)
2008-07-14 19:53:30
>edaats様

許氏は台中に戻られたようですね。まぁ、日本亡命生活も長かったでしょうから故郷で学術研究とかをやられるのかも。

落ち着いたらまた遊びにいらして欲しいですね!
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