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ネットオヤジのぼやき録

ボクシングとクラシック音楽を中心に

ウズベクが誇る王者候補(メダリスト,オリンピアン)らが大集結 - アフマダリエフ VS 岩佐 直前プレビュー -

2021年04月03日 | Preview

<1>4月3日/ヒューモ(フーモ,フモ)・アリーナ・スポーツコンプレックス,タシケント(ウズベキスタン)/WBAインターナショナルS・ライト級タイトルマッチ10回戦
王者/WBA6位 シャクラム・ギヤソフ(ウズベキスタン) VS パトリシオ・ロペス・モレノ(メキシコ)

リオ五輪のウェルター級で見事銀メダルに輝いたシャクラム(シャフラム)・ギヤソフは、中肉中背の体型と髭をたくわえた風貌だけでなく、構えた姿と好戦的なファイトスタイルが、往年の”石の拳”ロベルト・デュランを彷彿とさせる期待の中量級。

運動量も豊富で手数も良く出て、連打を続けなければならないキツい場面でも、相手を簡単に休ませない。詰めに入った後、様子を伺いながらセットアップし直す手間を惜しまず、しつこく繰り返す波状攻撃にも、在りし日の”石の拳”の姿が思い浮かぶ。

ローやキドニー,後頭部もかまわず殴りつける、ご本家さながらの”荒ぶるプロのイン・ファイト”まで身に付けてと願うのは、それこそ哀しいマニアの性であり、無いものねだりの最たるものとわかってはいるのだが・・・。

プロ入りに際してS・ライトまで絞ったのは、サイズの不利を考慮しての事だろうが、今1つパンチに体重が乗り切らない恨み(現代のアマに特有かつ共通する欠点)との印象も有り。

遥々メキシコから呼ばれたアンダードッグは、上背とリーチに恵まれたサウスポーで、戦績もなかなかに立派。直近の敗北は、2019年10月に敵地ウクライナでデニス・ベリンチェク(2012年ロンドン五輪L・ウェルター級銀メダリスト)に喫した12回判定負け。

けっしてパワーヒッターではないが、頑丈なベリンチェクとのハードな白兵戦を耐え抜いたメンタル&フィジカル・タフネスは侮れない。もはや賭けとは呼べないまでにかけ離れたオッズ通り、序盤で倒し切れたら大したものだが・・・。


□主要ブックメイカーのオッズ
<1>Bovada
ギヤソフ:-5000(1.02倍)
モレノ:+1400(15倍)

<2>5dimes
ギヤソフ:-4000(1.025倍)
モレノ:+1600(17倍)

<3>SportBet
ギヤソフ:-3640(約1.03倍)
モレノ:+1960(20.6倍)

<4>ウィリアム・ヒル
ギヤソフ:1/66(約1.02倍)
モレノ:12/1(13倍)
ドロー:33/1(34倍)

<5>Sky Sports
ギヤソフ:1/66(約1.02倍)
モレノ:12/1(13倍)
ドロー:33/1(34倍)


※身長差はご覧の通り・・・


◎ギヤソフ(27歳)/前日計量:139.5ポンド
戦績:10戦全勝(8KO)
アマ通算:158勝26敗
2016年リオ五輪銀メダル
2017年世界選手権(ハンブルク)金メダル
2017年アジア選手権(タシケント)金メダル
※階級:ウェルター級
身長:170センチ
右ボクサーファイター

◎ロペス・モレノ(26歳)/前日計量:139.3ポンド
戦績:32戦28勝(20KO)4敗
身体データ:不明
左ボクサーファイター


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<2>ウェルター級10回戦
イズライル・マドリモフ(ウズベキスタン) VS エマニー・カロンボ(コンゴ)

やはり東京五輪の有力なメダル候補だったマドリモフも、アマに見切りをつけて(?)2018年に渡米。コルニコフの手引きでカリフォルニアに拠点を置き、既に6戦を終えている。折からの武漢ウィルス蔓延の煽りを受け、思わぬ格好で早過ぎる凱旋興行(?)という次第。

上背には恵まれていないが、ガードを楽に構えたセミクラウチングの上体を良く動かし、自在な左右のスイッチも交えながら、じわじわと相手を追い込んで行くプレッシャータイプのボクサーファイター。

序盤からしつこく狙い続ける決定機を逃さず、上下左右のコンビネーションをまとめる手際は、うるさい在米マニアからも一応の評価を獲得。左右どちらでも倒すことができる万能型で、当て勘とボクシング・センスも申し分がない。

