やっぱりモダニズムが好き!

1920-1960年代のモダン建築を中心に写真をアップ

久米権九郎の建築あれこれ

2007-08-25 19:16:07 | 久米権九郎
久米権九郎の戦前の作品は、以前書いた三井のクラブハウスをはじめ、10数点しかない。その中で、クラブハウスと同じ1936年に出来た新舞子水族館の写真を、東京大学農学部のHPの中に見つけた。
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/history/gallery5.html

当時としては、東洋一を誇る帝国大学付属水族館だったという。四枚の絵葉書が、いい味を出している。現在この場所は公園になっているようだ。

戦後の作品では、今も現役なのが、横浜大桟橋の付け根にあるパイロットビルだ。薄緑色が当初からのものかどうかは確認をしていないが、さりげなくモダンなビルである。


横浜パイロットビル1953年。






海側には、水先案内の船が停まっている


また、岡山には、地元の人に愛されている『岡ビル市場』がある。1951年に誕生した岡ビル百貨店は、1階が店舗で、2・3・4階が店舗で働く人たちの住居という職住一体型の商業施設だと、下記HPに詳細がある。
http://www.okabiru-ichiba.com/history/index.html

アドバルーンの写真を見ると、ここもモダンなつくりである事が分かる。

ピース(切片)保存

2007-06-16 18:57:17 | 久米権九郎
三井不動産の機関誌「こんにちは」4月号に三井浜田山グラウンド跡地プロジェクトの話題が載っている。つい最近まで、ここには久米権九郎によるかっこいいクラブハウスが建っていた。このクラブハウスをどうするかの命題に、三井の出した答えは、クラブハウスの特徴的なアール部分をペラッと切り取って、新しいコミュニティ施設にペタッと貼り付けるという。これで70年の記憶を重ねたことにするらしい。建築を学んできた者が、今きちんとした保存をしないのなら、これから建築を学ぶ者にとっての生きた教材はなくなってしまう。



緑の芝生に白いモダニズムが映える


1936年竣工。久米権九郎設計。非常階段は80年代改修時のもの


このアール部分をピース(切片)保存するという。階段室の嵌め殺し窓


●クラブハウス関連文献
国際建築1936年11月号
建築知識1936年12月号
「三井の建築家」三友新聞社
「素顔の大建築家たち02」建築資料研究社