最近の脳内ミュージック
レミゼラブルの「スターズ(星よ)」
美しい曲ですが、この曲は、
レミゼの作中人物、それも主人公の敵役で
最後は自殺するという、
かなり残念な人物が歌う曲です。
私は、残念な人が好きです。
主人公バルジャンの敵
警部のジャベール。
バルジャンを必ず捕まえて、ぶち込んでやる!と
星(神)に誓う歌です。
乱暴な言葉遣いが、美しい曲にのせられて、
ジャベールもまた、哀しく儚い人間の1人であることが、伝わってきます。
ジャベール/ラッセルクロウ
巷の評判に、ラッセルの歌はヘタって、ありますが、
ヘタな方が、ジャベールらしいのでは?
美声でないとこも、Good!
低音で長く伸ばすところが、フラフラと震える。
ヘタに違いないが、ここが聴き入りどころで、ハマってます。
罪を犯したうえ脱獄し、街の名士に成り上がったバルジャン、許すまじ!と
憤怒に燃えるジャベール。
その憤怒と執拗さは、職務を超えています。
(たしか、警察を引退してからも彼を追う)
しかしやがて彼は、バルジャンの真実に触れ、
自殺してしまいます。
単なる誤解だし、死ぬことないのでは?と
誰もが腑に落ちない、ジャベールの自殺。
でも、ジャベールにとっては
単なる誤解で、すむ問題じゃなかったってことです。
正義に携わり、正義こそ、我が存在のよすが。
そんな彼の正義が、バルジャンの真実によって
崩壊してしまう。
ジャベールにとって、決してあってはならないことだったわけです。
絶対受け入れられない。
受け入れたら死ぬ。だから、死んだ。のでしょう。自殺というか、
まあ、憤死に近かったのではないでしょうか?
彼の筋書きでは、バルジャンをぶち込む。
神からの賛辞または救いが、得られるはず・・
だったはずが、
最後に彼がもらった神からの言葉は、
「お前、GO TO HELL」
だったわけです。
自分の正義を盲信し過ぎたジャベール。
橋の欄干をフラつきながら歩くジャベール。
これまさに、彼の真の姿、だと、
わかってきました。
人の言う正義なんて、そんなもんですよ。
正義は、人を守るためにある。
でも、過信して、振りかざす者には、
たいがい、ロクな未来はない。
革命派ビクトルユゴーは、言いたかったんでしょうか?
体制側に属している人間への、皮肉?でも
あるんでしょうかね?
片手落ちの正義を盲信せざるをえなかったジャベール。
彼も悲劇の人なのですね・・・