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ネットワーク坐禅会・その9…心を守る坐禅・調身

ネットワーク坐禅会・その9

                   …心を守る坐禅・調身

コロナウィルス感染が心配されますか、その心配に付随して、自粛生活や収入の減少、仕事の破綻による自らの心、家族間の心の行き違い、このような心の感染拡大が心配されます。コロナウィルスには決め手となる特効薬やワクチンは開発されていませんが、心については、特効薬があります。

精神の安定、心の平安、正しい智慧を実現する行いとして、「禅」は大きな役割を果たしてきました。簡単、確実、格安の3Kと言われる禅の特質は、大きく発展定着している日本にとっては、外国の坐禅愛好家がうらやむほど、禅という切り札を持つめぐまれた環境にあります。

 写真は、かつて訪れたことのあるアメリカ、セントルイスにある禅センターでの参禅者と撮ったものです。この方々が、多くの日本人は禅に親しめてうらやましいと言っていました。是非、日本中の多くの人々に知っていただき、味わっていただきたいと思います。「灯台元暗し」では、勿体ないことです。

坐禅の実践手立てとして、「3調」があります。調身・調息・調心です。

調身

一般的には、先ず身を調(ととの)える、ことが勧められてきました。足を組み、背筋を伸ばし、中心を保って頭で天を突くように座ることを調身として伝えられても来ました。

しかし、様々な坐禅の指南書や先人の発信する留意点を精査していくと、単に身体の姿勢を調えることに留まらない細やかな配慮が指摘されていることに気づきます。いわゆる「身の処し方」とでも言いましょうか、環境の選び方、行動様式、基本的な生活習慣にも関係することが調心の範疇に入っていると言えます。それは「坐る」「坐らない」にかかわらず、生き方そのものに関係してくると言えます。

瑩山禅師の『坐禅用心記』に次のような記述があります。

身の処し方に気をつける 須らく一切の縁務、都来放捨して、心思ふこと無く、身事とすること無かるべし。是れ、第一の用心なり。妄縁尽くる時、妄心、随って滅す。…良くない縁を作ることを避ければ、間違った考えも消える。

衣服について 美服と垢衣とは、倶に著用すべからず。美服は貪を生じ、又盗賊の畏れ有り、故に道者の障難と為る。(略)垢衣と旧衣とは浣洗補治して、垢膩を去って浄潔ならしめ、之を著用すべし。垢膩を去らざれば、身冷えて病発す、又障道の因縁と為るなり。…衣服は質素で清潔を心がけること

衣食住の重視 然も身命を管せずと雖も、衣足らず食足らず睡眠足らず、是を三不足と名づく、皆、退墮の因縁なり。…衣服を調え、良く食べ、よく眠ること

食事への留意 一切の生物、堅物、乃至損物、不浄食は、皆、之を食すべからず。腹中鳴動し、身心熱悩して、打坐に煩い有り。一切の美食、耽著すべからず、但だ身心に煩い有るのみに非ず、貪念未だ免れざる所なり。食は祇だ気を支うるを取り、味を嗜むべからず。或いは飽食して打坐するは、発病の因縁なり。大小の食後、輙ち坐することを得ざれ。暫く少時を経て、乃ち坐すべきに堪えたり。凡そ比丘僧は必ず食を節量すべし、節量食は、謂く分を涯るなり。三分の中、二分を食し、一分を余す。一切の風薬、胡麻、薯蕷(山芋)等は常に之を服すべし。是、調身の要術なり。…食べ物は重要なので良く注意深く摂るべき

場所の選び方 極明・極暗・極寒・極熱、乃至遊人・戯女の処、并びに打坐すること莫れ。叢林の中、善知識の処、深山幽谷、之に依止すべし。緑水青山、是、経行の処、渓辺樹下、是、澄心の処なり。…静かに心を落ち着かせて座れる場所を選ぶ

環境の整備 道場、須らく浄潔なるべし、而かも常に焼香・献華す、則ち護法善神、及び仏菩薩、影向守護するなり。若し仏菩薩、及び羅漢像を安置すれば、一切の悪魔鬼魅、其の便を得ざるなり。…静かに心を落ち着かせて座れる環境を整える

と、かなり具体的です。この記述は、禅の修行僧へのものですから、一般との違いはありますが、趣旨はかなり参考になるはずです。今のコロナ危機に際しては、3密に留意することは、「調身」の基本と言えます。

 

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