四王天延孝著『ユダヤ思想及び運動』
附録第三 シオンの議定書
第二十 議定
ユダヤ王は全財産の所有者
・・・・・・・・・累進稅
・・・・・・・・・売買税
・・・・・・・・・所得税
・・・・・・・・・相続税
・・・・・・・・・通貨
・・・・・・・・・金本位
・・・・・・・・・新貨幣
・・・・・・・・・外債の吸血鬼
・・・・・・・・・國債と増稅。
〔ユダヤ王は全財産の所有者〕
財政問題は計画の結論的のものであり、
最も決定的のものであるから、
私は講義の最後に残して来たのである。
今から此の問題に取りかゝるにあたって、
既に私は前の方で、
吾々の活動の結果は常に數字で解決すると述べて置いたことを想ひ起して貰いたい。
吾々が天下を取った曉には、吾々の専制政府は、
自己の安全の爲に、餘り重税を以て人民に荷をかけ過ぎない様にする。
政府は父であり保護者であると云ふ役割を忘れてはならぬ。
併し又政府組織には莫大な金が要るから、
その存立に必要な丈の経費は徴集しなければならぬ。
故に吾々は公正なる租税の割り当てをしなければならぬ。
〔累進税〕
吾々の政治方式ではユダヤ王は凡ての動產不動産の唯一の所有者と見做すのである。
(之は實際に於ても容易に適用出來ることである)。
であるから國内貨幣の流通を規正する為に之を合理的に沒收する方法を取上ければならぬ。
課税の最も善い方法は財産に對して累進税を行ふことである。
そうすれば財産の多寡に應じて、格別の困難なく、
何人も破産をせずに租税は取立てられる。
富豪は國家全体の利益の為には、
自分の財産の一部を投げ出すことが義務であることを理解しなければならぬ。
その代り政府は残りの財産の不可侵権と、
それから正直に利益を收める権利とを保障してやらなければならぬ。
自分は今特に正直にと云ふたのは、
財産を監督すれば合法的の泥棒を防止出來るからである。
この社會革新は何より先に實行しなければならぬ。
それはその時機は熟して居り、公安を維持する為に必要であるからである。
貧民に税を課することは革命の包芽である。
影の方を追って、獲物その物の方を逃がして終ふのは 政府として有害なことである。
且つ、資本に課稅することは個人の富の倍加を防ぐのである。
その資本家の手に富を集中さしたのは、
國庫を持って居るゴイムの政治力が餘り強くならない様に
之れと平衝させる為に吾々がやったことなのである。
資本の髙に應じて之に累加税を課すると云ふと、
現在の制度に較べて頗る大きな收入を生ずるのである。
現制の平等課税は、ゴイムの間に不滿と反抗と起させる為に
現今では、吾々に必要があるのである。
吾々の王の強味は主として平和を保つ所の種々の力が平衡を得る點にある。
之が為に資本家は國家機関があたり前に運轉するのを助ける為に、
自分等の所得の一部を讓らなければならぬ。
それのやれる人であり、何か出し得られる人は公共の必要を充たさなければならぬ。
此くして富豪に對する貧民の怨みを無怨みを無くして、
富豪は國家の財政的支柱であり、平和と繁栄の保持者と認められるのである。
尚 貧民は又、富豪は全体の良くなる為の必要な仕事に
金を出すものであることに気が附いて來るであらう。
知識階級の納税者が新体制に就て餘り不平にならない爲に、
公費の細かい数字を見せてやる。
但し王室費と行政費は見せない。
王は自身は何も持たない。
それは國家の凡てを所有すると見做すからである。
これは互に矛盾した考への様であるが、
實は或る方法で宣際には凡てを所有することは妨げるのである。
王の親族は、国家が補助すべき王の子孫以外は.官吏になるか、
何か職來を求めて財産を所有させる。
王の血族であると云ふ特権があるからとて、国家のものを私する権利は與へない。
〔累進税、売渡税、所得税、相続税〕
販売、所得、相続には累加税をかける。
動産の所有権と移す時に、納税をしてゐなかった場合には、
初めの所有者は権利の移った日から犯行発覚の日迄の稅を納める義務がある。
売買品目は新旧所有者の住所姓名と共に毎週國立銀行の地方支金庫に報告する。
売買に従事する人々の姓名記録することは、
