萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

設定閑話:奥多摩の春

2013-05-04 21:59:07 | 解説:背景設定
氷雨、春から季移ろう



こんばんわ、GWいかがお過ごしですか?
自分は昨日も今日も遠出しています、で、写真は@三頭山。

夕方16時半ごろだったかな?昨日撮影した空です。
冷たい小糠雨ふる山は、水蒸気に陽光が反射して光の進路を浮ばせます。

昏い雲、鉛雲、光雲。
空の光映した色彩は雲にも変化を与えます。
そんな雲達から光ふる斜線は「天使の梯子」とも言うそうです。



標高1,000mを超えた地点は氷雨という体感温度。
時おり雨粒の大きくなる冷たい時雨に花も、雫こぼし煌めきます。

まだ桜が咲いてるんですよね、三頭山。
この写真は山桜の一種だと思いますが、八重咲きも豆桜の一種も咲いています。
まだ桜花ほころぶ季に三頭山は有ります、山頂は1,531mですがこの撮影ポイントは車道脇です。



いわゆる桜ではないけれど、バラ科らしき花も咲いていました。
雫ふくんだ花も葉も夕なずみ、あわい光に白く青く瑞々しい姿は可憐でした。
この時期に山でたまに見かける花です、が、名前をまだちゃんと調べていません。笑
下の写真のなんですが、もし名前をご存知の方いらしたら教えて下さい。



いま奥多摩は山藤の滝もあふれます。
薄紫の花房と萌黄の葉は町を渓谷を山を染めあげて、晩春の風が甘いです。

藤は香がかなり甘やかですが、友人は宇治平等院の藤棚で蜂に刺されたのだとか。
たしかに藤からんだ廃屋のなかスズメバチらしき巣を見ました。
危ないですね、笑

以前にも書きましたが、藤は樹木にからまり寄生することで生育する植物です。
そのため林業では忌避される植物で藤蔓は伐り払われてしまいます。
ですので、藤が繁茂する山林は手入れをされない場所です。
だけど個人的には藤は好きで、咲いてるとテンションがあがります。
林業の方に申し訳ないんですけど、花の滝は綺麗です。



The innocent brightness of a new-born Day  Is lovely yet;
The Clouds that gather round the setting sun
Do take a sober colouring from an eye That hath kept watch o’er man’s mortality;
Another race hath been,and other palms are won.
Thanks to the human heart by which we live. Thanks to its tenderness,its joys,and fears,
To me the meanest flower that blows can give Thoughts that do often lie too deep for tears.

生まれた新たな陽の純粋な輝きは、いまも瑞々しい
沈みゆく陽をかこむ雲達に、謹厳な色彩を読みとる瞳は、人の死すべき運命を見つめた瞳
時の歩みを経、もうひとつの掌に勝ちとれた
生きるにおける人の想いへの感謝 やさしき温もり、歓び、そして恐怖への感謝
慎ましやかに綻ぶ花すらも、私には涙より深く心響かせる

William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」XI

作中も何度か使っていますが、山や森でこの詩の光景に出合います。
暁にも黄昏にも雲は太陽と輝いて、ふる陽射しの煌めきに花も木も水もまばゆいです。






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