課題はどうしても4ラウンド以降のスタミナ&集中力の維持(ペース配分)ということになるが、これはいずれ時間が解決してくれるとは言え、14連続KO勝ちのコンゴ人は、入って来る相手を迎え撃つのが上手く、独特のゆったりしたペースに、マドリモフは余り付き合い過ぎないことが得策。

適度に打ち合いに応じつつ、突然スピードアップしたステップでポジションを変えると同時に、大きなフックをガードの外側から打ち込んだり、ボディへのフェイントから左フックをアッパー気味に顔面へ持って行くなど、それ相応に芸が細かい。


直前のオッズは圧倒的な差でマドリモフだが、落ち着いたカロンボのペースに合わせ過ぎて、中盤までにし止め切ることができず、いたずらにラウンドが長引くと、集中が途切れ易くなる悪弊がどう影響するのか。

ここまでの相手は力量の差が有り過ぎたのも確かで、マドリモフの地金が試されるところまでカロンボが行ければ、十二分に面白い展開にはなるけれど・・・。


□主要ブックメイカーのオッズ
<1>Bovada
マドリモフ:-1200(約1.08倍)
カロンボ:+700(8倍)

<2>5dimes
マドリモフ:-1175(約1.09倍)
カロンボ:+560(6.6倍)

<3>SportBet
マドリモフ:-1096(約1.09倍)
カロンボ:+729(8.29倍)

<4>ウィリアム・ヒル
マドリモフ:1/10(1.1倍)
カロンボ:6/1(7倍)
ドロー:20/1(21倍)

<5>Sky Sports
マドリモフ:1/10(1.1倍)
カロンボ:11/2(6.5倍)
ドロー:25/1(26倍)


※こちらもまた身長差が半端ない

◎マドリモフ(26歳)/前日計量:153.4ポンド
戦績:6戦全勝(5KO)
アマ通算:330勝15~20敗
2017年世界選手権(ハンブルク)ベスト8
2018年アジアン・ゲームズ(ジャカルタ)金メダル
2017年アジア選手権(タシケント)金メダル
2016年国内選手権優勝
※ミドル級
2014年アジアン・ゲームズ(仁川/韓国)銀メダル
2013年アジアユース(U-19)選手権(キエフ/ウクライナ)銀メダル
2011年ジュニア(U-17)世界選手権(アスタナ/カザフスタン)銀メダル
2014年国内選手権2位
2013年国内選手権優勝
※ウェルター級
身長,リーチとも174センチ
右ボクサーファイター

◎カロンボ(28歳)/前日計量:153.6ポンド
戦績:14戦全勝(14KO)
アマ戦績:6戦全勝(6KO・RSC)
身長:182センチ


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<3>WBAインターナショナル L・フライ級タイトルマッチ10回戦
ハサンボイ・ドゥスマトフ(ウズベキスタン) VS ムシン・キゾタ(タンザニア)



最軽量級でアマの頂点に立ったウズベクのスター候補が、僅かプロ3戦目で、中南米のボクシング伝統国ベネズエラの現役世界ランカーを迎えて自身初の10回戦に臨む・・・筈だったのだが、WBAミニマム級13位のアレクシス・ディアス(ベネズエラ)は、武漢ウィルスの陽性反応が出たらしく、急遽タンザニアの若きフライ級に緊急招集がかかった。
※一応押さえとして用意していたのだろう。

2016年のリオ五輪に出場したドゥスマトフは、メキシコのホセリート・ベラスケス(パン・アメリカン・ゲームズで2度優勝/五輪終了後にプロ転向:12勝9KO1NC)、2013年の世界選手権を制したカザフの強豪ブリザン・ジャキポフ、米国軽量級期待の星ニコ・ヘルナンデス(2017年にプロに転じて7連勝中/4KO)、コロンビアの大ベテラン,ユベルヘン・マルティネスを連破。

2000年シドニー大会のムハンマド・アブドゥラエフ(L・ウェルター級)以来、2つ目の金メダル(ボクシングでは)をウズベクにもたらしたのみならず、五輪ボクシング競技のMVPに当たるヴァル・バーカー・トロフィーを受賞し、年末にはAIBAのボクサー・オブ・ジ・イヤーにも選出されるなど、文字通り栄光の日々を過ごした。


