情報分析研究促進開発機構

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デジタルデバイドは縮小する

2005年02月25日 11時32分06秒 | 世情雑感(社会情勢)
 デジタルデバイド(情報格差)という言葉が、情報通信技術の飛躍的進歩により生まれた。IT技術を使いこなせる者と使いこなせない者の間に所得や待遇や機会等の格差が生じるとする考え方である。これは国内的な格差にのみならず、先進諸国と発展途上国の間で最も顕在化していると言われていた。これは、国内での格差という点で考えるならば、パソコンや携帯電話が安価になり誰にでも入手できる存在になっている以上、それを扱う扱わないは個々人の責任に帰する状況になっているという点が指摘出来るだろう(自動車の免許を持っていない健常者が、仕事の上で制約を受ける事があってもそれは自己の責任であるのと同じである)。
 一方で国際的な面でのそれは異なっているのが今までの通説であった。先進諸国は次々と開発される先端技術を導入できるが発展途上国はそれが出来ない故に格差が拡大するというのが主流を成す見方だった。しかし、「デジタルデバイドは急速に縮小――世界銀行報告」というITmediaの記事を読むと実態がそうではないことが見えてくる。発展途上国と先進諸国との間のデジタルデバイドは縮小に向かっているとさえ言えるかも知れないほどだ。これは、何も不思議な事ではない。発展途上国が通信インフラを導入する場合に今では固定電話網を整備せずに携帯電話網を先に構築する事も珍しくは無い。新しい技術は、既存技術の活用をせざるを得ない先進諸国に比べて無からの導入が可能である為に発展途上国に有利な面も存在しているのである。
 無論、発展途上国内でのデジタルデバイドの解消は難しいものがあるだろう。発展途上国内でITインフラが整備されたとしてもそれを使いこなせるのは一部のエリート層だけであるからだ。これを改めるには、発展途上国の経済システム自体を改める必要があるとも言えるだろう。デジタルデバイドの議論は再び経済格差という基本問題に回帰してきた印象を受ける。