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Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

縦書きの算用数字

2022-12-04 22:40:20 | つぶやき

 『伊那路』(上伊那郷土研究会)は縦書き文章の雑誌である。世間に流通している雑誌も、いまだ縦書きのものが多いという印象であるが、わたしたちが通常書き記す場合は横書きが多い。『伊那路』が縦書きでありながら数字を算用数字で表記する違和感を覚えたのは、わたしが投稿した原稿の初校が帰ってきた時だった。正確に記憶していないが、平成29年ころだったと思う。当たり前に縦書きなら漢数字というイメージだったから「なぜ」と思ったわけである。印刷屋さんにそのことを言うと、算用数字で統一しているというような答えであった。あらためて当時発行されていた『伊那路』を開いて見ると、確かに算用数字なのである。年号を2017年と表記する場合、縦に2017と一字ずつ全角で表記している。その際言われたのは「新聞に合わせている」という言葉だった。確かに新聞を見てみると、同じ表記だったのである。研究誌や同人誌といったものがほとんど漢数字で表記しているなか、とても違和感があって、「民俗の世界ではこのような表記はしておらず、漢数字にしてもらえないか」と要望したところ、わたしの原稿だけは漢数字で表記してくれたのだ。とはいえ、同じ雑誌内なのに表記がばらついているのも「どうか」と思うのも事実で、以来ずっと違和感を抱いているわけである。

 民俗でいう「二月八日」を「2月8日」と縦書き表記されると、とても違和感がある。割り切れば良いところだが、とはいえ行事の名称には数字が付されることは多く、それらをみな算用数字で表記されると印象はだいぶ違う。まさか「十日夜」を「10日夜」は無いだろう。ようはそれらを漢数字で表記すると混在してしまって読みづらい、と思うわけだ。

 さて、『伊那路』に今回投稿しわうとしている原稿は民俗とは違う分野のもの。原稿は漢数字で書いたが、筆者の要望で漢数字でよいものか、と悩んでいる。そもそも『伊那路』が算用数字を使用するようになったのはいつなのか。過去にさかのぼってみると平成24年の秋ごろからというところだろうか。同年の10月号は通巻669号にあたる。偶然にもそれは「民俗特集号」である。この中で西暦年号は算用数字で縦書きで前述のように記している。そして和暦は例えば「享保二十年(1735)」と表記していて、混在している。同年の12月号(通巻671号)では和暦も算用数字にされていて、このあたりが算用数字に変化した境界域と捉えられる。

 ほかの郷土史雑誌はどうかとみてみると、同じように算用数字を採用しているものに『伊那』(伊那史学会)がある。こちらは算用数字を使用するようになったのは最近のようで、例えば今年の8月号(通巻1131号)を見てみると、執筆者によって表記がばらばらであり、とはいえ算用数字の方が多くなっている。またその表記にも疑問がわくが、例えば「平成21年(2009)」は、平成は当たり前に縦書きで2字、次の21は縦に「21」を一字で表し「年」はそのまま、いけないのは「2009」は右向きにさせて半角で縦に並べてある。過渡期といって良いのかどうか、執筆者ごと表記がばらばらの上に、西暦を横向きにして表記するというなんとも不可解な表し方となっている。

 さて、新聞が算用数字を利用しているから週刊誌もそうかと思うと、そうでもい。というか混在している。あまり気にしていないのか、それともそこまで統一できないのか、あるいは筆者の希望通りなのか、気にはならないかもしれないが、あらためて見てみるとばらつきに気がつくわけだ。こうした状況を鑑みると、筆者の希望で良いのかもしれない、と思えてきた。

 

参考に

 ちなみに文化審議会国語分科会の「新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)」には、縦書きは「漢数字」とある。


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