売買価格が別に定める一定の価格を越過する場合には必ず之を実行するの義務がある。
必要品売買に関する姓名の届け出には、
その価格の少くも若干パ—セントに相当する印紙を以て納入させる。
この種課税によって生ずる收入が、ゴイム政権の現收入に比較して
どんなに高額に上るかを計算して見て貰ひたい。
国庫は一定額の準備金を保有し、それ以上のものは流通貨幣とする。
国家的工事に要する費用はこの過剰資金に仰ぐことゝする。
此等工事の発案は政府がやるのであって、
その実行をすると労働階級を支配者の利益に結び附かせることになる。
此の資金の一部は発明者に、要すれば生產者に與へる奨励金に當てる。
国庫には大いに餘裕を取て計算した予備金以外には例へ少額と言えども、資金を置くことは許さない。
蓋し貨幣は元々流通の為は造ったものであるから、
凡て流通を妨げることは政府機関の潤滑油の働きに支障を来すのである。
貨幣に紙幣を以て代用したことは既に一般の信用を薄くした。
その結果も人の知る所である。
吾々は又監督及検査機関を設けて、
王が何時でも国庫の前月迄の收入支出状態を親ら検査出來る様にする。
その国庫は王のものであるから、王に限ってはは之を盗むことは無い。
これで紛失、隠匿等は凡て予防することが出来る。
王は貴重な時間を空費させる儀礼的の宴会はすべて廃止する。
ゴイムの意志によって経済恐慌を起こすには流通貨幣の引き揚げをすれば宜しい。
資本は固定して無用となり、国民から逃避し、
国民は借金をする為吾々に頼まねばならなくなる。
此の借金の利子支払いは一般金融に重荷をかけ、国家を資本に従属させる。
工業の集中は生産と技術家の手から奪って資本家の手に渡したから、
凡ての権力を人民と国家から奪った。
〔金本位〕
現今流通する貨幣の額は国民の一人常りの消費に相応してゐないから、
労働階級の凡ての必要を満足さしてゐない。
貨幣の鋳造は人口の増加に直接比例しなければならぬ。
而して子供は生れた日から消費者と見做さなければをぬ。
貨幣鋳造の改正は世界の最も重要な問題である。
金本位は之を採用した国家に不幸を齎したのである。
なぜなれば吾々が出來る丈之を引き揚げてからは必要を満たすことが出來なくなったからである。
〔新貨幣〕
吾々は紙でも木でも構はないが、労働の価値に立脚した貨幣を新たに作って、
人民一人々々の平等な必要に應じて之を流通させる。
人が生れれば之を膨張するし、死ねば之を収縮する。
各官庁各地方は自分の財政に就てはその責任に任じさせる。
公費の支払いが延期されることの無い様に、
王の命令による支払日が一定され、
大蔵大臣が外の地方に迷惑をかけて、
或る地方丈に便宜を與へると云う樣な ことが出来ない様にする。
收入予算と支出予算とはいつでも比較對照出來る様にする。
ゴイムの財政新体制の事で何人をも驚かせない様にする為、
ゴイムの財政不始末から來る馬鹿らしい混乱状態を暴露することによって、
この立て直しの必要を納得させる様にする。
この混亂の主なる原因は、
年々増加する予算の数字を大体の見当で評価する習慣から来ることを明かにする。
こんな風で立てた予算はその年の前半期の終わりまで続かせるには骨が折れるので、
更正予算を持ち出し、可決してもらうが、
此くて與へられた金額は次の三ヶ月位に使ひ果す。
そこで今度は追加予算を持ち出し、萬事は清算予算に終る。
翌年の予算は前年の総支出に基づくので経常の必要から見ると年額五十パーセントにも達する。
そこで二年毎に三倍に増加する勘定になる。
此くゴイムの政府の無頓着な方法から国庫は終に空になる。
ここに於て国債時代が來て国庫に鉋をかけることが始まり、
ゴイムの国家全部を破産の淵に陥れることになった。
此の如く財政の管理法は、
吾々がそうさせようと示唆を與へてやったゴイム等には宜しからうが吾々には適当しない。
〔外債の吸血鬼〕
国債は政府が弱体であり、 その機能を理解することも出来ない無能を現はすのである。
ダモクレスの劍の如く、国債は統治者の頭の上に懸かってゐる。
必要が起こった時には勅令を以て臨時稅を課すれば善いのに、
