としおんのぺえじ

愛犬パズーとの戯れや日々の出来事などをつらつら綴ります

「珈琲時光」

2004年08月26日 | Weblog
今日は「珈琲時光」っていう映画の
試写に行ってきました。
ほとんどの人が「聞いたことないよ」
っていう映画だと思うんですけど、
「えぇいいやぁ~、君からもらい泣き~」
って歌ってる一青窈の初主演作って言えば、
ひょっとしたら、聞いたことある人もいるかもしれないっすね。

で、映画の中身なんですが、ざっと言っちゃうと、
フリーライターの陽子っていう主人公が、
台湾人の男性との間に子供が出来ちゃったんだけど、
どうしよっかなぁ~、と悩みながら東京を歩く映画です。

…と書いちゃうと身も蓋もないんですが、
本当にそれ以上でも、それ以下でもないんですよ。
悩む、って言っても、表面上は平気な顔してるし、
あからさまに動揺してんのは、彼女の両親だけだし。
泣くでもなく、思い切り笑う訳でもなく、
ただただ、東京の街をペンギンみたく
ペタペタ歩いてるだけなんです。

実はこの作品、知ってる人は知ってるでしょうが、
昨年、生誕100周年を迎えた
日本の名匠、小津安二郎監督へ、
台湾映画界の名匠、ホウ・シャオシェン監督が
オマージュを捧げた作品なのです。

で、小津安二郎の往年の名作『東京物語』
っていう作品を、現代に蘇らすっていう
テーマを持った作品だったんすね。
なので、主人公がただ東京の下町を歩いて移動する
っていうシーンが、やたら多く挿入されていきます。

映画好きなら、あのオヅの作品をかぁ、
ってな感じで、感慨深いっつうか何つうか、
いろいろ思うこともあるんでしょうが、
僕なんぞの若輩者には、少々きつかったりしました。

映画は、まずキャラクターありき、って思ってる僕としては、
主人公がただ淡々と歩いてるだけの映画なんて見たくないし、
起承転結とは言わないまでも、
ガァーって盛り上がってく展開を求めちゃうんです。

が、この作品は前述した通り、
一青窈が泣き叫ぶ訳でもなく、抱腹絶倒になるでもなく、
あっち行ったりこっち行ったりして、
ホットミルク飲んでるだけ。
(あ、そう言えばコーヒーじゃねぇし)

とはいえ、東京の下町の町並みが叙情的に映し出されてるし、
小津の黄金期を知ってる方とか、ちょっとお年を召した
評論家さんとかは、めっちゃ楽しんじゃうんだろうなぁ、
なんてこともチラっと思いもしましたが、
やっぱり、凡人の僕には全然分かりませんでした。
すいません、もっと勉強しますです(汗

でも、1年に1本か2本、
それも「タイタニック」とか
ハリウッド的な分かりやすい作品しか見ない人が見たら、
たぶん開始早々、5分で寝ちゃうんだろうなぁ。
まぁ、そんな人は、まずこれを見ようとは思わないだろうけどw

あ、でも浅野忠信が良い味出してましたよ。
古本屋の店主で鉄道オタクっていう凄い役だけど(汗

東京では、9月11日から公開予定。
その後、順次全国公開される予定みたいです。
小津好きな映画通の方は足を運んでみてはいかがでしょうか?