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GGG二世対オリンピアン,脱北の女子王者が初渡米/西海岸のフェザー級ホープ登場 - GGG VS シェルメタ戦アンダーカード・プレビュー -

2020年12月19日 | Preview

<1>12月18日/セミノール・ハードロック・ホテル&カジノ,フロリダ州ハリウッド/IBO S・ミドル級王座決定12回戦
アリ・アフメドフ(カザフスタン/167.4ポンド) VS カルロス・ゴンゴーラ(エクアドル/167.2ポンド)

16連勝(12KO)中のGGG二世(?)アフメドフ(25歳/右ボクサーファイター)が、2大会連続出場の元オリンピアンと、マイナー団体IBOのベルトを懸けて、無敗同士のプロスペクト対決に挑む。

エクアドルのゴンゴーラ(31歳/左ボクサーファイター)は、2008年の北京大会(ミドル級ベスト8)に続き、2012年のロンドンでもL・ヘビー級でベスト8に食い込んだ他、世界選手権にも3大会連続(2007年シカゴ:ミドル級ベスト8/2009年ミラノ:L・ヘビー級ベスト8/2011年バクー:L・ヘビー級2回戦敗退)で出場を果たしたエリートクラス。

2015年に米本土でプロに転じて以来、こちらも負けなしの18連勝(13KO)をマーク。アマでの実績は、大きな国際大会の戦果を持たないアフメドフを凌駕するが、カザフの雄も多くのメダリストと拳を交えており、技術と経験は互いに譲らぬ高水準を誇る。

ボストンに活動の拠点を置くゴンゴーラは、意に反してローカル興行からのスタートとなったが、ルー・ディベラやメイウェザー・プロモーションズが仕切るPBCに参戦を果たし、いよいよ先が開けるかと思いきや、期待した好条件のオファーは無かったらしく、ボストンのプロモーター,ケン・ケイシーの傘下に収まり、時折りゴールデン・ボーイ・プロモーションズの興行にも参戦といった状況。

思うに任せない出世への道を切り拓く為にも、今回の試合に懸ける意気込みには、並々ならぬものがある。


2016年に母国でデビューしたアフメドフも、2017年に渡米を果たして3試合を戦ったが、すぐに良い話は巡って来なかった。

クリチコ兄弟のK2プロモーションズを切り盛りした後、GGGが自前で立ち上げたプロモーションの差配を任され、自らの会社も興して「SuperFlyシリーズ」を手掛けたトム・レフラーから2018年にお呼びがかかり、GGGと同じ釜の飯を食う機会を得る。

ゴンゴーラに比べれば、それでも階段を登るスピードは早いと言っていいけれど、アフメドフ自身は当然満足していない。


長身痩躯(身長:185センチ/リーチ:183センチ)のサウスポーらしく、反応のいい前後のステップで距離と間合いを作り出し、切れ味鋭い左ストレートを突き刺すスキルフルなスタイルのゴンゴーラに対して、同じ185センチを公称するアフメドフは、残念なことにリーチに恵まれず(本当に173センチ?)、逞しく発達した上半身の圧力を武器に、どんどん距離を詰めて切り崩して行く好戦的なパンチャータイプ。

L・ヘビーでプロを始めたアフメドフに比して、最初からS・ミドルを主戦場にして来たゴンゴーラは、ややもすると線が細く見えてしまう。良い契約を得られなかったのも、見た目の印象がマイナスに響いたとの印象。

ここで負けられないのは、アフメドフも同じ。1発のパワーではカザフの強打者に分がある。頭を低く前傾してウィーブを繰り返し、左右にシフトウェイトしながら素早く距離を潰すことができれば、賭け率通り「案ずるより産むが易し」という展開が繰り広げられるだろう。

そしてその反面、サイドを使いながらゴンゴーラが飛ばす長い左ストレートをかわし切れず、GGG二世が先にダメージを負う場面も想定の範囲内・・・ではある。




スポーツブックのオッズは、幾ら何でもオリンピアンに辛過ぎるという気も。

□主要ブックメイカーのオッズ
<1>Bovada
アフメドフ:-1600(約1.06倍)
ゴンゴーラ:+800(9倍)

<2>5dimes
アフメドフ:-1500(約1.07倍)
ゴンゴーラ:+1000(11倍)

<3>SportBet
アフメドフ:-1425(約1.07倍)
ゴンゴーラ:+1075(11.75倍)

<4>ウィリアム・ヒル
アフメドフ:1/14(約1.07倍)
ゴンゴーラ:9/1(10倍)
ドロー:20/1(21倍)

<5>Sky Sports
アフメドフ:1/16(約1.06倍)
ゴンゴーラ:7/1(8倍)
ドロー:20/1(21倍)




■リング・オフィシャル:未発表


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<2>S・ミドル級+α契約10回戦
ジョン・ライダー(英/170.2ポンド) VS マイク・ガイ(米/168.2ポンド)

ロンドン出身のライダー(32歳/28勝16KO5敗)が、昨年11月のカラム・スミス戦(12回判定負け/WBA・WBCダイヤモンド王座戦)以来となる再起戦を、米本土で行う運びとなった。

フルラウンズをしぶとく粘り食い下がった世界初挑戦は、想像以上の善戦と称されていい。奇をてらうことのないクリーンなボクサーファイトは、下手をすると「負けない為なら何でもあり」が大手を振って闊歩する昨今だからこそ、日々その重要性を増すばかり。

