元妻は境界性パーソナリティ障害だったのだろうか

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(33)心理学-1 動物行動学が示すもの

2011年01月19日 | 心理学
~ローレンツ博士とガンの実験~

Konrad Lorenz Experiment with Geese


『ローレンツ博士とガン』(私訳)

コンラート・ローレンツ(Konrad Lorenz)1903~1989年

コンラート・ローレンツ 動物行動学者 オーストリア人
卵がふ化したあと、ガンのヒナ鳥は母鳥を『後追い行動(attachment behavior)
すると発表した。

実験方法は至って簡単である。
ハイイロガンの母鳥が抱く卵を
二つのグループに分けた。

一方は、母鳥が抱き卵をふ化させた。
ふ化したヒナは、すぐ母鳥の周りを動き回った。

もう一方は、ふ卵器でふ化させた。
ふ化した時母鳥がいなかったため、ヒナは博士の後追いを始めた。

一度、両方のヒナ鳥を母鳥と博士から切り離し、
同じ箱に入れた。

箱を出たヒナは、再び母鳥ないし博士を追うようになった。
ヒナは、ふ化して初めて目にした対象に信頼をおくことが分かった。

これと似たような実験をする研究者は他にもいたが、
インプリンティング(脳への刻印)』を最初に発表したのは、ローレンツ博士であった。

インプリンティング反応は、
カモ、ガンその他の鳥にみられるもので、
ふ化後12~17時間の間に起こることが、
その後の研究で明らかになる。 ※1

このような実験から、脳と行動の発達において
刻印可能な期間(critical periods)があると考えられる。

ローレンツ博士の研究成果は、
成人後の社会的行動は、幼少期の体験で形成される
ことを示す、先駆的な実験となった。


訳注
※1 ふ化直後すぐには、インプリンティングできない。ふ化後1時間たってからインプリンティングが可能になり、ふ化後12~17時間の間が最も反応しやすくなる。ふ化後32時間を経過すると、ほぼインプリンティング不可能になる。また、一度脳にインプリンティングした対象を、消去したり、取り換えることはできないと言われる。 
simplypsychology.org Lorenz's Imprinting Theoryより引用

アタッチメント(attachment)
日本語では『愛着』と訳されてきましたが、いま一つしっくりした訳語ではないため『アタッチメント』とカタカナで表記されることが増えているようです。アタッチメントは、養育者と子どもの間に見られる『体の密着』『後追い行動』『心理的に密接な関わり』『信頼関係』などの意味です。以前、アタッチメントは『母』と子の関係に限るといわれたことがありましたが、現在は母親に限らず、父親、養父養母、祖父祖母その他の関係でも健全なアタッチメントは形成されるといわれています。


~ハロー博士とサルの実験~

Harlow's Monkeys


※動画の音声通りの翻訳ではありません。要約や説明の付け足しをしています。

『愛情の獲得 conquest』

ハリー・ハロー(Harry Harlow)
心理学博士 アメリカ アイオア州出身 1905~1981年

人間の母子間の心理的関わりを調べることを目的として、ハロー博士は、霊長類の中からアカゲザルを選び実験をおこなった。子ザルの成長には、母子間の心理的関わりが重要であることを唱えた。

母ザルから離された子ザルは生気を失い、一日中、檻の床に敷かれた柔らかいマットの上で寝て過ごす。洗濯をするためマットを取り上げると、子ザルは激しく抵抗する。

人間の親密な母子間に芽ばえる『愛』を科学的手法で調べるため、ハロー博士はアカゲザルを使い実験をした。こうした実験をする研究者は少なく、博士はこの分野の先駆者である。(残酷な実験だとの批判もあります)

幼児期の体験は成長してから同じ体験をするのと違い、子どもにより強い影響を与える。幼児期の母子関係は重要で、この時期の母子関係を『初期社会関係(earliest social environment)』と呼び、生涯にわたる社会行動に大きな影響を及ぼす。(母子間に限ったことではなく、現在は、父親、養父養母、祖父祖母その他の養育者との間でも、重要な関係作りができるといわれています)


