としおんのぺえじ

愛犬パズーとの戯れや日々の出来事などをつらつら綴ります

華氏911

2004年08月14日 | Weblog
※今回はパズーの話は出てきません。
おまけに長いので、映画に興味ない人は
読まない方がいいかもです。
明日はパズーに久しぶりに会えるので、
いっぱい書きますです、
乞うご期待ってことでお許しを(汗


「ブッシュよ、恥を知れ」と
去年のアカデミー賞授賞式で
スピーチしたマイケル・ムーアの
最新作「華氏911」の試写会に行ってきました。

今の仕事について何年か経ち、
年に百本以上の作品を見るんですけど、
時々、後頭部をガツンとやられる作品に出会います。
でもそれは、年に1本か2本あればいい方で、
なかなか出会えるもんじゃなかったりするんです。

で、今夜の「華氏911」なんですが、
久しぶりに、ぶっ叩かれちまいました。

内容は、すでにニュースなどでも紹介されているので
ご存じの方も多いとは思うんですけど、
ブッシュ大統領が、どのようにして大統領になったか。
そしてどのようにして、イラク戦争を始めたのかを描く、
ドキュメンタリー作品です。

「私の息子を返して!」とホワイトハウスの前で泣き崩れる、
戦死した若きアメリカ兵の母親。

「私たちが何をしたの? アラーの神よ、助けたまえ!」
と爆撃によって崩壊した家の前で泣き叫ぶ民間人のイラク人女性。

そして、黒コゲになったイラク人や、
襲撃されて吊されるアメリカ人兵士など、
随所に目を覆いたくなるようなシーンが続きます。
作り話ではなく、絵空事でもない真実のみが持つ重みが、
ずしん、と心の底に響いてきました。

でも、何が一番怖かったって、
「人を殺す時は、すごく興奮するよ」
みたいなことを平気な顔で、むしろ嬉しそう笑顔で話す
アメリカ兵のインタビュー映像が出た時は、
人はここまで残虐になれるんだ、
と思ってマジで背筋に寒気を覚えました。

一方で、
「俺たちはここに何をしにきたんだろう?」
と苦悩する兵士や、
「もう2度と、あんなところには行きたくない」
という帰還兵たちの姿も映し出されて、
その世界は、まさにカオス状態。

そして、そんなカオスを生み出している、
大義名分の名のもとに隠された、
石油利権や軍事事業などが絡んだブッシュ一族の企みに、
恐怖という感情を超えて、やり場のない怒りを覚えてしまったんです。

もちろん、マイケル・ムーアの視点から描かれているので、
ブッシュ大統領の反論はありません。
ブッシュ大統領だって、言いたいことは山ほどあるだろうから、
しょせん、欠席裁判でしかないのかもしれない。
ドキュメントと言いつつも、実はヤラセかもしれない。
加えて、何をどうすればいいのか、ってことも、
映画の中では最後まで明確には語られないし、
ドキュメンタリーとは言いつつも、
エンターテインメントでしかないのかもしれない…。

僕自身、怒りを覚えたとはいえ、
「じゃぁ、今のイラク問題をどうすりゃいいのよ?」
って聞かれたら、分からないとしか言えないと思うし、
これが正解!ってな答えも、現時点ではないんだと思います。

でも、そこで考えるのをやめるんじゃなくて、
真実を見極めて、ちゃんと考え続けることこそが
大事なことなのかもなぁ、と、
太平洋戦争の終戦記念日を間近に控えた今日、
あらためて思ったりしました。


で、試写会場の映画館を出て帰路につくと、
金曜の夜(おまけに盆休み?)だからか、
若者たちが大騒ぎ状態。
飲み会なのか何なのかは知らないけど、
大声ではしゃぎまくり、
いちゃつきまくる姉ちゃん兄ちゃんたち…。

日本の首相たる小泉さんは、
「批判映画なんか見たくない」
と小さいことを言ってたそうです。
そして週末の夜に繰り出す若者たちは、
ここぞとばかりに馬鹿騒ぎ…。

いや、別にいいんですけどね。
僕も一応、若者だし、騒ぎたい気持ちは充分分かるし。
でも、マイケル・ムーアの「恥を知れ!」ってスピーチが、
自分に言われてるような気がして、
妙にブルーになっちゃった13日の金曜日の夜でした。

ちなみに今日の写真は、
今夜の試写会の試写状です、お面になってますw

※「華氏911」は、
 東京では明日から、全国各地でも8月21日から公開です。
 よかったら見てみてはいかがでしょうか。

 長くてごめんなさいです、
 最後まで読んでくれてありがとですm(_ _)m