※ムハンマド・アブドゥラエフ


※アブドゥラエフ(左)とドゥスマトフの記念切手


この時点でドゥスマトフは23歳。プロ入りするには最適最良のタイミングであり、事実リオデジャネイロで金メダルを射止めてから僅か6日後の8月20日、南アフリカの有力プロモーター,ロドニー・バーマン(ゴールデン・グローブス・プロモーションズ/Golden Gloves Promotions)が、「ドゥスマトフと複数年の契約を結んだ」と発表。

年末には南アフリカ国内でプロ・デビューを済ませて、翌2017年には3試合を計画中だと、鼻息も荒く語るバーマンだったが、その気になれば米英の大手プロモーションの傘下に入れるだろうに、「なんでわざわざ南アフリカ?」と多くのファン,関係者が驚く。

幸いにも(?)、この話はバーマンの一方的な片思いだったらしく、ドゥスマトフはそのままアマに留まり(ウズベクのアマ関係者が強力なプロテクトに動いた可能性も考えられる)、2017年は地元開催のアジア選手権で2大会連続の優勝を果たすと、ドイツのハンブルクで行われた世界選手権にも出場。

決勝でキューバのヨアニス・アルギラゴス(世界選手権2連覇/リオ五輪銅メダル)に2-3で惜敗し、五輪に続くアマの完全制覇こそ成らなかったものの、緒戦敗退の屈辱にまみれた2015年ドーハ大会の汚名を返上。

さらに2018年には地元開催のアジア選手権を制して、こちらは2大会連続の覇者となり、ロサンゼルスに拠点を持つ新進気鋭のロシア人マネージャー,ヴァディム・コルニコフと、同じくロシアの有力プロモーター,アンドレイ・リャビンスキーの下で、遂にプロへの本格参戦を決めた。


※L・ヘビー級の寵児ドミトリー・ビヴォル(左)とヴァディム・コルニコフ


※アンドレイ・リャビンスキー(左)とドン・キング(右)


2019年11月16日に組まれた初陣は、オスカー・デラ・ホーヤ率いるゴールデン・ボーイ・プロモーションズの興行で、何とメキシコ国内の闘牛場(グァナファト州/メキシコシティの北西)に設営された特設リング。

S・ライト級でWBCの暫定王座に一度は就き、我らがホルヘ・リナレスに煮え湯を呑ませたパブロ・セサール・カノがメインを任されるローカル・イベント(FacebookでLIVE配信する”FIGHT NIGHT”シリーズ)ではあったが、9勝(5KO)7敗のメキシカンを問題にせず、左ボディのカウンターで一蹴(2回KO/6回戦)。

ミドル~クロスレンジの打ち合いで、メキシカンが上(顔面)に気を取られてしまい、ボディへの守りの意識が途切れる一瞬を逃さず、ねじ込むと言うよりは鋭く刺し込むショート1発でし止めた。


前途洋々のスタートと喜んだのも束の間、武漢ウィルス禍によって丸々1年の中断を余儀なくされる。昨年暮れ,クリスマス・イヴのモスクワで組まれたプロ2戦目は、デビュー戦のウズベク人(ロシア国内に在住)を初回に4度倒して圧殺。

一撃必倒のパワーヒッターではないけれど、パンチと身体全体にキレとスピードがあり、相手の反応や動きを実に良く見ていて、隙を突くのが非常に上手い。踏み込みに必ず手数が伴う上に、タイミングに間違いと迷いが少なく、思い切りにも不足がない。いわゆる小気味のいいボクシング。

ハンド・フェイント気味に右のリードを連射しながら、右(相手の左)サイドの外側へ身体を逃がしつつ、完全な死角から左フックやアッパー,ショートストレートを狙い打つロマチェンコばりのムーヴも難なくこなす。


技術もフィジカルも、既に問題なく世界ランカーの水準にある。ただし、アップテンポなアマのスタイルそのままで戦っている為、ラウンドを積み重ねて長い勝負になった時、肉体的なスタミナは勿論のこと、集中力も含めてどう変化(調)するのか。

当たり前の話で恐縮だが、その点は未知数。丸1年実戦から離れた後、復帰して2戦目で10回戦を組む以上、10~12ラウンズのスパーリングを繰り返して、頭と身体を慣らしてきてはいるのだろうが、スパーと実戦は別物だ。


※左から:オレグ・フロロフ(共同マネージャー),ドゥスマトフ,ジョエル・ディアス(チーフ・トレーナー)



