大般若祈祷

昨日の晋山結制では、檀信徒の安寧と寺院の繁栄、仏法の興隆が祈念されました。

大般若とは、空の論理を中心とした仏教の神髄が書かれた『般若経』６００巻の教典を、一堂に大勢の僧侶で一気に読み上げるという勇壮なもの。
１００人を越える僧侶が参列する今回のような大行事の際には、大般若法要が相応しいと思いました。この度は、先住様の三回忌とその奥様の七回忌法要も併せて行われましたが、この大般若経典は、奥様が亡くなられたのを契機に、先住様が寄進されたものなのだそうです。
　　　　　　

一人１０巻を担当したとして、６０人。ただし１巻といえども漢文でぎっしり書かれたお経なので、じっくり読んだら１時間以上はかかるでしょう。１０巻で１０時間・・・。ですので、一気にパラパラと流して読む(読むというよりは、読んだつもりで風を入れ、経文を空気に触れさせる）のです。これを転読と呼んでいます。

　

この、速く読むというのには、ご利益、効き目が疾くあらわれるという即時救済の思想が加味されていると言われています。

ですので、この転読に先立って繰り返し読まれる般若心経も、なるべく速く読む慣習になっています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　

この図式は、他の宗派でも似通っているようで、真言宗の方々が札所巡りで読んでいる般若心経も、とても速かったです。

同県にある大雄山最乗寺のご祈祷のお経と太鼓も、とてつもない速さでついていけません。有り難さが伝わります。

なお、ここに掲載の写真は、kameno師に撮っていただいたものです。この場をお借りして御礼申し上げます。臨場感をご堪能ください。