それをやらずに吾々ユダヤの銀行家に握手を求め、哀れみを乞ふ。
外債は国家の体から取り離せない蛭の様なもので、
蛭は自然に落ちるか、
根本的方法で之を取り払う迄はいつまでも血を吸ふのである。
ゴイムの政府は外債を償還しようとせずに却て之を大きくし、
求めて失血をして自殺する様なものである。
実際に於て国債殊に外債とは何であるか。
吸血動物以外の何物でも無いではないか。
国債は借りた金の高に比例して利息を伴って行く国家の借金である。
借財が五分利の時は二十ケ年で払い、四十ケ年には二倍額、
六十ケ年には三倍額払うが、
併し元金は未拂で残っている。
此の計算で行くと、世界的稅制を以て、政府は憐れむべき納税者から最後の一銭迄巻き上げて、
之を外国資本家に利子として払って終ふ。
そうしなくて必要のあるこの同じ金高を租税で取り立てれば利息を払はなくて善いのである。
国債が純内国債である場合には、ゴイムは貧民の懐から金を出さして富豪の懐に之を入れるので満足して來たが、
吾々の示唆によって大臣達が外国から金を借り始めて以來
諸国の冨は吾々ユダヤの手に流れ込んで来て、
ゴイムは吾々の家来となり、吾々に貢物を献上し始めたのである。
ゴイム統治者の国務に対する不注意、
彼等の大臣たちの腐敗、
他の官吏達の財政問題に就いての無知識が、
終に彼等を吾々ユダヤの債務者して仕舞ひ、
今日では最早いつまで經っても借金払いが出來ず、
吾々の手から自由になり得ない有樣となった。
ここまで彼等を導いて來るのは容易のことではなかったのである。
〔國債と増稅〕
將來、吾々は貨幣の流通に何等の障碍を許さないし、
一分利以外の国債は發行しないから、
利子の仕拂ひで、国家を吸血鬼の手に引渡すことは無い。
但し工業組合はその利益で容易に利子が払えるから、
之丈には公債の発行を許す。
この方法では國家は工業家の様に借りた金から利益を收めないが、
唯それを経費に使う丈である。
國家も工業の公債を買うが、
今日の如く公債の提供者となるのでは無く、
却て手堅い債権者になるのである。
かくて貨幣が流通しないで膠着することは有り得ない。
横柄や怠慢は無くなる。
それはゴイムが獨立してゐた間は、そういふ事が吾々に役立ったのであるが、
吾々の政府にはそういふ必要が無くなるからである。
実にゴイムの動物の様な頭脳では何と先の見えないことである!
彼等が利子の附く金を借りた時にはこの金は元利共に結局国家の資源から取立てなければならず、
どうしても吾々の所へ戻って來ることに気が附かないのである。
再び云ふが、必要な金は直接納税者から取立てた方が簡単であったのだ。
吾々ユダヤの偉大な精神力と天才的がそこにハッキり現はれて來る。
吾々ユダヤ人がゴイムに公債の話をする畤には、
その方が彼等に利益に見える樣に持ちかけたのであった!
時節が来て吾々が予算を立てる場合には、
幾世紀の間ゴイム政府に迷惑をかけて得た経験に基づいてやるのである。
吾々の予算は明喙で決定的で吾々の新体制の利益が判然する樣になる。
凡ての濫費は ゴイムを吾々に従属させる役にたったのであるが、
吾々の統治下に於ては一切之を許さない。
吾々は会計の方式を立てて、王も小商人もたとえ小額と雖も、
吾々の最初計画した仕向け先き以外に金を廻はすことが出來ない様にする。
明確な計画なしに統治を行ふことは出來ない。
充分な金の準備もなく旅行に出かけることは英雄や騎士でも予め失敗を誓うに等しい。
ゴイムの政府には国務を怠って、
その代りに豪華な儀礼的宴会や歓楽ばかりやる様に教へたが、
之は吾々の目に見えない政府の存在を隠す為であった。
帝王に代って活躍した有力寵臣達の回顧録は吾々の手先きが整理してやったのだが、
それは必ず皮相的の考へを持って讀むものを滿足させた。
卽ちその中には経濟上の約束と將來の改善が書いてある、
が何の經濟のことか?
新しい税法のことか?と
と吾々の回顧録を読んだものはそう質問する筈であるのに、それをやらなかった。
この怠慢が彼等の人民の驚嘆すべき好意にも拘らず、
どこ迄財政的混亂に導いたかを御承知のこと思ふ。