センセーは陶芸資料館を訪れても、研究所の成分データなどには興味を示さない。学芸員にいってウラから陶片を持ってこさせ、それを凝視することにふける。そして些細なヒントからひらめきを得、実際的に方法論化する。文明の力を借りてそっくりなものをつくるよりも、先人の知恵を遺産から看破することにこそ心血を注ぐのだ。さらに山に帰ると、手あたり次第に実験して考証する。いろいろな木をさがしてきてはいちいち焼き、灰にし、釉薬として試して、任意の色を出すためのマキを特定する。同じ樹の種類でも、浜辺にはえていたものか山腹のものか、枝か幹か根か、どの箇所が石灰質でどの部分が珪酸質か、そこまでを徹底して調査する。今までに焼かなかったものはない、というところまで突きつめて考え、行動しているセンセーの言葉には、説得力があった。
さて、いろいろな素材をさんざん試しつくし、太陽センセーは結論づけた。桃山の陶工たちが用いていたのはとどのつまり、
「どんぐりの樹(つまり雑木)のようじゃ」
しかも多少湿気たくらいのなまくらなマキで、悠長に焼くのがいい。豊富な経験が導き出した輝ける解答。それこそが、驚くべきことに、
「建築廃材で焼いたらちょうどええわ」
なのだ!なるほど、ここにくるまでには様々な紆余曲折があり、理にかなった事情があったのだ。
・・・だが、横たわる虫食い電柱を前にしたオレたちは、影でそっとささやき合った。
「なんやかんやいって・・・結局はマキ代をケチってるだけのような気もするけど・・・」
「マキ割りなんてしんどい作業するより、売ってる松マキで景気よく焼きたいよなぁ・・・」
バチ当りな弟子たちなのだった。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
さて、いろいろな素材をさんざん試しつくし、太陽センセーは結論づけた。桃山の陶工たちが用いていたのはとどのつまり、
「どんぐりの樹(つまり雑木)のようじゃ」
しかも多少湿気たくらいのなまくらなマキで、悠長に焼くのがいい。豊富な経験が導き出した輝ける解答。それこそが、驚くべきことに、
「建築廃材で焼いたらちょうどええわ」
なのだ!なるほど、ここにくるまでには様々な紆余曲折があり、理にかなった事情があったのだ。
・・・だが、横たわる虫食い電柱を前にしたオレたちは、影でそっとささやき合った。
「なんやかんやいって・・・結局はマキ代をケチってるだけのような気もするけど・・・」
「マキ割りなんてしんどい作業するより、売ってる松マキで景気よく焼きたいよなぁ・・・」
バチ当りな弟子たちなのだった。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園