※2016年リオ五輪L・フライ級メダリスト
 左から:ユベルヘン・マルティネス(コロンビア/銀メダル),ドゥスマトフ(金メダル),ニコ・ヘルナンデス(米/銅メダル),ヨアニス・アルギラゴス(キューバ/銅メダル)


アマチュア世界一の試験管に抜擢されたディアス(世界タイトルへの挑戦経験有り)に比べると、実績という点では明らかに見劣りするキゾタ。年も若いけれど、ボクシングは意外にもしっかりまとまっていて、大崩れしにくいタイプに見える。

またディスは現役の世界ランカーではあるものの、あくまで105ポンドのWBA13位であり、年齢も既に34歳。とっくの昔に盛りは過ぎている。10年に及ぶプロ生活のハイライトは、6年前(2015年7月)に実現したノックアウト・CP・フレッシュマートへの挑戦(暫定王者時代のV3戦)とみて間違いない。

真正面からの力勝負が好きで、その割には攻防のキメが粗くボディにウィークネスを抱えるディアスよりも、身体能力という点でも面白く、案外タフな相手になりそうな予感も・・・。

負けることまで心配することはないが、スタートからけしかけて一気に潰しにかかるのか、それとも堅実な様子見で行くのか。

 

メキシコでやったデビュー戦のコーナーに付いていたジョエル・ディアス(チーフ・トレーナー)は、米国で猛威を振るう武漢ウィルスの為、モスクワでの第2戦に駆けつけることができなかった。

ウズベキスタンの入国規制は、今どうなっているのだろう。日本人の岩佐以外にも、北米大陸のメキシコ人や、中南米のべネスエラ人たちの渡航はOKのようだが、アメリカからの入国は認められるのだろうか。


◎ドゥスマトフ(27歳)/前日計量:107.4ポンド
戦績:2戦2勝(2KO)
アマ戦績:不明
2016年リオ五輪金メダル
※ヴァル・バーカー・トロフィ(五輪ボクシング競技のMVP)受賞
※2016年AIBAボクサー・オブ・ジ・イヤー(女子はニコラ・アダムズ)
2017年世界選手権(ハンブルク)銀メダル
2015年世界選手権(ドーハ)初戦(R16)敗退
2018年アジアン・ゲームズ(ジャカルタ)金メダル
2017年アジア選手権(タシケント)金メダル
2015年アジア選手権(バンコク)金メダル
2013年ユニバーシアード(カザン/ロシア)金メダル
階級:L・フライ級
身長:159センチ
左ボクサーファイター

◎キゾタ(20歳)/前日計量:107.4ポンド
戦績:13戦11勝(5KO)2敗
アマ戦績:不明
身体データ:不明
右ボクサーファイター


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<4>ヘビー級6回戦
バハディール・ジャロロフ(ウズベキスタン) VS クリスタプス・ゾッテス(ラトヴィア)



90年代半ば以降、慢性的な人材不足とレベルダウンに苦し見続ける、プロの最重量級に現れた救世主(?)。

2メートル超の上背に230~250ポンドの重量をまとったウズベクのサウスポーは、2016年のリオ五輪に出場を果たし、初戦(R16)でベネズエラの代表をノックアウトするも、続くベスト8で、銀メダリストのジョー・ジョイス(英/決勝まで進み仏代表のトニー・ヨカに1-2で惜敗)とぶつかり0-3の敗北。

メダルを獲り逃して傷心の帰国となったが、AIBAとのプロ契約に応じてWSB(World Series Boxing)に参戦。


その後、ヴァディム・コルニコフとマネージメント契約を結んで渡米。アル・ヘイモン一派の主要なプロモーターでもあり、ニューヨークを拠点に活躍するルー・ディベラの傘下に入り、2018年5月にコネチカット州のインディアン・カジノでプロ・デビューを済ませている。

ところが何と!。アメリカでプロのキャリアをスタートさせたジャロロフは、その一方でWSBにも継続参戦してしまう。

昨年開催を予定していた東京五輪の金メダルをターゲットに据えて、リオに続く2大会連続出場を目論み、2019年9月にロシアのエカテリンブルグで行われた世界選手権に名乗りを挙げ、見事優勝を遂げて代表の座を確定した。

例えばタイ人のムエタイと国際式の掛け持ちや、欧州・豪州のキックボクサーがよくやる二刀流はお馴染みの姿なれど、プロとアマ(国際式)の同時並行は、はっきり言って正気の沙汰ではない。