昨年5月にラスベガスで開催されたカネロ VS ジェイコブス戦のアンダーに登場して、オーストラリアのホープ,ビラル・アカウェイに3回TKO勝ち。デラ・ホーヤがバックアップを約束した26歳の強打者に煮え湯を呑ませ、カラム・スミスとのタイトルマッチに駒を進めた。

L字の構え(デトロイト・スタイルと言うべきか)を除けば、ボディ&ステップワークの基本を疎かにせず、右のリードジャブ(サウスポー)からセットアップする正攻法。爆発的なパワーや傑出したスピード&クィックネスが無くても、伝統的な近代ボクシングのベーシックをしっかり身に付けさえすれば、それ相応のレベルで戦うことができる。まさしくその好例と表すべき。


30勝5敗のアマチュア・レコードは、激戦の中重量級にしては異例の少なさ。だがしかし、それで全英(ABA)選手権を制覇したのだから立派なものだ。タッパ(175センチ)があと5センチあって、左ストレートの威力が3割り増しだったなら、世界に手が届いたかもしれない。

サクラメントからやって来たマイク・ガイは、間もなく40歳になる無名の黒人選手。戦績は12勝(5KO)5敗1分けでパっとしないが、ボクシングはまとまっていて大崩れしづらい。5度の敗北のうち、最終ラウンドのゴールテープを切れなかったのは、セルゲイ・デレヴィヤンチェンコのみ(2016年3月/8回TKO負け)。

早熟の天才少年としてN.Y.の地元メディアから取材攻勢を受け、王者候補の呼び声も高いジュニア・ヨーナン(25歳/15勝10KO1分け)との8回戦でも、重い左(ジャブ,フック)で圧力をかけ続けて、近未来のチャンピオン(?)を十二分に苦しめた。

ビリー・ジョー・サンダース,ロッキー・フィールディング,ニック・ブラックウェルに三度び阻まれた英国(BBBofC British)王座は、今ならかなりの確率で獲れそう。栄えあるロンズデール・ベルトを巻く日が来るのでは・・・。


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<3>WBA女子S・フェザー級タイトルマッチ10回戦
王者 チェ・ヒョンミ(韓国/130ポンド) VS カリスタ・シルガド(コロンビア/130.4ポンド)

30歳の王者チェ(身長:170センチ/右ボクサーファイター)は、14歳の時に一家でソウルに逃げたいわゆる脱北者。オリンピックを目指す優秀なアマチュアだったが、2008年の北京大会で女子の参加が実現せずプロ入り。

2008年10月のデビュー戦がいきなりの10回戦で、しかもWBAのフェザー級王座を懸けた世界戦。首尾良く10回判定でベルトを巻くと、2013年5月までの5年間で7度の防衛に成功。2013年5月に、ライカ(日本の女子ボクシング勃興の立役者)との決定戦を3-0の判定で制して、WBA S・フェザー級の暫定王座を獲得(WBAらしくすぐに正規に昇格)。

以来130ポンドの王座も連続7回の防衛に成功しており、通算の戦績は18戦17勝(5KO)1分け。ノンタイトルは1試合だけで、2016年5月のWBF王座決定戦も含めれば、残りの17戦はすべて世界戦の看板で戦っている。

プロボクシングの人気が底を尽いて久しく、長い低迷から抜け出せない韓国内で、12年に及ぶキャリアを積み重ねてきたが、先月マッチルームUSAとの契約が報じられ、渡米が実現した。


挑戦者のシルガド(身長:165センチ/右ボクサーファイター)は、2011年デビューの32歳。バンタム級~S・フェザー級を行き来しながら戦い続けて、戦績は19勝(14KO)11敗3分け。これまで3つの階級で通算5回世界タイトルに挑戦しており、オグレイディス・スアレス(べネスエラ/WBA S・フェザー)、ジェニファー・ハン(米/IBFフェザー)、シンディ・セラノ(米/WBOフェザー/アマンダの姉)に判定負け。

女子7冠のアマンダ・セラノ(米/WBOフェザー)には初回で倒され、マイヤリン・リヴァス(ベネズエラ/WBAバンタム)にも5回TKO負け。

S・フライとバンタムの2階級で世界を獲ったジャスミン・リヴァス(メキシコ)とは、S・バンタム級のWBCシルバー王座を争って判定負け。2018年12月には、ミカエラ・メイヤーにもフルマークの判定負け(8回戦)を喫している。

女子を代表する実力者たちとの連戦で鍛えられた地力は侮れないが、有体に言って、チェの米国デビューを飾る為に呼ばれた白星配給役。なおかつ挑戦者は、前日計量で0.4ポンドオーバーの失格。

会見や計量の映像と写真を見る限り、2人の体格差は数字以上に大きく、フィジカルのディス・アドバンテージを埋める為の確信犯的超過を疑いたくなってしまうが、王座獲得の権利を喪失したシルガドのモチベーションが心配される事態ともなっている。


■リング・オフィシャル:未発表


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エディ・ハーンが大成への期待を寄せる22歳のウェルター級,レシャト・マティ(米/8戦全勝6KO)、L.A.出身のフェザー級,ジェイレン・ウォーカーが6回戦に出場予定。

ウォーカーは弱冠18歳の才能豊かなサウスポー。幼い頃から、ボクシングだけでなくキックボクシングやムエタイも経験しており、ジュニア限定ながらアマチュアボクシングでも活躍。黒人特有の高い身体能力と、スピーディかつスムーズなムーヴィングセンスには眼を見張るものがある。

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