母親代わりとなる人形

人形は親ザルと同じくらいの大きさで、頭部はロボットのような顔つきをしている。針金で作られたゴツゴツした人形と、柔らかい布を巻いて仕上げた二種類の人形が作られた。

生まれて6~12時間のうちに、母ザルと赤ん坊を引き離す。檻には、針金の人形と布の人形の両方を設置し、針金の方にだけ哺乳瓶を組み込みミルクを飲めるようにした。空腹時、子ザルは針金の人形からミルクを飲むが、一日のほとんどは布の人形に抱きついて過ごす。


恐怖を与える

次に、ハロー博士は子ザルをビックリさせ、恐怖を感じた時の行動を調べる。ビックリロボットを見て驚いた子ザルは、布の人形に抱きつく(安全基地化)。布製の人形は子ザルの恐怖心軽減に効果がある。恐怖に襲われた子ザルは、ミルクを与える人形ではなく、愛着を感じる人形を選び抱きついた。子ザルを変えて同じ実験をしたところ、全て同じ結果になった。

恐怖心が軽減されると、子ザルはロボットに興味を示すようになる(探索行動)。

母ザルから引き離され、かつ針金の人形も、布の人形もない環境で育てられた子ザルについての実験。子ザルが恐怖を感じる状況を作る。檻の中に布の人形があっても、それに抱きつくことがなく、座ったままゆらゆらと前後に体を揺らし続けたり、じっと身を縮め身動きしなくなった。こうした子ザルは、突然、場違いな激しい怒りを表すこともある。これは、他人の愛情を感じることなく幼児期を過ごした場合、より大きなダメージがあることを示すもので、人間も同じであろうと博士は考える。

実験結果から、幼児期、良好な母子の関係は、子どもが健康的に成長するのに欠かせないことが分かる。また、母子関係が特に重要な期間というものが存在すると考えられる。この重要な時期に、もし、養育者が適切に幼児と関わることができなかったり、養育に相応しい母親のような存在がいなかった場合、成人後、他者との健全な関わりを持つことが困難になるか、場合によっては全くできなくなるであろう。


交尾不成立

隔離飼育されたメスザルと、母ザルの元で育ったオスザルとを引き合わせた場合、オスはメスに近づき交尾を求めるが、メスは交尾を拒んだ。

次に、隔離飼育されたオスザルと、母ザルの元で育ったメスザルとを引き合わせた場合、オスはメスに近寄り発情している様子を示すが、2匹が交尾に至ることはなかった。


育児行動の異常

母ザルから離され、かつ母代りの人形も与えられない、孤独な環境で育ったメスザルが出産した場合、子ザルに無関心であったり、虐待する行動が見られた。育児に無関心なメスザルは、赤ん坊の世話、愛情表現、保護するといった行動が見られなかった。但し暴力的行動はない。

一方、暴力的な母ザルは、噛みつくなどの攻撃を続け赤ん坊を殺した。


こうしたことは、現代の人間社会を映し出しているように思えます。

ハロー博士の実験は、多くのサルの精神を壊し、異常死ももたらしたため、動物への虐待であるとの批判もあります。


引用した英語のサイト
simplypsychology.org Harlow's Monkeys (1958)
PDF資料 TOTAL SOCIAL ISOLATION IN MONKEYS
Muskingum College Harry F. Harlow 




わたし(神)はあなたに尋ねる、わたしに答えよ。

あなたは岩間のやぎが
子を産むときを知っているか。
あなたは雌じかが子を産むのを見たことがあるか。
これらの妊娠の月を数えることができるか。
これらが産む時を知っているか。
これらは身をかがめて子を産み、
そのはらみ子を産みいだす。
その子は強くなって、野に育ち、
出て行って、その親のもとに帰らない。
ヨブ記 38:3 、39:1~4 口語訳






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