詳しくは後々にアップする予定の別記事に譲るが、ボクシングの盛んな国では、要の東西を問わずプロとアマの関係はよろしくない。

プロモートを請け負ったディベラが、良くもまあ了承したものだと驚くばかり。北米圏や英国籍の選手ならまず認めて貰えないだろうが、契約に始めから条件として含まれていたものと思われる。

このサイズだからパワーが無い訳ではないが、どちらかと言えばスピード&シャープネスに本領を発揮するボクサーファイタータイプ。3分×5ラウンドで行われるWSB(6戦3勝3敗)では4ラウンド以降のガス欠が顕著で、「3分×3ラウンド仕様」をモロに露呈していた。


念願の優勝を果たした2019年の世界選手権では、ベスト8で当たったリカルド・トレス(リチャード・トレズ)という20歳のアマチュアをショッキングな初回失神KOに屠り、「プロとアマの対決に内在するリスクが健在化した」と、各方面で様々な論議を呼んだ。


※2019年世界選手権(エカテリンブルグ/ロシア)S・ヘビー級メダリスト
 左から:カムシベク・クンカバイェフ(カザフスタン/銀メダル),ジャロロフ(金メダル),ジャスティス・フニ(豪/銅メダル),マキシム・ババーニン(ロシア/銅メダル)


※2015年世界選手権(ドーハ/カタール)S・ヘビー級メダリスト
 左から:イヴァン・ディチコ(カザフスタン/銀メダル),トニー・ヨカ(仏/金メダル),ジョー・ジョイス(英/銅メダル),ジャロロフ(銅メダル)

父の代から「反AIBA」の姿勢が鮮明なWBCのマウリシオ・スレイマン会長は、「父の頃から、我々がどれだけ言ってもAIBAは聞く耳を持たなかった。アマチュアの試合で、ここまで残酷な場面を誰が見たいと思うだろう。」と、ここぞとばかりに口を極めて非難。


だがしかし・・・。逆もまた真である。ともに2度目の五輪本戦となったハッサン・エンダム・ヌジカム(2004年アテネ以来)とアムナット(2008年北京以来)の元王者2人と、一応現役の世界ランカー2名の計4名が参戦したリオ五輪の本番で、プロは全員R16(中量級以下では2回戦)を超えられなかった。

ヌジカムは初戦(R32)でブラジルの代表に0-3で完敗。アルゼンチン代表を3-0の判定でかわして勝ちあがったアムナットも、続く2回戦(R16)でフランス代表に3回TKO負け。

プロ・アマ対決で無残な負け方をするのは、若いアマだけとは限らない。文字通り「年寄りの冷や水」でベテランのプロが散る公算も大である。


五輪前年の世界選手権を制覇しただけでなく、大陸予選(アジア・オセアニア)でも4つの代表枠の1つに食い込み、東京五輪への出場を決めているジャロロフだが、武漢ウィルス禍の真っ只中にあって、ウズベクのアマ連がどんな決断をするのか。


◎ジャロロフ(26歳)/前日計量:250ポンド
戦績:7戦全勝(7KO)
アマ戦績:不明
2016年リオ五輪ベスト8
2019年世界選手権(エカテリンブルグ/ロシア)金メダル
2015年世界選手権(ドーハ)銅メダル
2019年アジア選手権(バンコク)金メダル
2017年アジア選手権(タシケント)金メダル
※階級:S・ヘビー級
身長:201センチ
左ボクサーファイター

◎ゾッテス(30歳)/前日計量:255ポンド
戦績:11戦7勝(7KO)1敗2分け1NC
身長:189センチ
右ボクサーファイター



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2017年世界選手権L・ウェルター級銀メダリストのイクボルジョン・ホルダロフ(コルダロフ/24歳)、2019年の世界選手権でフェザー級の金メダルを獲得したミラジズベク・ミルザハリロフ(ミルザカリロフ/26歳)が、それぞれ6回戦でプロの初陣を迎える。


※左から:トゥルスノフ,ミルザハリロフ,ホルダロフ


また、2018年に米本土で既にデビュー済みのクルーザー級,サンジャル・トゥルスノフ(22歳/2戦2勝1KO)は、2017年世界選手権ヘビー級の銅メダリスト。丸2年以上を開けて行われた今年2月の2戦目は、モスクワでの興行だった。

3勝1敗1分けのウクライナ人を相手に、母国のファンにプロとしてのお披露目を飾るという趣向。