少年トッパ

甲斐バンド@武道館(09.2.7) その2

 うわ、前回のを自分で読み返してみたら、なんか途中から批判的なトーンになってるじゃん。えっと、最初に書いた通り、ライブ自体は充分に楽しめたのよ。ただ、今回はステージまでの距離が少々遠かったせいか、自分自身が「のめり込む」というより「眺める」という姿勢になっちゃったみたい。1階席の観客の動きとかも気になって、ついついあちこち観察しちゃったし。すんません、もともと集中力が欠如している人間なんです。

 で、曲順に沿って書いていくつもりでしたが、ちょっと中断して、4つの観点から見た感想を。

●演奏

 最高。完璧。バッチリ。
 2006年12月のステラボールの時にも思ったことだけど、まさに「甲斐バンドの音」である。甲斐バンドの時以外の甲斐よしひろのライブだって演奏の質は高いのだが、今回は86年の解散ツアーでのサウンドを見事に再現させてくれているのだ。楽器に関する知識が著しく乏しいので具体的なことは書けないけど、とにかく音が分厚く深みがあり、なおかつ繊細できめ細やか。僕にとっては、ものすごく心地いいサウンドだ。物語が見える音、と言ってもいい。
 最大の功労者は佐藤英二か、マック清水か、それとも、やっぱり田中一郎なのか。いや、この9人が揃ったからこそ、これほどの完成度になったのだろう。

 というわけで、ここでメンバー紹介を。オーイエイ。

 甲斐よしひろ:ボーカル、ギター
 松藤英男:ドラムス、ギター、ボーカル、リコーダー
 田中一郎:ギター
 佐藤英二:ギター
 坂井紀雄:ベース
 前野知常:キーボード、サックス
 マック清水:パーカッション
 徳広裕:サックス
 JAH-RAH:ドラムス、パーカッション

 大森信和:ギター

●照明及び舞台装置

 これまた完璧。開演前、ライトで描かれた「KAI BAND」に胸が熱くなり、摩天楼を模した背景に心が躍る。そして、恒例のミラーボール。真正面で見られてホントに良かった、と思ったもんです。

●甲斐よしひろの機嫌

 甲斐よしひろのライブの成否を最も大きく左右するのは、甲斐よしひろ自身の「機嫌」である。これはもはや、甲斐ファンの間では常識と言っても過言ではないだろう。上機嫌の時の甲斐よしひろはMCでも快活に喋り、歌う時も時折笑顔を見せる。しかし、何らかの事情で機嫌が悪くなると、立ち振る舞いは一気に変わるのだ。
 忘れようにも忘れられないのが、1985年4月、名古屋市民会館での『ラヴ・マイナス・ゼロ』アンコール公演だ。原因が音響トラブルだったのか観客の野次だったのかはもう覚えていないが、この時の甲斐よしひろは凄まじくご機嫌斜めだった。それでも、もちろん最後の曲まで歌ったのだが、MCは普段より格段に短かったし、笑顔も一切見せなかった。いつもなら『ダイナマイトが150屯』でマイクスタンドを振り回すわけだが、この時はマイクスタンドを蹴って床に倒したまま。会場全体が緊迫した雰囲気に包まれ、こっちはただただ黙って成り行きを見守るのみだった。そして、がっくりと肩を落として会場をあとにしたもんだ。
 今回のツアーでは、初日の大宮公演、それに年明け2本目の伊勢公演で、やはり甲斐よしひろは不機嫌だったようだ。でもさ、たとえスタッフがミスしたり機材のトラブルがあったりして苛立っても、その苛立を抑えて仕事するってのがプロなんじゃないかなぁ。いや、スタッフに対して怒るのは当然としても、イライラした気分を客に伝播させちゃダメでしょ。甲斐さん、サウンドストリートで「男はいつも上機嫌であるべし」と言ってたじゃん。
 とはいえ、こうした甲斐よしひろの率直さは、つまり「感情を剥き出しにしている」ということであり、「常に本音」という証でもある。早い話が、「そういう性格だからこそ甲斐よしひろ」なわけである。というわけで、僕のように小心者のファンは、いつだって「今日は最後まで甲斐さんが上機嫌でありますように」と祈るような気持ちでライブに臨むのだ。ってのは少々大げさだけど、トラブルが起きないことだけは常々願っている。

 話が脱線しちゃったけど、武道館での甲斐よしひろは最後まで上機嫌だった。この日のライブの模様はWOWOWで流れるしDVD化もされるから、ってこともあるのだろうか。何はともあれ、一安心。

●曲目

 今回のライブで不満があるとすれば、やはりコレだろう。僕は直前にKAI SURFの掲示板で『冷血』『ブライトン・ロック』『港からやってきた女』をリクエストしたのだが、まあ、その3曲がなかったのは仕方ない。それよりも問題は、「アコースティックスタイル」のみのナンバーだった『最後の夜汽車』が、この武道館では披露されなかったことである。
 今回のツアーは計23回行われたわけだが、そのうちの5回が「アコースティックスタイル」だった。ステージが狭いのでドラムセットが2台置けない、もしくはミラーボールを吊るせない、という理由だったそうだが、その5回のみで披露されたのが『最後の夜汽車』なのだ。名古屋での2回にしか行っていない僕は、もちろん聴いていない。他にも聴けなかったファンは多いだろう。なので僕は、てっきり武道館でのセットリストには『最後の夜汽車』を組み込んでくれると確信していたのだ。なのに……。ああ、切ない。
 あと、一郎が『悪夢』を歌ったのは大分だけだったっけ? 武道館でもやってほしかった!

 たぶん、まだ続きを書きます。気長に待ってて。

コメント一覧

トッパ
埼玉県人さん、コメントどうも! 確かに、すべてのファンを満足させることは無理でしょうね。でも、せめて『最後の夜汽車』は……。

>甲斐バンドとしてつきつめ、表現した最高到達点

100%同意! まったく同じように思っている人がいて心強いです。もっと世の中に『冷血』を広めましょう!(笑)

>あとはただ、涙涙

あの映像を見せられたら、もう何も言えないですよね。その辺も甲斐さんの「計算」だったかも(笑)。
埼玉県人
トッパ様、こんにちは!レポート楽しく読ませていただきました。曲については、皆さんそれぞれ「聞きたい」というものがあるので、すべてに満点、とはいかないですよね。それだけ長いキャリアの中で多くの曲を作ってきた、ということなのでしょうが。前にも書かせていただきましたが、武道館では「冷血」を期待していました。あの曲は甲斐バンドとしてつきつめ、表現した最高到達点だと思っています。ならば最後の武道館では、アンコール1曲目でくるのでは、と身構えたら「25時の追跡」でしたので、あとはただ、涙涙になってしまいましたが(笑)
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